【離島:食品ストックの底力】2日間フェリー欠航で商店スッカラカン
天候不良により2日間フェリー終日全便欠航。
こんなことが年に3〜4回ほどある。
島外との接触が絶たれ、孤島となる日だ。
当然、物資が来ない。
海が荒れる前日には各商店が普段よりも多めに食品を仕入れておくが、そんな時は客の方も予備として多めに購入する。
結果、船の欠航が2日も続けば青果やパンなどを中心に商店の棚がスッカラカンになる。
離島初心者の私はあまり買い置きする習慣がないため、商店にモノがなければ自宅の冷蔵庫もカラ状態。
カップ麺や冷凍食品の出番がくる。もしくは、(営業していれば)外食で済ませる。
対して、この島で数十年暮らす中高年の女性たちは、たった2-3日の欠航くらいでは全く動じない。
自宅にある食品ストックの量が半端ないのだ。
冷凍庫ひっくり返せば一カ月は余裕で暮らせる
以前、近所のおばぁちゃんの家にお邪魔した時、笑いながらこんなことを言っていた。
いや、さすがに一ヶ月は大袈裟だろ。
と思っていたが、その家に何度か通ううちに気になったことがある。
冷凍庫、いったい何台あるんだ?
そこには3台の冷凍庫があった。1台は台所に、あとの2台は外に置かれている。
加えて大きな冷蔵庫が台所に1台ある。
冷蔵庫にも冷凍スペースがあるので、普段使いするものはこちらと、台所にあるもう1台の冷凍庫を利用する。
他の冷凍庫2台は、本土にいる親戚や知人に送ろうと思っている海産物や、そのつもりで冷凍したが存在を忘れ、何年も眠っているものなどで溢れかえっている。
本人も何が入っているのか分からないほどだ。
たしかにこれだけの量があれば、1ヶ月くらいなら余裕で食べていけそうである。
ちなみに、この冷凍庫数台持ちはよくあることらしい。
ポッチャリ夫の母も冷凍庫数台持ちで、「こんなものまで冷凍するのか?!」と思うモノも多々入っている。ドデカい海苔など。
冷蔵庫は、開けたらモノが上から落ちてくるくらいパンパンに詰められている。冷蔵機能はおそらく半分くらいしか作動していないのではないか。期限切れや奥の方で干からびているものも沢山ありそうだ。
ストック食品 ≒ 食品ロス
そもそも日曜、祝日は問屋が休みのためフェリーは運航していても食品類の荷物が来ない。加えて稀だが、天候不良等で物資の来ない日が続くこともある。
なんの問題もなく毎日商品の補充がなされる時でさえも、モノの種類や数には限りがある。そんな環境で育つと「買える時に多めに買っておこう」「今、使わない分は冷凍しよう」というストック癖がつくのかもしれない。
では、実際に物資が数日間来ない時にはストック食品たちが活躍しているのか?
残念ながら最大限その力を発揮しているとはいえない。そもそも数日暮らせるくらいのストックなら冷蔵庫に十分ある。加えて家庭菜園をしている家も多く、買わずとも野菜ならある。
冷凍庫に関して言えば、ストックしている本人が何を冷凍したかほとんど覚えていないことすらある。
さすがに数週間物資が来ない有事の状況になれば、冷凍庫をひっくり返してでも使えるものは使うだろうが、なかなかそんな事態は来ない。
結果、普段使いではない冷凍庫の食品は永遠に眠り続けるか、冷凍焼けや霜がつくなどして大掃除の際に捨てられるかのどちらかだ。
たった2000人ほどしかいない島だが、食品がストックからロスへと無意識のうちに変貌している事例は多そうである。
…こんなことを、フェリーが2日間欠航した大雪の日、我が家のスッカラカンの冷蔵庫を長めながながら思う。