ベーシック・メンストゥルエイション
〈ヒューエンコムパブリック〉〜女性中心社会
ベーシック・メンストゥルエイション
女性、特に妊産婦は心理社会的にも大きな変化が生じる時期であることから、不安や抑うつなどが出現しやすく、多くの理由からパンデミックの社会的・経済的悪影響をより強く受けやすい。心理不安が著しく増大しており、妊産婦はコロナ禍でのストレス反応に伴って心理的過覚醒状態となっていることが示唆されており、コロナ感染への心配や社会的サポートの不足が、不安の要因となっている可能性があり、メンタルヘルスの包括的なケアシステムの構築が望まれる。
最近、目にすることの増えた「生理の貧困」という言葉。コロナ禍が長引き、経済的に困窮する女性が増えている背景がある。つまり、経済的な理由などで、生理用品を十分に入手できないことを指すが、だったらいちいち「生理」を持ち出す必要はない。
重要なのは、「生理の回数」である。現代女性の一生の生理回数は、およそ450回。それに対し、昔の女性の生理回数はおよそ50〜100回という研究報告がある。生理回数の増加に伴って、生理回数が多いこと自体が、子宮内膜症、子宮筋腫などの病状だけではなく、現代女性が抱えている月経困難症やPMSなどのリスクやセルフケアだけではコントロールできない生理痛が伴う。つまり、「生理用品」だけの問題ではなく、女性のメンストゥルエイション(月経)に対する不安を取り除くのは社会の役割なのである。
女性の持つの不安は、決して妊娠、分娩、出産だけの問題ではない。女性は生まれた時から、社会から月経で排除され、妊娠で排除され、出産で排除され、育児で排除されている。
女性の人生は少女期、生殖期(性成熟期)、家住期、遊老期 (非生殖期)というメンストゥルエイションを中心とした更年四期スペクトラムとして構成される。女性のメンストゥルエイションは、決して社会が蓋をすべき問題ではなく、社会全体が支えるものとして、論理の秩序を根本的に転換する必要がある。
プレメンスシンドロームやメンストゥルエイションの更年期ごとに起こる女性生体バランスの偏重に対しての理解がなければ、生理用品のサポートや妊娠期における限定的なサポートだけでは、女性の将来に渡る社会的総合的不安を払拭することはできない。
縄文時代の一万年にも及ぶ悠久の歴史の背景にあるのは、「妊婦崇拝」と「女性中心社会」の思想であった。新型コロナが人類に突きつける命題は、「生命」という概念の世代を超えたエピゲノムプログラミングの連続性である。
女性のメンストゥルエイション月経に対する不安を取り除くのは社会の役割である。それが、例え、妊婦であれ、少女であれ、売春婦であれ、いつでも連絡ができて、どんな小さなことにでも安心して相談やサポートを受けれる、決して新型コロナ下での臨時的なものではなく恒久的な体制が必要である。
女性は子供を産む機械ではなく、命を世代に繋いでいくBaton human バトンヒューマンである。その新しい命を産むための女性の生体機構は、複雑でデリケートに出来ているのは事実であり、女性のメンストゥルエイションは、生命という存在そのものであると言っても決して過言ではない。女性の社会進出や、男女同権、男女平等などは、その上部構造として考えなければならない命題であり、こうした社会問題の定位は、メンストゥルエイションの上にあると考えるのが、SDGsなどのインテグリティな生態系を考える場合、最も合理的であると言えるのである。