九度山アーキテクチャー・プロジェクトー ウィリアム・モリスのアーツアンドクラフツ

九度山アーキテクチャーズにおけるアーツ・アンド・クラフツ運動とは、モリスは社会主義を信奉し、大衆の生活をよりよいものにすることを目指したが、実際には富裕階級にしか入手できない品物を生み出すことになったが、特定の富裕階級のみが享受できる「大芸術(Arts)」だけを芸術とするのではなく、「小芸術(Lesseer Arts)」もしくは「工芸(Crafts)」も芸術である、という考え方だ。

自分の未来像は「人には奇妙かもしれない」が、一人ひとりが自分なりの夢を持ちそれを渇望することが変革の鍵だとモリスは主張した

モリスは「社会の改善」というものでなく「社会改革」ということばで、自身の主張を強く表現している。ここには、人々の生き方を根本から問いなおそうとする意思が存在する。手工の世界の芸術性と機械技術とのバランスをどのようにとるのか、あるいは人間個々の自制は可能であろうか、モリスは社会改革の具体的実践としてクラフトマンシップの19世紀における復活を試みたのであり、20世紀から21世紀にわたる科学技術万能のこの時代にクラフトマンシップのふたたびの復活の必然性は、資本主義成熟の時代を迎えてその弱点を振り返り手直しを迫られている今、モリスの試みは教育目的に素晴らしい展開を秘めている。

九度山アーキテクチャーズでは日本国内だけではなく、世界に向けて、リ・コンシャスの「小さなアート」によるアーツアンドクラフツ活動を展開して行く。高齢者や子供、障害者のみなさんの感性をギャラリーという閉鎖された世界だけではなく、「小さな仕事場」での「小さな経済性」を念頭においたアートコモディティーは、「家」という「小さなギャラリー」において、実現可能性や持続可能性の高いポストミュージアム活動のアッセンブリーとして機能する。この運動の目指すものは、環境問題をはじめ様々な課題に対して、立体的なアーツアンドクラフツにより、社会を取り巻くユニバーサルなサービスやコミュニティの在り方、さらに市場主義偏重の人と人の関係性や公益経済社会へのパラダイムシフトに向けての価値観や関係性への変革という点にある。

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