地下鉄の父
【今回の記事はとりとめもない個人的エッセイでしゅ】
ふと、30歳で東京にいる女として
なんだか寂しさを覚えた。
山梨(実家)の田舎暮らしは向いてないし、かといってゴリゴリした夢や希望を持つような年齢でもない。
東京には友達もいるし、旦那もいるし、仕事もお陰様であるし、人生の留学や引っ越しを除いた約7年以外はほぼ東京basedである。
でも東京にもいろいろあって、基本はあたたかいのだがやけに冷たく感じる時がある
おそらくものすごい速さで人が行き来し、歴史への手垢が山積みだから、自分の小ささに、ルーツのなさに、感じれる動物的な匂いのなさ、hoodのなさに、しょんぼりしちゃうのかもしれない。
そんな中、お盆を迎えたのだけど
ふと、「地下鉄の父」というワードが浮かんだ
実は僕の先祖が(身バレを防ぎたいので先祖としておく笑)
地下鉄を日本で最初に作った人としてけっこう有名人だったのを思い出した。
早川徳次さんという、人である。
いつもは銀座駅に銅像があるので
銀座で飲み過ぎて家に帰る時に彼の銅像を見て
「先祖よ、呑みすぎてすいません」
って言うくらいの認識だった。
ちゃんと知らないな、彼のこと、知りたいな
と思ったのは、お盆だったからかもしれない。
(お盆って先祖戻るとか言うよね…)
いずれにせよ小さい頃から「すごい人だった」ということを聞いていて
血が薄くでも繋がってたとしても、なんだか遙か遠い人、というイメージだったのだ。
ありがたいことに、東京のゆるそうな地盤に、
戦前に地下鉄を通そうだなんて無謀なことをしたのが歴史的な快挙だったので
たくさんの人が小説やドキュメンタリーとしてまとめてくれていて書籍が出ている。
なかなか先祖の人柄を知れる機会なんてないので
(体癖も調べてみたかった)
何冊かを読んでみることにした。
すると、「すごい人」には変わりないのだが
「かなりcrazy」な人、ということを知る
というか、どの作者にもややディスられつつ、いろんな本にcrazyな行動が書かれていて、
「先祖、やばい、うけるwwwww」
と笑いながら読んでしまった。
例えば
・著名人に熱い手紙を送り、人脈を作る強者。有名どころだと当時首相の大隈重信。特に早稲田出身だからって理由で大隈重信さんに会いに行き、渡英のお金をGET。
(これは家族曰く、渡英のほとんどは自費だったなど真偽あるらしいけど、まぁ逸話としては面白すぎる)
・血反吐吐くほど苦労して作った地下鉄。だが地下鉄の収益が思ったより伸びず、浅草で10銭均一(今でいう100均のはしり)をしたらこっちのが超儲かった。
・五島美術館で有名な鉄道王五島(東急グループ創始者)さんとの戦い、早川を追い出すために株を買い占めされそうな時に、五島さん宅に「絶対これ以上、買うなよ!」って言いにいった話。
子孫ながらに、「それじゃぁ、買われちゃうよ…詰め甘いよ🥲」と思ったり。笑
なんだか、ものすごい人だったのは変わりないんだけど超真っ直ぐ、ピュアピュアな逸話がたくさんあるんですよね。
(超ADHDっぽさがあったんちゃうかな、忘れん坊で、お財布はガマ口を首から下げてたらしい)
そして何より、地下鉄の父と祭り上げてもらってるけど
彼のcrazyさから、いろんな人のお世話になって、今でいう東京メトロの走りができたんだなと
早川徳次さんも発起人としてすごいけど、たくさんの投資家や建築現場の人、戦争中は女性の運転手さんもいたりして
本当にたくさんのみなさんのお陰で今の東京という都市って出来たんだなと
大正、昭和を、地下鉄の歴史を知るだけでもすこしだけリアルに感じることができたんよ🤔
デカ過ぎて、人が多過ぎて、見えなかった、先人の痕跡。歴史、積み重ね。
早川さんも30歳過ぎてから、夢見つけて、おっかけたんだな、超、奮闘してたんだな、とか。
東京の街に先祖や先祖の周りにいた人々の残像が見えるような感覚ができたのよね。
てっきり山梨だけが地元だと思ってたけど
わたしの今関わってる場所や人って、早川さんやその後の僕の他の先祖が関わってた人とも繋がりがあることが多くて
(自分も早稲田大学出身だからなのもあるけど)
なんだか「そのまま生きたいように生きればいい、それでOK」
と言ってもらえるような気が勝手にしたのさ
(…ジブリみたばっかだからかもしれない笑)
早川徳次さんが下積み時代、後藤新平さんの秘書だったことがあって、その際に
「寝覚めよき 事こそなさめ 世の人の よしと悪しとは いふにまかせて」
という短歌を貰ったんだって
「周りの人は、あれこれいうだろうが、自らが良いと信じたことをやり遂げよ」的な意味。
人生、これからまだまだ広がっていく。
人の為に生きるも、自分の為に生きるも
良いと思ったことを信じて、やり遂げていくDNAがわたしにもちょっとはあるのかな、などと。思ったり。
世の中、いろんな指標があるけれど、自分のバイブスの通りに生きて、
笑われても、分かってもらえなくても、自分を信じて、
死んだ時に「楽しかったなぁ、やりきったぜ」って思える人生にこれからもしていきたいな。
ヘカテ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?