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【MTG】リミテッドにおいて3マナ以下のクリーチャーは何枚必要なのか?

結論だけ読ませろ!!!俺は忙しいんだ!!!

  • 土地17枚なら、キープ確率70%でいいのであれば最低8枚

  • キープ確率80%欲しい人は10~11枚

  • 初手キープできる確率を上げるためだけに12枚以上採用するのは微妙そう

確率計算は私個人によるものなので、間違っていて被害を被っても自己責任でお願いします!

前置き

初めまして。へびやもりと申します。
リミテッド、特にドラフト初心者向けの記事や動画では、よく「2マナ以下は4~5枚、3マナは5~6枚入れよう!」とオススメされていますよね。実際、私もドラフトを始めた頃はそれに従って2~3マナ以下のクリーチャーを意識的に多く入れるようにしていました。というか、今も普通にそうです。

この指針については非常に分かりやすく良いものだと思っていて、これについて異論はありません。「リミテッドとは序盤の盤面で遅れてしまわないことが大事で、それを支える2~3マナのクリーチャーは非常に重要である」と初心者にも分かりやすいですしね。誰しも、序盤何もできないハンドをキープしてしまい4ターン目まで棒立ちしてたら、相手の2~3マナのクリーチャー群にボコボコにされてしまう…といった経験はあるのではないでしょうか。

一方で、強い人のデッキを見るとこうなっていないことがたまにあります。また、私自身も「この教えを意識しすぎるあまり、2マナ2/2バニラ、3マナ3/2,2/3バニラのような弱いクリーチャーを入れすぎてしまっているのでは?」と疑問に思うことが増えてきました。

そこで今回は「初手キープ確率をもとに、3マナ以下のクリーチャーは何枚あればいいのか?」と確率の観点からこちらの疑問を検証してみたいと思います。

問題設定

  • デッキは40枚固定とする

  • 土地の枚数をN枚とする

  • 3マナ以下のプレイ可能なカードの枚数をX枚とする

  • 「初手土地が2~5枚、3マナ以下のプレイ可能なカードが1枚以上あればハンドの内容に関わらずキープする。そうでなければマリガンする。」という戦略を取るものとする

  • (アリーナのBO1には初手補正があるが、無視する)

今回の考察では以上の仮定をもとに進めていきます。

まず初めに、「3マナ以下のプレイ可能なカードってなんやねん?クリーチャーじゃないんかい!」って話ですが、これはもちろん上記で上げた1~3マナ域のクリーチャーが主要なカードです。他に何があるの? というと「序盤の相手のクリーチャーを捌くために採用された除去・打消し」などもこれに含んで良いものとします。

例えば2022/5/30時点で最新のセットであるニューカペナを例にとりますと、「絞殺」「かき消し」などはこれに含んでも良いかと思います。あくまで「含んでもよい」なので「序盤のクリーチャーに積極的に使用していくべきだ」と言っているわけではないのでそこはご注意ください。

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逆に「3マナ以下だけどプレイ可能でないカード」はジャイグロ系ですね。これは自分のクリーチャーが場に出ていないとそもそも機能しないので、プレイ可能とは言えません。ニューカペナでは「一家のために」「力の天啓」「早抜きの短剣」などがこれに該当します。

また「土地5枚はキープできなくない?」と思われた方もいらっしゃるかと思います。実際、かなり厳しいとは思います。もう1枚のスペルが弱かったりジャイグロだとかなりマリガン寄りになると思います。ですが、一旦今回はこの仮定で考察を進めちゃったので、こうさせてください。一応土地5までキープ基準にしたのは、Reid Dukeさんが書かれたMulligansという記事のマリガンの基本戦略である"Two to Five Lands Strategy"(土地2~5ならキープ、そうでなければマリガンというめちゃシンプルな戦略)を元にしています。

他にも「いや、土地があっても色が揃ってないときはキープできないよね?」とかツッコミどころはいろいろあると思うんですが、ややこしくなっちゃって計算できなくなるのでこれで行かせてください!!!

結果

まずはこちらの表をご覧ください。
土地はデフォルトの17枚を中心に15~19枚、それらに対して3マナ以下のプレイ可能なカードを0~15まで変化させたときの確率となっています。

初手キープできる確率

ちょっとややこしくなるのを避けるために、以下は土地17枚に限って話をします。

初手キープできる確率で許容できる閾値は人それぞれだと思いますが、例えば「最低70%キープできればいい、キープ確率を上げるために2/2/2を採用するくらいならコストが高くてもバリューの高いカードを採用すべき」という考えの元では3マナ以下は8枚あればよいということになります。例えば2マナ4枚、3マナ4枚とか。これは最初の教えにあった「2マナ以下は4~5枚、3マナは5~6枚入れよう!」に比べるとちょっと少な目ですね。

一方で、「いや、キープ確率は80%欲しい。マリガン1回のアド差はきつい」という考えの方であれば3マナ以下は10~11枚以上採用すべきでしょう。これは「2マナ以下は4~5枚、3マナは5~6枚入れよう!」に従っていると自然とこうなりますね。

そして、この表からもう一つ分かることがあって「3マナ以下のプレイ可能なカードを12枚以上採用するのは慎重になった方がよい」ということです。11枚ある時点で既にキープできる確率は80%と十分で、1枚増やしたところで確率は2%しか変わりません。「このデッキはアグロだから低マナが普通より多く必要だ」「この3マナのカードのバリューは平凡な4マナ生物のカードより高い」など確固たる理由があるのであれば全く問題ありませんが漫然と「初手キープできる確率をなるべく上げたいから」と2マナ2/2熊を増やすのは良い手とは言えないでしょう。それであれば重くてもバリューの高い4~6マナクリーチャーやジャイグロを採用すべきではないかと考えます。

感想

ここまで長々と書いていてなんですが、「最低8、安定させたいなら10~11枚」というのは何の面白みも無い結果ですね。逆にそれだけ「2マナ以下は4~5枚、3マナは5~6枚入れよう!」という指針の分かりやすさと優秀さが改めてよく分かる結果となりました。最大を取って2マナ5・3マナ6としてもちょうど11でぴったりです。

マジックは歴史の長いゲームなので、こういったセオリーにも理論や経験に裏付けされたしっかりとした理由があるということが分かりますね。今回私がやった計算も新しいものではなく、誰かがどこかでやっていると思います。「じゃあなんで書いたんだ」というと、見つけられなかったからというのと、そんなに難しい計算ではないので自分でやった方が楽だしと思ったので書いてみました。計算式さえ立ててしまえば変化させて見ることも出来ますし、腑落ちしやすいというのもあります。

ただ、一つ新しい知見も得られました。それは「初手キープできる確率を上げるためだけに12枚以上採用するのは微妙そう」ということです。ここは今までちゃんと意識したことが無かった部分で、今までは「何となく低マナ域増やしたほうがテンポ遅れないしいいよな~」とやたら低マナを増やしてしまっていたことがありました。

例えばこちらの0-3してしまった白緑のデッキ。

明らかに低マナが多い

プレイ可能なカードは1マナ1枚、2マナ6枚、3マナ7枚と合計14枚で明らかに過剰です。プールに他のカードの候補があまり無いのもありますが、少なくとも最低限のジャイグロである「力の天啓」、謀議コストにもできて飛行につけると悪くない「ラフィーンの導き」あたりを入れて2/2/1,1/0/4あたりは抜いちゃってよさそうです。

これは構築段階だけでなく今まで漠然と「なるべく低マナを優先的に」と考えていたせいで、ピックも必要以上に低マナを高く取りすぎる傾向になっていたかと思います。最近の環境はテンポが特に大事、ということもあって、一種のテンポ恐怖症(?)みたいになっていた感もあります。

が、これからは「3マナ以下は最低8枚あればいい」と考えることで重くてもよりバリューの高いカードを取って行こうと考えを改めました。そしてやっぱり確率や数値で見るのって大事だなと実感しました。

おまけ(ないです)

本当はここに上記の確率を導くための計算式を数式読みたい人のために書く予定でしたが…余力がなくなったので一旦終わりにします。
需要があったり、モチベが湧いたら別記事にして書くかもしれません。
といっても別段難しい話では無く

  • 土地を0,1,6,7枚引く確率

  • 土地を2(3~5)枚引いたけど3マナ以下のプレイ可能なカードを1枚も引かない確率

を求めるというだけです。良かったら計算してみてください(そしてこの結果と相違するようであればご一報ください)

ご意見、ご感想、間違いの指摘などあればお気軽にお願いします。
ここまで読んでくださりありがとうございました!

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