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定年退職からのオンライン日本語講師、もう一度やり直せるならこうする。
先日、NativeCampのM先生から、レッスン中にこんなことを聞きました。
「そういえば、あなた日本語の先生をしているのよね?私の生徒にも、もうすぐ定年退職する人がいて、オンラインで日本語を教えてみようかなって言ってるの。わたし、あなたのことを話したわ」
M先生は、私と職歴も現在の仕事も似ているretiree世代のアメリカ人で話がよく合い、お気に入りの先生です。
少なくともひとりは、定年後に日本語講師を考える人の存在がわかりました。さすがに、M先生経由でメッセージを伝えるのは難しいし、ほかにも役に立ててくれる人がいるかもしれないのでアドバイス的なことを書いておきましょうと。でも、何を言うべきか、けっこう考えても、どうも自信と責任を持って断言できるようなことがありません。
そこで、万人向けのアドバイスにはならないかもしれませんが、もし、私が2年前に戻ったなら、そして、最初からPreplyを始めるなら、現実にはやっちまった失敗を繰り返すことなく、こうするだろうってことをまとめました。結果の責任は持ちません。
<前提条件>
・日本語教育の資格・経験なし
・英語でコミュニケーションがとれる
・時間が有り余っている
・老いを感じる
(1)10ドル時代
プロフィールを登録し、単価設定を10ドル、レッスン枠を日中の数時間にします。生徒が来なくても、焦らず気長に待ちます。トライアルレッスンの多寡は、講師一覧の上位に表示されるかどうかだけでほぼ決まります。プロフィール登録後、数日後か30日後かわかりませんが、新人講師がトップページに表示されるタイミングが必ず来ます。そのときだけをじっと待ちます。トップページに10ドルで表示されたときには、10人くらいのトライアル申し込みはすぐに集まります。
<ポイント1>
子どものレッスンは断ります。子どものレッスンは継続率が非常に高いです。親がお金を払っているからです。アメリカの場合、ホームスクールとしての受講かもしれません。たとえ飽きても親がやめさせない限り続きます。同様の理由でコーポレート会員(会社契約)の生徒も断ります。この時期の生徒さんにはレッスン料だけで選ばれています。後に目標の金額に値上げすることはできません。早々に挫折するであろう自腹で受講している大人の生徒さんを中心に集めます。
<ポイント2>
全員に同じレッスンをします。レッスンのご要望をこちらからきいてはいけません。無料で使える日本語教材はたくさんありますが、自分が使いやすいもの1つにしぼって使います。準備に時間をかけず、自分なりのレッスン方法に早く慣れるためです。
私はこれを使うのに慣れました。
https://www.nhk.or.jp/lesson/
初心者の生徒さんは十分満足してレッスンを継続してくれます。ちゃんと文法を学びたい中・上級者の生徒さんにはまだ対応できません。それらの生徒さんにはフリートークをします。うまくいけば継続してくれます。
(2)レギュラーの生徒10人到達
生徒が10人になったら、10ドルの生徒さんをこれ以上増やさないために、プロフィールを非公開にします。この後、生徒さんたちにはお金をもらいながらレッスンの練習台になっていただくつもりで続けます。生徒が減ったら一時的にプロフィールを公開し、10人になったらまた非公開にします。
<ポイント1>
プロフィール非公開化が遅れると10ドルの生徒さんでスケジュールが埋まってしまいます。10ドルならトライアルの70~80%はレギュラーの生徒になってくれるでしょう。Preplyはサブスクになりましたから、レギュラーの生徒が10人いると週最低10時間になります。しかもサブスクの継続率は高いです。
<ポイント2>
ここではまだ、35ドルで生徒募集をしません。レッスンが上達してきているか、累計レッスン数が予定通りに400時間に向かっているか様子を見ます。自分のスキルやプロフィールの充実度が整わないうちに万が一35ドルの生徒が一人でもできてしまうとこの1人の生徒の手前、予定通りに進んでいなくても10ドルの生徒を再度募集することができないからです。
<ポイント3>
この時期は丁稚奉公中です。収入をあてにせずレッスンの練習に励みます。
(2)600h時代
レギュラーの生徒が10人いれば10か月、8人でも1年で400時間になります。600時間になればそろそろ、レッスンにかなり慣れ、要領がよくなり、準備に時間を取らなくなっています。数人はレビューを書いてくれているでしょうし、プロフィール上は中堅に見えます。中上級の生徒さんにも対応できる自信がついたら、いよいよ、目標の時間単価35ドルにしてプロフィールを公開します。35ドルですとトップページに表示されても10ドルのときのような勢いはありませんが、1人で3人分以上の収入になります。
<ポイント1>
本気出します。有り余った時間を利用してできるだけ多くのレッスン時間帯を開けます。老いのせいで朝が早くなってきたらチャンスです。欧米をターゲットに早朝の時間帯にレッスンをはじめます。子どものレッスンを受けつけます。むしろ歓迎です。
<ポイント2>
「げんき」「みんなの日本語」など定番のテキストを用意します。定番テキストを使うといつも同じレッスンができるので楽です。
<ポイント3>
Preplyの手数料が18%になります。1レッスン8.2ドルか28.7ドルです。だいたい月5万円くらいの収入になります。
(3)1000h超時代
10ドルの生徒と35ドルの生徒の入れ替わり具合で年収が変わります。今の私くらいのレッスン数で35ドルの生徒さんだけになったときの年収は300万円超でしょう。ただ、Preplyは、なんかの拍子によくわからない容疑でアカウントを凍結することがあり、そのときの異議申し立てはほぼ無理ですので、ほかの職を捨ててまで始めるのはお勧めできません。サブスクになってからは、隙間時間の副業としても適しません。私のような定年退職者向けです。
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