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TCR ADVANCED SL(10Gen)インプレ

どうも堀井です。
今回2024モデルのTCRを購入し、2000km程度乗ったのでインプレを書いてみようと思います。


1.購入動機

まずは購入動機です。大まかに3つ程です。

1.今まで色々な自転車に乗りましたが、「ディスク」で「軽量」タイプの自転車に乗ったことがありませんでした。
(ディスクだけど重いor軽量だけどリムブレーキ)
というので興味本位で乗ってみたかったのが1点

2.また、昨今の小物機材の専門化でマイナーメーカー(まぁFUJIのことなんだけどね)に乗って故障した場合のアフターパーツの保証に危機感を覚えたのが1点
※TRANSONICが僅か1年で日本では廃盤になったのが決め手、壊れても部品取り寄せできる保証が無かったよ・・・

3.最後に以前の自由にお金が使えていた独身時代と違い、2台レース機材を揃えることによる維持費の負担が大きい為、1台にまとめたかったのが1点となります。

簡単に言うと、今の機材に飽きたけど、金無いから1台にまとめて他の人と感想を共有してみたいってのが総括なんだけどね!

続いて私の大まかなプロフィールです。
身長181cm
体重64~70kg
FTP320~340w
pwr4.6~5.2
脚質:ルーラー?クライマー?

時期によってブレはあるもののオンシーズンの時期ならpwrは5倍を少し超えるくらい。現在は主にヒルクライムレースに出ています。富士ヒルでは何とか毎年ゴールドを獲得する程度のレベルです。

ロードレースはたまにお遊び程度で出ますが、2時間エンデューロなら従来のFTPの高さのお陰で先頭集団には最後まで残れます。(残るだけでそこから先は無いけど)それ以上の時間になるとそもそも練習していない為、スタミナ不足で千切れます。
そのため最近のレースだと
・もてぎエンデューロ2h:7位?(入賞圏外)
・ツールド沖縄140km:62位完走(シード圏外)
とかそんなもんです。
得意な局面は緩斜面、苦手な局面は急斜面と下りといったところです。

2.実測重量

ハイ!みんな大好きフレーム重量だよ!
これでインプレ記事の5割は重要な情報を伝えられるね!

まずはメーカーの公称値から。公式HPでは以下の条件となっています。私が購入したのもMサイズなので丁度良いですね。

続いて公称値です。フレーム690g、フォーク330g(未塗装)
そこに塗装重量を加えると
フレーム重量746g
フォーク340g
になります。ただしこのペイントは完成車のみの「Thin Line」ペイント。私はチームカラーを購入した為、もっと重いでしょう。

新旧TCR比較

それでは実際の重量発表!
ハイ、フロントフォークもISP部もカットしていない重量はこちらです!!!

フレーム 845g
フロントフォーク 310g

更に完成車にした場合のカット重量はコチラ!

ISPカット重量 10g
フォークカット重量 16.1g

よって重量としては以下となります。
フレーム835g(+90g)
フォーク294g(-36g)
()は公称値からの誤差

フレームは重い塗装が乗っているので想定内、フォークは思ったより軽くてビックリ!寧ろ軽すぎて不安に。笑

3.機材構成

1.完成車のSPEC

さて組み上げました。組立はGIANT SHOP平塚店にお願い。
基本的には前の自転車からできるだけパーツを流用したので構成としては以下となっています。

完成車状態、フレームカラーはチームブルーという特別色(通常カラーから+2万)


最近の流行り、えりりーくらんく
シマノのエアロハンドル
euqalブレーキ
etap+ビッグプーリー
ボトルケージは好みのモノで

メインコンポ RED etap11s(リムブレーキ用)
※CDJ ビッグプーリー装着
ホイール ちくわ50mm
タイヤ ブリヂストンr1x 28c
チューブ ride now tpu(36g)
スプロケット アルテグラ11-28t
ハンドル SHIMANO PRO Vibe Aero Superlight 380mm幅
ステム GIANT contact sl aerolight 10° 130mm
クランク ELILEE 172.5mm
チェーリング デュラエース9100 50-34t
ブレーキ equal
ローター SHIMANO RT-M9100
(写真は練習用ローターなので別)
ペダル assioma
サドル prologo SCRATCH M5 PAS NACK バーテープ シクロベーション
ボトルケージ elite leggero&tacx diva

上記の状態で6.85kg程度です。狙った訳ではないですが丁度6.8kg制限ギリギリに。

ここから決戦状態(ホイール周り交換、バーテープ軽量化、ボトルケージレス)等を行えば約6.5kg程度にはなりそうです。FUJI SL(リム)が6.3kgだったのでディスクでも充分軽いね。
気合いを入れれば6kg以下を狙えるのはディスクブレーキのフレームとしては軽量化ポテンシャルが高いと思います。

2.機材注意点 

さて業界最大手のGIANTさん、その地位を利用して独自規格を盛り込んでいます。

1.OD2 aero


一つ目はフォークのコラム径の規格であるOD2 aero。
現在は一般的には1-1/8インチと言われるステム径が一般的ですが、GIANTはそれより太い1-1/4インチのOD2規格を採用しています。現在この規格は有名どころだとGIANTとCANYONが採用しています。
更にこのOD2からフルインターナルを採用するため進化したのがOD2 aeroとなります。

この規格の為、ステムは基本的にはメーカー純正しか使用できません。(ハンドルは可)
また、一体型ハンドルも基本的にはメーカー純正のみです。

(一応farsportsとかexsがpropel用に一体型ハンドル出しているから流用はできそう、ただハンドル部以外の小物が適合するかは怪しいから自己責任)

まぁいずれサードパーティー製も増えてはくると思いますが、とりあえずはメーカー純正で組むのが安心です。


2.ISP(インテグラルシートポスト)

続いてISPです。この規格はGIANT独自というわけではなく、2010年代は割と見かけた規格ですがしつこくGIANTだけ未だ採用しています。(後はfactorのo2 vamとか)

この規格はフレーム側であるシート部をカットしてサドル高を決めるというもの。

但し、意外と調整幅があり、
ノーマルタイプのクランプ(0mm)を基準として
トールタイプ(+12mm)のクランプがありスペーサーを
ノーマルなら19mm、トールなら22mmまで入れられます。
結果として0~34mm程度までは変更可能。

また、サドルヤグラ部を反転させることでシートオフセットを+15mm or -5mmに変更可能です。

その為、そんなに怖じ気づかなくてもある程度乗られている方ならポジション出しは大丈夫でしょう。




と思っていたよ!!!


新車に変えた場合、大抵の人は「前の自転車と同じポジションで~」と頼むでしょう。

その時、何と合わせるかが大事!!!
私はかなり古いフレームと合わせた為、流行の前乗りタイプではなく、ポジションも一昔前のセッティングでした。

そしたら合わない、合わないwww
全然合わなくて50kmで体が痛くなる始末www


結局、もう一台の前乗りフォームの自転車と近いポジションに落ち着きました。

結局、初期からサドル22mm上げ、前に20mm出しと別物のポジションに。

注意点としては昨今のフレームから乗り換える人はそのままのポジション基準でOK。昔のフレームから変える人は要確認です。

画像はトールタイプ+10mmスペーサー
矢印部分までスペーサーを入れられる

また、シートクランプ部はどうしてもすれて塗装剥げの懸念があるので保護は必須です。
また、バラつきの関係で音なりが発生することも・・・
私はショップにペイントプロテクションフィルムを貼ってもらいました。

これのお陰で音鳴りや塗装剥げは発生していません、この製品でなくても同等のフィルム等は必要と感じます。
(確かフレームには3Mの保護テープついてくる筈だけど確認は必要)

4.インプレ


1.比較対象・コース

さて、ようやく実走インプレです。ご多分に漏れず絶対的評価なんて無理なので今まで乗ったことある機材と比較して大まかに10段階評価で下2台の点数と共に語ろうと思います。

主に比較するのはこの2台

・FUJI SL 

重量6.3kg

2015年発売のフレーム。発売当初は25万円で695gのフレームとして「安い、硬い、軽い」の三拍子揃ったフレームとしてヒルクライマーに一定の人気があったフレームです。
TCRのコンポ、ハンドル周りはSLから移植。
ホイールはlun hyper 38mmです。
因みにダウンチューブは六角形と最近流行りのエアロには唾吐いてます

基本的には2~3世代前の軽くて硬いのが良いフレームとされてた時期のフレームです。

・FUJI TRANSONIC

重量7.6kg


2020年発売発売のフレーム
FUJIが発売したエアロロード第2世代。日本だと僅か1年で廃盤。
そしてその後FUJIはレース向けロードの販売を取り止めに・・・。

基本的な性能としてはディスクロード黎明期の初期加速は鈍いが高速巡航は得意なよくあった鈍重なエアロロードです。

基本的にはこの2台と比較して話を進めますが、どちらでもヤビツ峠27分台、富士ヒルゴールドは獲得しているので同等には乗りこなしていました。

さて、続いてコースです。
基本的にはこの2セグメントで乗り込みました。TCRはオールラウンド~クライミングバイクの要素が強く、私もそれを期待して購入したのでアップダウン多めのコースです。

1.ヤビツ峠
関東民にはおなじみのヤビツ峠。
勾配としても微下り~10%まで変化があり、かなり面白いコースとなっています。平均としては6%なのでそこまで厳しい峠ではありません。4.8倍で30分くらいかかります。
主に大体260w~400wくらいで登って確認しました。基本的に登り全般はこのコースで確認。


2.道志道
こちらも神奈川・東京の方にはおなじみの道志道。行きは登り基調、帰りは下り基調ですが獲得標高から分かる通りアップダウンが多めです。
こちらはロードレースでも使えるか確認するため、グルペットのイメージで200~300wくらいで試走。また平坦、下りも含めて確認しました。


はい、それではやっと実走インプレに移ります

2.平坦

評価7点
SL 4点
TRANSONIC8.5点

まずは一番期待していない平坦です。
トルクをかけて進めると思ったより40km/h以降までは楽。但しそこから45km/hまでには少し意識して力をかけ始める必要があり。

但し、かかりといったニュアンスでは良いです。トルクをかけた初動が非常に良い。0→300wだろうが300→800wだろうが一瞬のリアの溜めを持ってスパッと進みます。

50km/h以上は・・・まぁプロペルに任せましょう。TRANSONIC(エアロロード)と比較すると40km/hまでは差が分かりにくいです。45km/h以上だと分かるかな?と言ったところ。ちなみにSLは35km/hくらいから風の壁を感じる・・・。

まぁ、45km/h単独巡航できる剛脚さんなんて殆どいないのでアマの場合、無視していいです(断言)。
40km/h程度の集団でポジション移動でちょこちょこ動きたい際にはかかりの良さで楽に移動ないしはキープできるでしょう。
仮にプロペルやエアロロードとの2台持ちなら
・サーキットエンデューロ→エアロ
・群馬CSC、葛尾等アップダウンがあるロードレース→TCR
と使い分けを考えられる程度には平坦能力を備えています。

3.緩斜面

評価9点
SL 7点
TRANSONIC7点

続いて緩斜面です。イメージは3~5%
最新機種だと実は一番差が分かりやすいかもしれない。
軽い、なのにそこそこエアロが一番輝く箇所です。空力の悪さも感じないし、かといって登坂での重さも感じない。どちらの要素も高バランスで備えているため非常に点数が高くなりました。

ここではまだ速度が出るためケイデンスは割とどのような回転数でも進められる気がします。私は主に70~90回転くらいで登りますが特にフレームの硬さを感じることなく4~6倍までならどのパワー域、ケイデンス域でもフレームの硬さ等を感じることはありませんでした。

4.中程度斜面


評価8.5点
SL 8点
TRANSONIC6.5点
イメージは6~9%
所謂登りらしい、登り。当たり前だけどフィーリングは緩斜面同等良いです。このあたりからリアのしなりがどのくらいかを感じてきます。
SLと同じく僅かにしなりながら進ませるタイプ。ただし許容ケイデンス域は80回転~と感じます。
それ以下だと緩斜面とは異なりフレームの硬さが顔を表してくるので短時間ならともかく長時間は維持しにくい感じ。
SLはこの時既に大体硬い感じがするのでそれよりは許容範囲が広い気がする。
TRANSONICは既に重さを感じてビハインド。

4.急斜面

評価9点
SL 9点
TRANSONIC 4点
イメージは10%~

曰わく激坂領域。ここまで勾配がキツいと軽くて硬けりゃ大体登れるフレーム扱いになってしまう
ただしTCRは重心が前寄りによるトルクの掛けやすさ、SLは軽いことによる登り易さで少しニュアンスが違う。
TRANSONIC?ヒィヒィ言いながら登りますよ。

5.下り・ハンドリング

評価10点
SL 6点
TRANSONIC 7点

ここでいう下りは最高速度の話だけではなく、コーナリング性能も含めて。
最も評価が意外且つ良い箇所!

正直前述のフォーク重量(294g)から相当ピーキー且つ不安定なイメージで最初は恐る恐る下っていた。
慣れてくるとリムブレーキ並みの軽やかさ+ディスクブレーキによる低重心+OD規格によるフォークコラムの安心感が総合されてとんでもなく切り替えしがし易く、且つ安定して下れる!

OD aeroはク○規格だと思ってごめんなさい、この時の為のコラム大径化でしたわ。

確かに最高速度は平坦同様、エアロロードには劣る。しかし真っ直ぐ下れる時間、道というのは少なく、結局はコーナーも経て下っていく。その時のこのハンドリングの良さは下りがニガテな人にとっては確実に長所に映るだろうと思います。


5.総括

ここまで長々と書きましたが、纏めると以下となります。

1.フレームセットは軽い、ヒルクライムバイクを作るなら最適
2.規格は特殊な点があるので注意
3.走行性能は全体的に高水準。特に登り(当たり前)とハンドリングが秀逸。

この高水準で且つフレームセット50万円ならば確かに他のメーカーと比較してお安く感じます。
まぁ、元々「TCR」と名がつく業界最大手のメーカーの基準バイクが悪い訳無いだろうという目論見で購入しましたがその通りでした。

私みたいにヒルクライムメイン、時々ロードレースみたいなタイプには登りの強さと平坦、下りのバランスの良さで最適解の一つでしょう。

ここまで長々と書きましたが、これが読者の方の購入の一助になれば幸いです。

今回も読んで頂きありがとうございました!

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