許可食という概念
職場の摂食障害を経験した人から教えてもらった概念、許可食。食べてもいいと思えるもの、のことらしい。これがだんだん減っていくのが拒食の症状であるらしい、ということは聞いてはいた。
でも今のところ、同じものではあるけれど食べられるものが減っているわけではないし、そんなことあるのかなぁ、くらいに思っていた。
…それは急にやってきたのだけれど。子どもが好きでたまに作る、鶏肉のオーブン照り焼き。これが残ったので朝ごはんに食べようと思ってテーブルに並べた。いつもなら野菜と一緒に塩気として食べられていたもの。この皮がダメになった。油の固まりに見えてしまって、食べたときの弾力とかを想像すると寒気がするのだ。
そういえば、「なんだか食欲がもどらないなぁ」と思っていた半年くらい前に比べると、食べられるものはゆるやかに減っている。めいらくのポタージュスープや、六花亭のバターサンドは、大好物だったのに、あすけんで見ていたら脂質が高いことに気がついてダメになった。お米やパンみたいな、炭水化物!というものも、食べたあとに如実に体のラインに影響する感じがある気がして食べられない。ドーナツも、シュークリームも、アイスも。これまで好きだった食べ物たちが、私を太らせようとする成分でできている気がして、口に運ぶことができない。もしできたとしても、ドーナツなら四分の一にするとか、シュークリームとか中身があるやつはの中身だけ食べてあとは捨てるとか、普通にひとつを食べたのって最後はいつだったか、思い出せない。
もともと食べることは好きだった。ビュッフェとか行くと幸せな気持ちになったし、好きな食べ物を見つけると嬉しくなった。でも今は、ビュッフェにいくのは生命維持のため(なってるかどうかわからないけど)で、その前後2日〜3日間くらいはいつもよりさらにカロリーを削らないといられない。好きな食べ物を見つけることは今でもあるけれど、結局それを食べるところを想像して恐怖心が勝ってしまうことを何度か繰り返して、もう考えるのが辛くなった。おかげで、スーパーやコンビニで余計なものを買わなくて済んでいるのは、いいことなのかもしれない。
今のわたしの許可食は、朝の5時1回だけ。
・ナスをレンチンしたものに、スイートチリソース
・ブロッコリーやもやしをレンチンしたものに、韓国のプリンクルパウダー
・レンチンしたかぼちゃ、もしくはオーブンで焼いたさつまいもにスパイス塩
・無糖無脂肪のヨーグルトもしくは、ギリシャヨーグルト
・大根のはちみつ梅和え
・はちみつナッツ
・プロテイン+青汁+イヌリン
・レタスやミニトマト、きゅうりなど、家族の残したサラダ系野菜ののこりもの
・前日のおかずの残り物(脂質の高いものはダメ、魚とか、おかずの野菜部分だけとかにする)
・野菜スープ(時によって溶き卵や、肉団子が入る)
・ベーグルやパウンドケーキなどの好きな食べ物を半分ないし四分の一にしたもの、かつ純粋な炭水化物部分は残す
・納豆
・時々、フルーツ
…とざっくりこんな感じで毎日同じものを食べている。今までは野菜食べてるし、痩せるならラッキー!くらいに思っていたが、どうもこれでは生命維持をするのに無理があるらしいということを、鉄欠乏再貧血や甲状腺機能低下になって、やっと頭では理解した。それでも食べようという気になれないのだ。
たぶん、わたしの場合は希死念慮と嫌な感じに相互作用しているのもあるだろう。このまま悪化すれば死ねるかもしれない。あとは単純にセルフネグレクトをしているのかもしれない。
世の中にこんなに美味しいものがあって、好きな食べ物だってあるはずなのに、もう食べることを想像するだけで怖くなるし、なんなら嫌悪感を感じるようになるなんてなぁ。