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雨の匂い
雨の匂いがわからない人は存在するのだろうか。少なくとも身内は、だいたいの人が感じているように思う。
都心部ならアスファルトの湿った匂いのような、土のような、重ための匂い。雨上がりによく遭遇するが、時々雨が降り出す前に感じることもある。うっすら風に乗ってやってくるのだ。
私が子供の頃は夕立、というものがあり、夏にはよく遭遇したものだ。今ではゲリラ豪雨なんて品のない言葉になってしまって、年中それは起こるけれど。夕立の後は少し夏の風が涼しくなって、昼間の暑さから開放された気になってほっとしたものだ。今は夏にゲリラ豪雨が降ろうものなら、そのあとは暑さに湿度が足されるだけで地獄みが増すのみ…。
私は雨が降り出す前の、うっすら風に乗ってくる雨の匂いが好きだ。たぶん、遠くの、既に降った雨が匂いとしてやってくるのだろう。風の向きが変わったような、変化の予感がする。たいていは別になんてことはない日常が続くだけなのだけれど。
こんなときはたいてい、ミスチルのyouthful daysか、最近だとモノノアワレの風の向きが変わって、FoZZtoneのレインメイカーあたりを聞きたくなる。そして次にやるべきことや、以前の雨の記憶に思いを馳せてみたりする。