俺は俺を全うするよ

MOROHA、というラッパーとアコギ弾き(で正しいのかはわからない)がいる。いや、いた、ということになるのか。12/21の冬至、恵比寿のライブで、最後に活動休止することを発表したらしい。UKが今ある引き出しをすべて使い切ってしまって、この状態のまま新曲を作っても、これまでの二番煎じになってしまう、それは美学に反するということでアフロにそう告げたと。

私はその日、家族でクリスマス会をする予定でいて、ライブに行ける状況ではなかった。もちろんチケットは取ってなかった。でも結局、クリスマス会に来るはずだった実母がインフルエンザに罹患して会ができなくなったので、予約していた食べ物たちと、実妹も12月が誕生日なので渡そうと思っていたプレゼントなんかを届けに行って1日バタバタして帰宅したら、そんなニュースを知ることになった。

MOROHAのライブ、何度か行ったけれど、必ず泣くアーティストってMOROHAくらいだったな。amazarashiも泣くんだけど、毎回じゃなくて。なんだろうな、胸ぐら掴まれるような気持ちになって、普段考えないようにしている心の奥のところを抉られたりもして。おじいちゃんが、上京するアフロに保険証持ったか聞いてくる詞が、自分のおじいちゃんにリンクすることもあって。で、ライブで泣いたあとは、だめな自分なりに泥臭くやってみよう、かっこよくはなれないけどやれることはやろう、後悔しないように、なんて思わせてくれる貴重な存在だった。もういいや、なんて人生舐め腐ってる気持ちになってる自分の胸ぐらを掴んでくれる、貴重な存在。

ニュースを知ったとき、最後になるんだとしたら恵比寿に行きたかったと思った。でも、アフロが、いつ終わってもいいと思うライブをやってきた、だからあなたが観たライブが最後にふさわしいライブでした、と言ったらしい。それを知って、今日行けなかったMOROHA好きな人たちのことも、なかったことにしないでくれてありがとうと思った。

思い出深いのは野音、ザゼンとの恵比寿での対バン、そして武道館。特に武道館での2人はとても楽しそうで、まさか2024年の終わりに、こんなニュースを知ることになるなんて。

いつだって気になるライブには可能な限り行ってきたつもりだ。フジファブリックの志村が、クリスマスイブに現実の世界からいなくなってしまって、そのあとのCDJで誰もいないステージを見てから、たくさんのバンドの活動休止や解散を目にしてから、その気持ちを強く持ってきたはずなのに。

なんだかわたしはいつでも大事なときに間に合わない気がする。会えたはずなのに会わずに永遠に別れてしまったおじいちゃん、もうすぐこの世から居なくなってしまうことがわかっていたのに付き添えなかったおばあちゃん、落ち込んでいる友人がこの世からいなくなることを密かに決めた瞬間。もう二度とない、そういう瞬間にそこにいることを求められない、そうできないことの悔しさというのは、どう燃やせばいいのだろう。

MOROHAは事実上、解散ということになるのだろう。でもアフロとUKは生きている、音源も、行ったライブも、確かにそこにあって、これからもそれは変わらない。あとは自分が、それに触れたとき、どう考えるか、感じるかなんだろう。
それでも、また2人が合流してくれるといいな、なんて願ってしまう。胸ぐらつかんで、甘えてんなってリリックでぶん殴ってほしい。なんて、これも甘えかな?
私も、私を全うしたいな、できるだろうか。



どういう自分であれ、また必ず会いましょう。MOROHA、いつもありがとう。あなたたちの決めたこの先が、精一杯の人生でありますように。

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