春雷、遠雷

ここのところ、雷が鳴っているのをよく聞くように思う。春になると一雨ごとに暖かくなるけれど、だんだんそれも季節の体感としては通用しなくなってきたな。

雷、そんなに怯えるほど怖いということはない。むしろなんとなくワクワクするような、ドキドキするような感覚になる。その後にやってくるであろう豪雨や、もしかしたら空にかかるかもしれない虹のことを考えたりする。

それから幼い頃の雨や雷の思い出を蘇らせたりもする。千葉の外房が生まれなのだけれど、都市部の千葉と比べると冬は寒かったり、電車通学していた頃は学校あたりと家のあたりで天気が違ったり。祖父母宅の縁側からぬかるんでいく庭を眺めたこと、大雨の車の中で聞く雨の音、そこにいた、かつての両親や妹のこと。なんだかひどく遠い、雨の記憶。

今年はどんな春雷や遠雷があるんだろう。いつか年老いたとき、それを聞いて思い出すような記憶になるだろうか。