第13回明治神宮野球大会北海道地区代表決定戦 10月17日(3日目)札幌学生野球 アウトサイドリポート2021 095
東農大北海道オホーツクが東海大札幌キャンパスに3対0で勝利、神宮行きの切符を掴み取った。この秋一番の冷え込みと予想された10月半ばの札幌円山球場。日差しの強さとは裏腹に冬の到来を知らせるようなひんやりとした空気、時折、霧のような小雨も降り注ぐ中での一戦となった。
先攻東農大、先発は伊藤茉央、後攻東海大、先発は加賀谷。先制したのは東農大。1回、東農大は東海大内野守備の乱れで一死一、三塁の好機を得る。打者4番金子のとき、一塁走者が一、二塁間に挟まれる間に、三塁走者守屋俊介が本塁突入、生還して1点を先制、無安打での先制である。さらに東農大は3回に金子適時打で1点を追加。試合中盤は共にスコアが動かず、次に動いたのは7回の東農大。山田、金子の安打で二死二塁、三塁と追加点の好機到来。続く守屋俊明の放った遊ゴロ、一塁への送球が逸れる間に山田が生還して東農大に追加点が転がり込む。投げては伊藤茉央が要所を三振で切り抜け、9回を完封。東海大は伊藤茉央の前に散発の5安打、三塁を踏んだのは、1回、5回の二度のみ。加賀谷、工藤、正岡と繋ぎ、反撃を待ったが、得点機を東農大に守り切られて、反撃に転じることができなかった。
東農大 101 000 100 3
東海大 000 000 000 0
東農大:伊藤茉央
東海大:加賀谷、工藤、正岡
□1回~3回
1回表東農大の攻撃、東海大先発は加賀谷。1番守屋俊介、三ゴロ送球エラーで出塁(無死二塁)。2番山田犠打成功(一死三塁)、3番古間木ニゴロが野選(二塁服部正面へのゴロ、三塁走者守屋俊介飛び出したのを見て三塁へ送球も守屋俊介帰塁早くセーフ、送球もやや高かった)となって一死、一、三塁。打者金子のとき、古間木が一、二塁間に挟まれる間に守屋俊介本塁突入して生還、本塁への送球逸れて、古間木も三塁へ進む。金子、一ゴロ、守屋俊明、四球、江川、三振。東農大が1点先制。1回裏東海大、平野、中安打。服部、犠打成功、宮澤晃汰、一ゴロで二死三塁。浦田、三振。東海大得点ならず。2回表東農大の攻撃、内田、二塁失策で出塁。上原、犠打成功、伊藤茉央、三振、守屋俊介、遊ゴロ。2回裏東海大、藤本、三振、国武、右飛、相馬、右飛。3回表東農大の攻撃、山田、遊飛、古間木、右三塁打、金子、中前適時打で2点目。守屋俊明、三ゴロ、江川、一ゴロ。東農大に2点目が入る。3回表東農大の攻撃、中野、中飛、加賀谷、中飛、平野、三振。
意外な形(いや、点が入るとすれば、
ある意味、こういう格好しかないとも
言えるのかも)で東農大が1回に先制。
ここまでの2戦では、
直接、得失点に絡むような
失策のなかった
両チームだったが、
この最終戦の初回に
失策が出てしまった。
東海大先発加賀谷が知らされた時点で、
東農大がどういう形で得点を奪うかが、
試合の行方を推し量る上で、
最も重要な関心事になっていただけに、
東農大先制点奪取までの一連の流れは、
見る側の準備も覚束ないうちに、
東農大が、1点を捩じり取って
行ったようにも見えた、それも無安打で。
そして、3回の追加点は、
チーム初安打と2本目の安打によるもの。
泥臭さとは相容れないような、
効率の良さを見せて2点目を奪う。
なお、古間木の三塁打は二塁打で
止めておきたいところだった。
(相馬の手前でバウンドが変わったのは、
東海大には不運としか言いようがないが)
状況は以下の通り、
古間木が引っ掛けるように、
右翼線へライナー性の安打を放つ、
右中間を詰めていた相馬が打球を追走、
ところが、捕球直前でバウンドが
センター方向にイレギュラーした為、
(という風に見えた)
相馬と打球が入れ替わるような格好になり、
結局打球はフェンスまで到達、それを見た
古間木は二塁を廻り三塁を陥れる。
続く、金子の適時打で、
2点目が入ることになるが、
二塁打で食い止めていたならば、と
悔やまれる場面となったのではないか。
□4回~6回
4回表東農大。内田、ニゴロ、上原、三振、伊藤茉央、四球、守屋俊介、三ゴロ。4回裏東海大、服部、三ゴロ、宮澤晃汰、左中間二塁打。浦田、左飛、藤本、中飛。5回表東農大、山田、左安打、古間木、三邪飛、金子、遊直。守屋、中安打(山田三塁狙ってタッチアウト)。5回裏東海大、国武、二飛、相馬、ニゴロ、中野、左安打、加賀谷、三失策(二死一、三塁)、平野三ゴロ、6回東農大、江川、捕邪飛、内田へ代打小野、二飛、上原、左安打、伊藤茉央、ニゴロ。6回東海大、服部、三振、宮澤晃汰、一失策で出塁(一死一塁)、浦田、三振、藤本、三振
試合中盤は互いに無得点。
得点には繋がらないが、
小刻みな動きは互いにあり。
4回東海大は宮澤晃汰が
左右間へきれいに弾き返して
チーム2本目の安打となる
二塁打を放って好機を作る、が続く、
浦田、藤本凡打で得点ならず。
5回の東農大攻撃時は走塁死、
三塁での三死目はダメという
セオリーを聞いたことが
あるが(理由は不明)このパターンだった。
さらに、その裏の守りでは、
加賀谷の三ゴロを内田がエラー、
二死ながら一、三塁のピンチを招く。
6回の東農大は再びエラーで出塁を許すが、
伊藤茉央が鮮やかなカバーリング、
後続を連続三振で、
味方のミスを消し去る。
打球をこぼして、少しうつむく金子に、
大丈夫だ、とでも言うように、
ベースカバーに向かっていた伊藤茉央が、
グラブで金子の胸のあたりを、
ポンポンと叩いていたのが印象的だった。
□7回~9回
7回表東農大、守屋俊介、三振、山田、一強襲安打、古間木、遊飛、金子、右二塁打(二死二、三塁)。守屋俊明、遊ゴロ失策で山田生還。東農大に3点目が入る。江川、ニゴロ。7回裏東海大、国武、三振、相馬、左飛、中野、三振。8回東農大の攻撃、この回から東海大は工藤をマウンドへ送る。吉井、三振、上原、遊ゴロ、伊藤茉央、投ゴロ。8回裏東海大、工藤へ代打で鈴木大地、三振。平野、死球、服部、右飛、宮澤晃汰、左安打、浦田、三振。9回東農大の攻撃、東海大は三番手の正岡。守屋俊介、四球、山田、犠打成功、古間木、二飛、金子、一ゴロ。正岡、先頭打者に四球与えるも、以降を抑えて、同点、逆転へ望みを繋ぐ。9回東海大、藤本、中安打、8回から一塁に入っていた東、左飛、相馬、三ゴロ、中野、三振。試合終了、東農大北海道オホーツクが東海大札幌キャンパスを3対0でくだす。
7回東海大の守りにミスが出て
東農大に追加点。
5回、6回守備のミスが出たものの、
結果的に失点を回避した
東農大とは対照的に東海大は初回に続き、
直接失点につながるミスとなってしまった。
東海大は8回を工藤、
9回は正岡を投入、
同点、逆転に望みをつなぐ。
しかし、8回は、
二死一、二塁で浦田が三振。
浦田は今日いずれも走者を
置いての打席となったが、
快打は生まれず、3三振。
9回は先頭の藤本が中前安打で出塁、
国武に替わって一塁へ入っていた東、
捉えた打球もレフト守屋秀明が抑える。
この日何度かあった同様の場面、
いい打球がことごとく東農大守備網に掛かる。
続く相馬、三塁ゴロ、
懸命のヘッスラも及ばず。
倒れこんだまま、拳をグラウンドに
叩きつけるキャプテン。
二死ながら昨日殊勲の同点弾を放った
中野に期待集まったが、空振三振。
2戦目のヒーロー中野が
最後の打者になるという
何とも皮肉過ぎる幕切れとなった。
対照的に、マウンド上では、
伊藤茉央が鋭いショートアッパーを繰り出す
ボクサーのように、快投を続けた右腕で
渾身のガッツポーズ。そして、両手を両足を、
左右に大きく広げ、全身で「大」を描き、
空に向かって雄叫びをあげる。
古間木、バックを守った野手、
一塁ベンチから飛び出してきた
メンバーと歓喜の輪を爆発させた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?