03 女の海溝 トネ・ミルンの青春 森本貞子 【全体構成】

話の全体像を伝えられないまま会話を始められることが苦手な癖に細部から話を始めてしまった、勝手なものである。ということで、そもそもこの書物全体の構成を整理しておこうと思います。プロローグを含めて全体は3部構成、巻末に参考文献とあとがきが添えられています。プロローグは過去2回でざっと内容を整理した通り。

■第1部 堀川とねの青春

第1部「堀川とねの青春」はトネ・ミルンこと「堀川とね」の生い立ちから始まり、ジョン・ミルンから求婚を受ける場面で幕が閉じられる。全体17つの章から構成されていて「堀川とね」が語る一人称の形態。冒頭、大正九(1920)年にトネ・ミルン(堀川とね)が27年ぶりに英国から函館へ帰郷、感慨に浸る姿が描かれ、そこから回想に入る形で自らの生い立ち以降が語られていく。

■第2部 女のブラキストン・ライン

第2部「女のブラキストン・ライン」は視点が書き手(森本貞子)に引き継がれ、函館にあるミルン夫妻の墓を訪れる場面を導入として、以降の章でミルン夫妻の足跡を辿っていく。こちらは全4章。プロローグ(書き手)第1部(堀川とね)第2部(書き手)と視点がスイッチするので最初はすこし戸惑いながら読み進めていたが、全体像が見えてきた後は、それほど気にならずに読むことができた。なお、構成についての意図は「あとがき」で筆者から説明が添えられている。

以上が書物全体の構成・輪郭。それでは、次回より抜き書きを再び進めて行こうと思います。

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