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22秋季リーグ戦棚卸_heatwave撰・さよならベストナイン

<21年秋のさよならベストナイン>はこちら


□先発投手:宮澤太成(北海道大学)

<きったない球>で北大を一部に引き上げ、そして春残留の原動力にもなった主戦投手。<きったない球>は最大級の賛辞である。ずしっと重く、そして、ざらざらっとした感触の球質が最大の持ち味であり、それは、ある意味で、札六二部リーグを象徴するような何かでもあったと思う。その何かが、22年春の昇格によって一部リーグに現れたことで、札六一部の風景のある部分がしっかりと変わった。最後の秋に登板がなかったのが残念でならないが、主将としてベンチワークでチームを支えた。

□救援投手:松崎輔(札幌大学)

記憶に間違いがなければ22年秋までリーグ戦登板はなかった筈。最後の秋は5試合に登場して、2勝。中継ぎのエースとして存在感を発揮した。右のサイドスローはかつての中継ぎエース清藤を思い起こさせるが、清藤と異なる点は186センチの長身から、ありったけの力を込めて、強く腕を振って投げ込むその姿。春までの札大救援投手陣に顔を揃えていたどの投手とも異なる独自の色を放った。最長3イニングを預かる試合もあったが、ピンチの場面にワンポイントで投入されて切り抜けたいくつかの場面が印象に残る。

□救援投手:成田琉二(札幌大谷大学)

21年秋二節(9月16日)札大戦1失点完投で敗戦投手となった試合が記憶に鮮やか。被安打7失点1と役割は充分に果たしたが、このときは相手(札大・山川)が悪かった。自軍が放った安打はわずか4本、かつ2併殺と札大山川の術中にはまった格好。しかし、9月24日の北翔戦では大量11点の援護を受けて1失点完投勝利を挙げた。
https://note.com/heatwave2020/n/nfc94d27e3518

□捕手:塩沢一朗(札幌大学)

1年秋からマスクをかぶる。勝負強い打撃とつなぎ役を求められる状況では確実に犠打を決めるなど、攻守の要としてチームを引っ張った。打線中軸を任される時期もあったが、個人的には6番、7番あたりが適役だったと思う。22年春の不調に、勝手に気を揉んだが、秋に見事復活。2本塁打を含む打率3割5分越えを記録。ベストナインは道都・三浦響に阻まれるも見事な成績。盗塁阻止率ではリーグ1位。ちなみに、21年秋一節の学園戦では鈴木大和も刺している。

□一塁手:永井翔大(北海道大学)

北大野球の何かを象徴するのが内野の守り。守って守って守り抜いて、少ない好機で反転攻勢に出る。反転攻勢までを耐え抜く為の懸命な守り。その内野の守りを締めるのが、ゴロアウト時の送球を一塁で待ち構える永井。一瞬「高い!」とヒヤリとするような送球も長身を活かしてスッと伸びあがりながら捕球する様を何度も目撃したように思う。同じ4年生の萩原と共に一塁ベースを守り続けた。「東海越え」を果たした一戦では貴重な押し出し四球を選ぶ働きも。

□二塁手:佐藤豪紀(東海大学札幌キャンパス)

21年春の活躍が記憶に鮮やか。本塁打2本を放ち打点王にも輝く。3年までは出場機会もわずかであったが、22年春は中心選手として躍動した。東海大学付属高輪台高からの越境組。全日本大学野球選手権大会で神宮球場へ「凱旋」できたことを勝手に喜ばしく感じていた。

□三塁手:林涼太(札幌大谷大学)

22年春一部残留の立役者。学院戦同点で迎えた9回表に逆転の適時打。さらに北翔戦では3点本塁打を含む4打点の活躍。リーグ戦では下級生に出番を託す場面も少なくなかったが、入替戦では最上級生として存在感を発揮した。試合状況に応じて、一塁、遊撃にまわることもあったが、守備でも安定していた印象がある。

10月11日から一部リーグ生き残りを懸けての入替戦が始まる。最後の大仕事がまだ残されている。

□遊撃手:日下優汰(北海学園大学)

本職は二塁手と思うが遊撃手枠で選出。22年シーズン学園大の主将。チームが曲がり角を通過しているなかで、一選手としては下級生にポジションを預ける状況もあったが、三塁ベースコーチなどでチームを支えていた姿が印象に残る。曲がり角を通過していく推進力自体は下級生が担っていたかもしれないが、進むべき方向付けや、駆け抜けるためのバランスを保つ作業は、日下を始めとしたわずか5名の4年生が取っていたのかもしれない、と、想像する。

□外野手:石橋翔(東海大学札幌キャンパス)

150キロの剛球投手から野手への転向組。東海の野獣。19年春トーナメントではノーヒットノーランを達成(6月29日酪農戦)。20年秋の北翔戦で最後の登板。以降、快速強打の外野手として躍動。この秋は待望の本塁打も放つ。石橋の真骨頂は走塁。右中間を切り裂く長打で、一塁を蹴ってから、ぐいぐい加速しながら、少し無駄と思えるくらいに膨らんだコース取りをしながら、二塁をまわり、三塁へと向かう姿。強さと速さを併せもっていた希少な選手として強く印象に残る。

□外野手:小山朝陽(札幌大谷大学)

林が大谷内野陣のアンカーならば小山は外野のアンカー役。19年秋新人賞(ベストナインにも選出)でデビュー以来、大谷史上初のネイティヴ一部プレーヤーとしてチームの中心に担い続けた。技を尽くしたセーフティーバントの使い手の印象だが、個人的には、入ってくる球を逆らわず三遊間をきれいに抜いていくレフト前ヒットが小山の一番の持ち味だったと振り返る。

□外野手:影山裕利(札幌大学)

札大の背番号1番。2年生くらいのときから試合では姿を見ていた印象がある。いずれは外野の一角を担うだろうと想像をしていたが、22年の春から多くの出場機会を得た。かつて練習試合でエグイ本塁打を放ったとの噂を聞き、いつかアーチが飛び出すことを期待していたが、それは残念ながら叶わなかった。けれども、個人的には、札大の外野陣~古くは柳谷参助、一世代前の出町省吾や菅原貴都といった面々~に連なる選手として記憶しておきたい選手である。そして、この系譜へ、秋に影山と共に外野を守っていた、佐野翔騎郎や太田光正が加わってくることになる。

□指名打者:鈴木大地(東海大学札幌キャンパス)

ありきたりの表現で恐縮だが、東海が誇るホームランアーチストとして長く注目していた(札六の美しい放物戦の描き手として真っ先に思う浮かぶのは鈴木大地と学園の志村)。きっかけは21年春ドーム(5月11日札大戦)であわやの一撃を目撃してから。で、この秋、同じく札幌ドームで待望の本塁打を見ることができた。何よりである。バックネット越えのファールボールを放つ頻度が札六ナンバーワン。タイミングを捉えるのが巧みな証拠。21年春は首位打者を獲得、優勝にも大いに貢献した。


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