23秋季一部リーグ戦_第一節【棚卸】
◇北海道大学 一節4位:2勝3敗
学園、東海に勝利、春に続き一節2勝で折り返し
開幕戦を落として黒星発進。その開幕戦だが、道都に先行許すも、終盤追い上げて1点差までに迫る粘りみせる。すると2戦目は学園に3-1で勝利。ところが、その後、札大に完封負け、大谷には延長TBに引き摺りこまれての敗戦、連敗となる。しかし、最終戦東海には8-1コールド勝ち。序盤から攻勢、終始リードを保ち、最短の7回決着で試合を決めた。これで2勝目、単独最下位を脱出。札大、大谷に追い付き4位での折り返しを決めた。
【投】与四球リーグ最多も不思議と傷が広がらない、走者を背負った後に粘りを発揮か
先発は小岩宥光が軸になると思いきや、実際は小岩が先発を務めたのは1試合のみ。最多は遠藤彰の2試合、飯島孝平と田所大貴がそれぞれ1試合を預かった。先発は1試合の小岩だが救援含めて4試合に登板と軸であることは不動。ただ、調子自体はやや本調子ではないように見える。春以前に見せていた球のキレと比べたときにやや鋭さを欠いているように感じる。その小岩と並んでマウンドを守ったのが皆勤登板継続中の飯島。本来は抑えだとは思うのだが、札大戦では先発にも廻り忙しく投げ続けた。四球の多い点は気にはなるが、緩い変化球の制球は安定していて、カウントを稼げていることで、投球に幅が出来つつあるか。力投型のフォームとのギャップ(見た目ほど、球が来ない)も効果的に作用しているようだ。遠藤彰は2試合に先発して1勝。学園戦7回1安打無失点と好投。飯島同様四球は多いのだが、不思議と傷口が広がらない。この「のらりくらり感」がらしさか。田所は東海戦に先発。これまでも東海戦の登板が多い。数字的にズバ抜けて得意ということでもないようだが、昨秋ドームで勝利した流れからの起用だったか。奇襲・・・とまでは言わないが、どこか北大らしさが見える作戦であった。
【打】リーグ最多打点の全員ジョーカー打線
一節、打の中心はチーム最多6安打の今利之と最多打4打点の近江徹太、山上新太。やや長い不振に陥っていた今がようやく復調気配。さらに上がってくることを期待したいが、まずは調子、上向きに転じたようだ。打順も2番が合っているように思う。近江も4戦目以降にアタリが出てきた。本塁打を期待している。不動の1番が山上。チーム最多の打点は下位が作ったチャンスを山上が返していることによるものか。ちなみに打線下位に入っている藤井洸輔も3打点。上位山上、中軸近江、下位藤井と打点を稼いだ打者が上中下に満遍なくいるのは北大だけかも。よくよく見れば、チーム打率はリーグ3位ながら打点はリーグ1位。打順不問で「どこでも点が取れる」、全員ジョーカー打線を如実に写し出している。東海戦コールド勝利の口火を切った宮坂啓徳のバスターでの適時打など「コンスタントに打つ訳ではないが勝負強い」打撃ぶりも印象に残る。その東海戦で2安打デビューした髙橋宏誓は新世代ジョーカーとして二節も注目。一方で復調期待は藤原健裕と大澤楽汰。全員ジョーカーの誰かしらが日替わりでいやらしく働くと相当に面倒臭い打線であることは間違いがない。
◇札幌大谷大学 一節4位:2勝3敗
初の道都越えを達成、春に続く一節2勝
2勝3敗で4位。一節2勝は23年春に並ぶチーム最多タイ(21年秋も2勝しているが不戦勝の1勝が含まれており、実質この秋が2度目の一節2勝)。特筆すべきはチーム初となる道都戦勝利。最終的に優勝の行方がどこに向かうのかは二節を見守ることにはなるのだが、この1勝は(春の東海越えに続き)大谷が優勝争いに直接影響を及ぼすチームとなったことを示す意味で極めて重要な1勝として記憶しておきたい。
【投】個人記録がチーム、ひいては優勝の行方にも影響を及ぼすかもしれない伊藤嶺の投球回数を注視
投の大黒柱伊藤嶺は秋も健在。皆勤登板こそ途絶えたが4試合に登板(3試合先発、2試合完投)。投球回数30回はもちろん断トツのリーグ1位。大会パンフレットには投球回数60回以上で名前が刻まれる。ここを目標とするならば、一節と同じ投球回数が必要になる計算。この投球回数記録に着目したいのは、この伊藤嶺の投球回数が二節の大谷躍進とひいては秋の行方全体へ大きく影響を及ぼす可能性があるという点から。優勝争いが混沌を極めた秋として記憶することとなった場合、そのひとつの要素として伊藤嶺がどこまでイニングを食べ続けていたのかがポイントになるかもしれない。注視。
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金星獲得となった道都戦は鳴澤が先発、7回被5安打2失点2と好投を見せた。
【打】打線牽引は飯田と中川、大見復調に期待
一節、打の中心はチーム最多6安打の飯田柊哉とチーム最多5打点の中川諒。両名が中心となるのは開幕前の予想通り。二節に向けてまず戻ってきて欲しいのが大見晨藍。今年の春から調子が上がってこないようだが、チーム躍進の上で絶対に必要となる打者。22年秋ベストナイン獲得時の打撃を再び見せて欲しい。加えて、一部ネイティヴ世代で最後のシーズンとなる田口恭大と小路楓世にも期待。スラッガー枠で注目は石鳥颯。代打登場で2安打と結果を出した。高橋彰磨とのポジション被りでスタメンには食い込めていないが、ポジション争いがチームの勝利に繋がっていく好例として見守りたい。
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遊撃手争い。一節は三崎凌大が全試合出場。ヒットはまだ出ていないが、まずは守備(一節失策なし)そして打線のつなぎ役として働いた。北大戦では延長11回勝ち越しのお膳立てとなる大事なバントを決めている。
◇札幌大学 一節4位:2勝3敗
札大劇場、秋の開演を告げるベルは鳴らず
2勝3敗、4位。開幕大谷戦勝利で飾るも続く東海戦はコールド負け。3戦目苦手北大には勝利、貯金をひとつ作るが、道都・学園に連敗して負け越しでの折り返しに。チーム防御率は学園に次いでリーグ2位だが、いかんせ点が取れない。一節を終えて6チーム中唯一の一桁得点(9点)。杉木を4番に据え、3番佐野、5番西正が前後を固める意欲的な新布陣で挑んだが、4戦目以降は見直しに着手せざるを得ない状況になっている。大谷、北大からの完封勝利にペースメーカー感と投手陣の安定感は表現されてはいるが、それはあくまでも従来の札大のイメージを再確認するもの以上ではなく、やはり、一節を1位3勝2敗で終えた3チームと互角以上の戦いをしてこそ札大劇場、真の開演と言える。二節開演のベルを鳴り響かせたい。
【投】阿曽、長谷が奮投、両エースをカバーする救援陣の奮起期待
先発は阿曽伊吹、長谷隼平がそれぞれ2試合。1試合を吉亜貴人が預かる。抑えの高松昴之介を勝ち試合で投入したのはまず思惑通りかと。一方、上位校との対戦では登板させられる状況にならなかったのが悔やまれる。学園戦、最後まで長谷に託したが(結果、8回に失点、敗戦)高松を突っ込んでいたなら、違う結果もありえたような気がしている。他、救援陣では滝川恵介、宮田文仁、戸嶋脩大が登板(いずれ東海戦)。
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一節敢闘賞候補のひとりの長谷。学園帯川との左腕対決は見ごたえ十分、140キロ越えのキレ良くコースへ制球された直球と変化球が冴えた。最後に捕まったが、ここに札大の限界を見ることができる。阿曽や長谷が好投し、相手を上回る得点を奪えれば、勝ちに近づくことができる。しかし、彼らが退いた後、一気に攻め込まれる危険を認識しているからこそ交代に踏み切れない。つまりは両エース頼みということだ。長谷が4回で降りた5回以降に突き放された東海戦の状況は端的にそれを表しているのだろうか。両エース頼みを脱却するには救援陣が踏ん張り、ベンチの信頼を勝ち取るしかないのだが、残念ながら、先に書いた(個人的に期待している)高松もまだその信頼対象にはなり得ていないのかもしれない。二節、両エースへの依存を押し下げる救援陣の奮起を期待したい。
【打】リーグ最少得点打線、4番・杉木の前と後ろの充実がカギ
一節、打の中心はチーム最多6安打の杉木優斗。三浦琉生、桑田翔叶が4安打で続く。打点では杉木が4打点、次いで佐野翔騎郎が3打点。杉木は本塁打も1本記録。以前ほど極端なアッパースイングではなくなったような気がするが、確実さも考慮してのバージョンアップであろうか。まずは杉木が中心になることを前提とすると、その前を打つ、桑田や佐野の出塁が鍵になる。加えて杉木がチャンスメーカーになる場合には後ろが重要になるが、前も後ろも連動感が乏しい。比較的、前は期待が持てそうだが(三浦、桑田、佐野)、後ろが今のところ脆い。期待しているのは、布施友梧、小飼隆太。チャンスが多く廻ってくる印象の多い彼らのバットが火を噴かないことには札大劇場開演はありえない。あとは蔵谷隼士。気づけば最後のシーズン。高谷耕平を追い越してスタメンに食い込んだヒットメーカーの姿を最後の秋に取り戻して欲しい。
◇北海学園大学 一節1位:3勝2敗
開幕劇的勝利好発進後に連敗、しかし4・5戦連勝で1位に取り付く
3勝2敗、1位。開幕戦、杉林蒼太の逆転3点本塁打で劇的なサヨナラ発進。この勢いに乗って行けるかと思いきや、続く北大戦、そして道都戦と連敗。春の単独最下位での一節通過が脳裏をかすめ始めるが、4戦目から浮上。札大、大谷に連勝。一節最終戦で3勝目を挙げた為、最後に1位に取り付いた格好で一節を終えた。並んだ東海、道都がいずれも一節最終戦を落としての3勝止まりで終わったのとは逆。その意味で、1位3チームの中ではいい流れで二節を迎えることができるのが学園かもしれない。
【投】防御率リーグ1位、最強投手陣として二節も躍動か
チーム防御率1位。5試合の先発は、大黒柱の帯川瑠生、そして同じ左腕の木村駿太がそれぞれ2試合。髙谷舟が1試合を預かった。帯川のハイライトは札大戦の3安打完封。左腕対決となった札大長谷との投げ合い。試合中盤までの主役は長谷に譲り、中盤以降にギアチェンジして9回をトータルを投げ抜く、試合をデザインする力で投手としての完成度を見せる格好で長谷に投げ勝つ。木村は大谷戦を8回零封。その大谷戦に先立つ北大戦は7回途中まで投げて3安打2失点。投打の兼ね合いで負けはついたが、役割は果たしている。道都戦先発の白羽の矢が立った髙谷。4回6安打1失点。しっかりと投げていた印象だが、本人とチームの評価はいかに。この一戦を任されるのは期待の裏返し以外の何物でもないと思うので、再戦あれば、より長く投げる髙谷を見たい。
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不動の中継ぎが小沼快登、最後を堀川怜央が預かる形がリーグ1位防御率を誇る学園投手陣。二節、打線の手厚い援護有無は蓋を開けてみなければというところはあるが、最強投手陣として秋を終えることができるか、注目である。
【打】プロスペクト軍団の躍動が本格化、一方で志村・金野・久保田の復調待ちか
一節、打の中心。安打数で見るとチーム上位は常谷拓輝、水野航士朗が5安打で並び、南泰成、杉林蒼太が4安打で続いてる。いずれもかねてから活躍が期待されている学園プロスペクトの面々。
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水野は札大戦で勝利を運んだ3点二塁打、南は札六秋の1号本塁打、そして杉林は前述の開幕東海戦でのサヨナラ弾と決定的な働きも見せた。常谷は秋ここまでは二刀流を封印。2番遊撃でチームの背骨を担う役割をしっかりと果たしている。「打てる遊撃手」はチームの躍進と大いに関連する要素として注目しており、この視点でも二節引き続き注視。
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欲を言えば試合ごとのムラをもう少し小さくしたいところだが、これまでとの比較で言えば、生じるムラは小さくなっている印象。
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プロスペクトが本格化する中で本来彼らを先導すべき、志村瞭、金野颯太、久保田廉太朗が一節はやや低調に終わった。二節浮沈に直結する彼らの復調を期待。そして、つなぎ役、または、目立つことは少ないかもしれないが、天神海斗、平手塁がここぞという場面で仕事をするかも注目。共に4年生、最後のシーズンの二節、足跡を残してくれるだろう。プロスペ枠では下向航が元気を取り戻してくれることを期待している。
◇東海大学札幌キャンパス 一節1位:3勝2敗
単独首位通過を懸けた最終北大戦を落とし、道都・学園と並んでの一節通過
3勝2敗で1位。開幕学園戦と最終北大戦を落としての2敗。19年春以降、5戦目は4勝3敗とやや鬼門な感じはあったものの、開幕戦は6勝1敗と不得手ではなかった筈なのだが、21年春以来の黒星発進となった。
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とはいえ、2戦目以降は3連勝。春からのチームの継続性と他チームの状況を見渡す中で、まずは半歩か一歩抜け出すのは東海ではないかとの予想に至る。
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9月1日4戦目(北大戦)が雨天順延、当初最終5戦目予定の道都戦が4戦目に繰り上がる。その道都に逆転勝利して1敗を守ったことで、単独首位通過の可能性をもって臨んだ北大戦はまさかのコールド負け。道都、学園と並ぶ格好で一節を終えた。
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道都に逆転勝利していい流れに乗れるかと思われた東海と北大の状態を天秤にかけて東海の単独首位通過は濃厚ではないかと安直に想像していたが、結果は予想を外してきた。しかもコールド決着、大外れだ。冷静に考えれば、不思議ではなくもないのだが、こういったことが起きうるのが近年の札六なのかもしれない。少なくとも予断を持っての戦前予想は軽率であるということの教訓になる一戦であった。
【投】高木、登坂、鈴木一茶で3勝、セカンドユニットの頑張りが二節を乗り切る鍵か
やや意外な形で一節を終えたのが東海。4戦目までを登坂、高木、鈴木一茶の3名体制で乗り切る。これが当初から意図した起用であったのか、結果的に3人で賄えたのかは不明なのだが、ここにも、この23年秋一節の投打の力関係が反映されている気がしてならない。というのは、その4戦目まで東海の戦績は3勝1敗。開幕日学園とTBまでもつれた末のサヨナラ負けで1敗した以降は3連勝。1敗はともかく、その後の3勝は前述の3人でマウンドを守っての連勝。その間、投手起用としては、ほぼ慌てた感じは見られない。3人がきっちり投げ切ったということは勿論なのだが、逆に言えば、他チームが慌てさせることはできなかったわけである。
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3連勝中、最も緊張感高まった一戦はやはり道都との4戦目であったか。この試合、登坂-伊東の投げ合いにこだわらずに「攻めの」継投へ先に動き、逆転の流れを呼び込んだ。投打、そしてベンチ・グラウンドが咬み合い、内容・結果共に道都を上回る冴えを見せた。
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東海投手陣の出来及びリーグ全体の投高打低傾向のふたつの要因で4戦目までを終えたが、続く5戦目は北大に敗れる。この試合は先発山以降、いずれもこの秋初登場の投手が登場した。4戦目まで乱れなく組み立てられていた東海投手陣が一節最後に見せた綻び。この北大戦だけを取り出せば、4戦目までを成立させていたふたつの要因が共に影を潜めたのかもしれない。ただ、要因の比重として前者が多いのあれば、東海二節全体を見渡す上で、ひとつ気にしないといけない事項が姿を現したようにも思える。ファーストユニット(高木、登坂、鈴木一茶)に次ぐセカンドユニットに出番が生じる次回、どういう結果を見せるのかという事項がそれ。具体的には二節終盤の札幌ドームの三連戦をどのように乗り切っていくのかという点、注目。
【打】縦縞打線は本格化前か、鈴木彪我が一節リーグ打点王に
一節、打の中心。安打数で見るとチーム上位は林祥大、天野鳳介(共に6安打)そして服部大(5安打)。天野は全5試合で安打を記録、開幕前の期待通り。林と服部と続くが、やや印象が弱いのは道都戦無安打に終わったことによるものか。また林は一節後半はやや調子が下降傾向に見えた。
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チーム全体では長打が極めて少なく全体で二塁打が2本出たのみ。ちょっと意外。
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着目すべきは一節終了時、リーグ1位の6打点を稼いだ鈴木彪我。前述の天野の安打数とも相関しそうだが、走者貯まった場面での勝負強さのあらわれか。そして、この鈴木打点との関連では磯崎太一(5四球)と亀浦凌佑(7四球)の四球の多さにも着目しておきたい。
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二節への期待は、打線上位では岡本魁、中軸では柿澤英寿。この二人が出塁して磯崎太一が長打で返す、そういった展開を期待したい。一節打点王だった鈴木の打点は減ることになるかもしれいが、むしろその方が、東海としてはあるべき攻撃の形になるような気がしている。
◇星槎道都大学 一節1位:3勝2敗
3勝2敗で1位。一節通過時の順位の意味が乏しくなっているのが23年秋の札六。道都、東海、学園の3チーム並んでの一節終了。同様に札大、大谷、北大は横並びで4位。「秋」全体の様子に言葉を与えるのは、二節を見届けた後となるのは当然だが、「一節」だけを見れば「混戦」とまずは理解しても良いだろう。と、これは、直接道都には関係のない一部全体の棚卸みたいになってしまった。
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道都の棚卸に戻る。春も一節2敗しており、実は特別、大騒ぎする事態ではないのかもしれない。ただし、大騒ぎとなってしまうのは、ふたつの負けの一つに大谷への金星献上が含まれていることによるもの。故障者発生等でイレギュラーズを多く交えて幕を開けたあたりからやや不穏な空気が漂っていたが、その不穏な空気は開幕戦の相手北大に追い上げられた試合終盤あたりから不穏感がさらに高まり、続く二戦目大谷への金星献上で頂点に達してしまったように見えた。
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それでも学園、札大に連勝、レギュラーズも戻ってくる中、態勢を持ち直しつつあるようにも見えたのだが、最終戦となる東海には逆転負け。実際の内容や細かい事実とは別に印象で順位付けをするならば、下位争いの位置に置かざるを得ないのが、一節を終えた道都への評価になるだろうか。
【投】もうすぐやってくる曲がり角が垣間見えた一節
滝田一希が一時離脱となった一節。Wエースの片翼担う伊東佳希が開幕戦含めて2試合に先発して1勝1敗。頂上決戦となった東海戦は、6回まで無安打投球も7回に捕まり先発した東海戦では春一節に続き敗戦投手となった。二節東海戦が最後のやり返しの機会か。印南伊吹、佐藤爽はそれぞれ、札大と学園を相手に力を発揮。大谷戦先発に白羽の矢が立った出雲崎綾は苦い札六デビューとなった。その大谷戦では市川虎南が救援でリーグ戦初登板。試合終盤を預かる松田航瑠は春から引き続き抜群の安定感を見せている。
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他、甲田健太が4戦目まで、5戦目は西川瑠恩が、それぞれベンチで準備を整えた。
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例年に比べて登板する投手の頭数がやや少なかった印象。余裕のある試合展開を作れなかった状況の映し出しか。開幕前、投手陣は盤石と踏んでいたが、滝田の不在でバランスが損なわれ不安定さが露呈したような格好。先に曲がり角を迎えているのは野手陣だが、投手陣も遠くない先に、もうすぐ曲がり角がやってくるかもしれないことを確認させられる一節となった。
【打】田中と菊地が軸、二節に向けては福島復調とエックスファクターの登場を期待
一節、打の中心。安打数で見るとチーム上位は可児陽康(7安打)、田中銀河(6安打)。可児は大谷戦を除く4試合で安打を記録、まずは開幕前の予想通りかと。田中は全5試合で安打を記録、調子上向きで一節を終えたと見る。曲がり角途中の野手陣の中で、次を担うことになるのは間違いない選手、二節さらなる働きを期待。この田中が内野の要ならば外野の要になるのが菊地大翔。3戦目からの登場となったが復帰初戦ではチーム全打点を叩き出して早速存在感を示した。他、後藤健太(3年室蘭栄)、佐藤隆之介(2年横浜高)が出場機会を得た試合では結果を出している。
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打点は堀越颯太の3打点がチームトップ。しぶとく点に絡む堀越らしさを示す数字であることを称えた上で、本来であれば、この打点チームトップには福島一茶あたりが座るべき場所である筈とも感じる。といった点で、順風満帆ではなかった一節の状況を示す数字と解釈(逆に言えば、上積みが大いに期待できるとも言える)。
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長距離砲として注目中の大井辰典の調子が上がってこない。振りにに鋭さ、力強さが見えないのが気に掛かる。先に書いた後藤、佐藤らと共に、大井を含むスラッガー枠・プロスペクト枠からのエックスファクター登場は二節を勝ち抜く上で必要不可欠。短いインターバルだが、上手く気持ちを切り替えて、良き状態での二節登場を待ちたい。
■一節終了時ベストナイン
◇投手
学園帯川、一節唯一(コールド除く)完封勝利、次点は2勝を挙げた東海高木。投高打低色濃く映し印象評価枠は選出多数につき割愛。
◇捕手
大谷中川、次点東海鈴木。率としては2割台ながらリーグ打点のトップ1・2が実はこの両捕手。
◇一塁手
札大戦殊勲の決勝打を放った学園水野、次点北大近江。この争いは熾烈極めそう。
◇二塁手
道都田中と東海服部、プロスペクトとレガシーの争い。
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気は早いのだが、田中には行く行くは遊撃に入ってもらい、学園常谷と札六ショートの代表的選手の座を争って欲しいなと。
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好選手集う二塁は激戦地帯となる傾向多いが、この秋一節もまさにそういった傾向。そして、印象枠断トツトップは開幕戦で逆転サヨナラスリーランの学園杉林。二塁激戦でもあるので、いっそ三塁へ廻って、札大杉木、学園杉林、東海林とWOOD争いをしてはどうか。WOODつながりで、学園森晴斗も加わってくるか。
◇三塁手
札六スラッガー問題の一丁目一番地。札大杉木と東海林。率まずまずもインパクトが物足りない。
◇遊撃手
学園常谷、期待通り。守備にやや綻びが出たが越えていって欲しい、逆に春から守りが改善された札大三浦が追い掛けている。
◇外野手
東海天野、道都可児、大谷飯田、次点で東海磯崎。外野隠れキャラ筆頭は道都菊地。
◇指名打者
道都佐藤爽、次点で東海柿澤。投高打低の象徴的地帯。逆に言えば大チャンス発生の空白地帯でもある。名乗りを上げてくるライジングスターの登場期待。
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