見出し画像

22秋開幕展望号

◇東海大学札幌キャンパス

11勝1敗で春を制覇。21年秋からの連覇に成功。三季連続の優勝そして秋連覇に挑む。三季連続優勝ならば16年春から17年春以来の三季連続優勝の達成。渡部雄大・登坂真大を軸にした投手陣と春までの主将相馬大河を中心とした攻撃陣のバランスはリーグ随一。最強投手陣が守りを固める一方で、攻撃陣は長打力と小技を絡め、そつなく得点を積み上げ春を制した。一節道都戦に勝利したことで独走状態になった春。秋も強者故の一人旅は続くか。

□投手陣

春は防御率1.26でリーグ1位。渡部雄大(東海大学付属甲府)、登坂真大(札幌光星)と左右のエースは健在。渡部は春無敵の6勝。全日本大学野球選手権大会ではノーヒットノーランを達成。まずはこの両投手が軸になるだろう。

春最終戦ベンチ入りメンバーは佐藤優真(北照)、山下泰世(東海大学付属札幌)、鈴木一茶(東海大学付属札幌)、高木健人(東海大学付属浦安)、山優斗(駒澤大学附属苫小牧)。

ここに割って入るのが、大津俊介(東海大学付属福岡)、高田洸弥(東海大学付属札幌)、橋本大昂(東海大学付属札幌)らか。

オープン戦で佐藤優真の姿が見えないのが気になっている。

□打撃陣

昨秋から今春でメンバーが大きく変わる。そして新たなに加わったメンバーの活躍がそのままチームの戦績に反映されたのが東海大学。春のチーム打率はリーグ唯一の三割越えでリーグ1位。長打力で圧倒していた印象が強いが、犠打24は学園大と並んでリーグ1位。手堅く小技も用いていたことを示している。犠打から強攻に切り替えた場面も多く、実質の犠打数は学園大を越えているはず。盗塁数14はリーグ2位。意外に走る場面は少なかった。これは必要性の少なさに比例する話かと。走らせる展開づくりはむしろ他の5チームによるものかもしれない。

新体制を率いるキャプテン服部大(東海大学付属札幌)、亀浦凌佑(東海大学付属札幌)が内野に張る一方、旧体制のリーダー陣~相馬大河(東海大学付属札幌)、平野龍之介(東海大学付属札幌)、石橋翔(武修館)が外野から見守る。相馬はジョーカーナンバー2をつけてのラストシーズン。個人的には、鈴木大地(東海大学付属相模)のバックネット越えファウルからの美しい軌道でのアーチを期待。

□開幕メンバー予想

投手:渡部雄大
捕手:鈴木彪我
一塁:亀浦凌佑
二塁:佐藤豪紀
三塁:鈴木大地
遊撃:服部大
左翼:塚本和真
中堅:平野龍之介
右翼:相馬大河
指名:西山航生

□対戦順

大谷→北大→学園→札大→道都

春下位から昇順に対戦。まずは一戦一戦を着実に刻んでいくことになりそうだ。開幕戦渡部ならば、最終道都戦は渡部か。全日本大学野球選手権ノーノー左腕と生まれ変わり中の道都打線との対戦は注目。

◇星槎道都大学

春は9勝2敗1分の2位。東海に届かず。20年秋以来の王座奪還に挑む秋となる。無冠に終わった21年シーズン、そして、22年春の準V。長い踊り場に入っていたのかもしれないことに気づいた春であった。その春を終えて、トーナメント戦以降、ようやく新たな生まれ変わりの兆しが見えてきたようにも感じる。兆しは本物であるか、秋10回の試し合いが始まる。

□投手陣

春は防御率1.53でリーグ2位。伊東佳希(旭川北)、印南伊吹(北海道栄)が軸か。印南はタンチョウリーグでHonda鈴鹿相手に好投、充実ぶりをうかがわせた。

そのタンチョウリーグ・ソフトバンク3軍戦での好投が伝えられているのが滝田一希(寿都)。大谷大戦での先発が濃厚と推測。バージョンアップした弾丸快速球左腕を見たい。

また、春は救援失敗もあったが、後ろは引き続き野呂春陽(星槎国際湘南)が中心か。無慈悲に試合を締めくくる快投を期待。

□打撃陣

春はチーム打率、得点数でリーグ2位。とはいえ、数字的には東海に大きく水をあけられた。新戦力が台頭してきた東海に対して昨秋メンバーから大きな変化がなく春を迎えた点も対照的なシーズンとなった。

攻撃の核になるべき松下壮悟(星槎国際湘南)、岡崎翔太(北照)の調子が最後まで上がりきらず。また盗塁数3はリーグ5位と機動力も奮わず。しぶとさやチーム全体で塊となって相手に畳みかける迫力にかけていた印象が強い。

秋躍進の鍵はトーナメント戦以降に見えてきたネクストの台頭。長打力に期待がかかるのが須崎亮(星槎国際湘南)、機動力は菊地大翔(旭川大学高)。

また横一線にも見える三塁手争いに田中銀河(札幌日大)も加わっている模様。踊り場を脱して、新たな道都の形をようやく見ることができる秋になりそうだ。

菊地の背番号2はかつては宮田涼摩、そして田中の背番号34はかつて阿部優人。ともにジョーカー的に存在感を放った背番号の系譜。やってくれそうな雰囲気を大いに感じる。

□開幕メンバー予想

投手:伊東佳希
捕手:三浦響
一塁:松下壮悟
二塁:大和竜晟
三塁:田中銀河(宮崎智暉/福島一茶/石垣善大)
遊撃:堀越颯太
左翼:岡崎翔太
中堅:菊地大翔
右翼:池田英人
指名:須崎亮

□対戦順

学園→札大→北大→大谷→東海

春V逸の直接的な大逆転負けを喫した学園大戦で開幕。もつれる開幕日の第二試合。続く二戦目はV逸の間接的な要因となる引き分けがあった札大。さらに最終戦辛くも逆転勝利した北大と対戦。大谷大戦挟んで最終戦が東海大。これ以上ない、というくらいに興味深い対戦順が組まれた。20年秋と同じ対戦順。

◇札幌大学

5勝5敗2分で3位。19年春以来Aクラス入り。札大劇場秋公演で札六主役の座に躍り出ることができるか。春はコールド決着4試合(2勝2敗)と出入りが大きいシーズンではあったが、状況が上向いていることは確認できた。感染症拡大防止に伴う様々な影響を受けていた時期が続いたが、ようやく走行車線本線へ戻ったイメージ。ここから一気に加速して追い越し車線へ入っていけるか、注目の秋になる。

□投手陣

防御率3.80でリーグ4位。山川海斗(札幌丘珠)と阿曽伊吹(札幌創成)が軸。左のエースは原田康生(札幌龍谷学園)、山川と共にラストイヤーを迎える。春チーム最多勝の吉澤佳佑(帯広南商)。試合運びが吉澤の勝ち星に反映された格好。引き続き二番手以降の中心となり、試合中盤以降を預かるか。プレイヤーズ・プレイヤー的に評価が高いのが長谷隼兵(旭川龍谷)。春一節の道都戦では二番手で登板して引き分け持ち込みに貢献した。二節の道都、東海戦では苦しんだが、この秋の本格化に期待が掛かる。札大劇場投げ組の充実が秋の躍進には必須要件。全員全力継投の元祖として、一枚岩となって、相手に立ち向かいたい。

□打撃陣

春のチーム打率はリーグ5位。一方で総得点はリーグ3位。打てなかった、得点できなかった、という印象が薄かった感覚と数字はある程度合致していたようだ。どこか物足りなさを感じたのは、打線内での好調組、不調組の濃淡が大きかった点か。前者は佐野翔騎郎(札幌大谷)、影山裕利(遠軽)、岩田一希(札幌日大)、杉木優斗(北海道科学大学高)ら。佐野は安打数リーグ3位タイながらタイトルに届かず。強打者揃う激戦区の外野部門に身を置き、常時出場を求められる役割であることを引き受けた上で、秋は初タイトルを手に入れたい。後者は塩沢一朗(白樺学園)蔵谷隼士(白樺学園)。塩沢一朗の復調が得点力向上の鍵を握ると見ている。個人的には、西正真也(札幌第一)、太田光正(とわの森三愛)に注目。

横田祥也(札幌光星)がコーチに転身。

□開幕メンバー予想

投手:山川海斗
捕手:塩沢一朗(西村陸翔)
一塁:杉木優斗
二塁:吉田尚平
三塁:岩田一希
遊撃:蔵谷隼士
左翼:影山裕利
中堅:佐野翔騎郎
右翼:太田光正
指名:西正真也

春、姿を見せなかった小坂凌平(東海大学付属札幌)がOP戦で本塁打を記録。背番号24での円山登場を待ちたい。24は前キャプテン市川修斗が10をつける前に背負っていた番号。

□対戦順

北大→道都→大谷→東海→学園

開幕戦は北大。きれいな回転のボールを投げる山川と札六を代表するきたないボール使い・北大宮澤との対戦。キャプテン対戦でもある。続く道都戦は春に続いて阿曽・印南の伊吹対決か。大谷、東海との対戦挟んで、締めは札幌ダービー・学園戦。

◇北海学園大学

4勝7敗1分。古豪から強豪への復活、第二幕の幕開け前が続いている。春7チーム中最も多くの一年生が登場したのが学園大だと思う。その意味で昨秋からの刷新感は大きかった。この秋に試されるのは、新鮮力が新戦力となり、さらには真戦力となれるかどうか。そして、札大、北大と共に2強追走の一角として存在感を出していけるか。その機会は開幕戦~道都との対戦~で早速到来する。第二幕の幕開けを期待したい。

□投手陣

春は防御率3.98でリーグ5位。調子の波がとにかく大きかった帯川瑠生(札幌国際情報)の復調が秋躍進の鍵。エースとして調子の波を小さく、そして、投球の質を揃えることができるか。慶応大学とのOP戦では好投したと伝え聞く。秋の学園大の行方が左肩にかかる。

春に引き続き、常谷拓輝(札幌静修)堀川怜央(札幌第一)坪田瑠衣登(滝川西)小沼快登(北海道栄)木村駿太(札幌国際情報)らの一年生が重責を担うことになりそうだ。この担い手の一角に、工藤泰己(北海)も加わってくるか。

一年生投手陣の頑張りは頼もしい限りだが、上級生陣の奮起にも期待したい。トーナメント戦で登板した石垣太地(北海道科学大学高)、福士築(北海学園札幌)、池邊圭斗(北海)らも大事な場面での出番を勝ち取りたい。

□打撃陣

春のチーム打率はリーグ3位。しかし、打撃ベストテンには一人も送り込めず。池本航大(東海大学付属札幌)がベストナインに滑り込んだが、本来の力を発揮し尽くした感じには見えない。遊撃の守備も安定しつつあり、攻守の中心としてチームを引っ張りたい。

春二節以降四番に入った久保田廉太朗(札幌国際情報)もやや物足りなく感じた。ファーストストライクを必ず振り抜く思い切りの良い打撃を取り戻せるか。

爆発期待は金野颯太(札幌第一)。春、道都大戦での逆転満塁本塁打で何かを掴んだはず。一番打者での起用が濃厚と思われるがロングも打てる攻撃の先鋒役として存在感を出したい。

春盗塁数2でリーグ最下位。単打を連ねるも長打力と機動力の不足が得点力の低下、ひいては戦績に直結していたか。苦手とする左投手対策とあわせて、練り上げられた策を秋展開できるか。

□開幕メンバー予想

投手:帯川瑠生
捕手:久保田廉太朗
一塁:小向雄大
二塁:日下優汰
三塁:太田歩
遊撃:池本航大
左翼:志村瞭
中堅:下向航
右翼:金野颯太
指名:平手塁

□対戦順

道都→大谷→東海→北大→札大

一戦、三戦、五戦で上位と対戦。エース帯川で真っ向勝負か。打線は伊東佳希、渡部雄大、山川海斗と各チームのエースとの対戦となるか。

◇北海道大学

3勝7敗2分。5位。降格圏にニアミスも北翔との順位決定戦を制し、一部残留を勝ち取る。一節未勝利ながら二節は3勝3敗とシーズン終盤に向けて調子を上昇させた流れにも乗ったか。シーズン終盤に勢いを増した様は勝ち方にも通底。試合終盤に粘って逆転する北大スタイルを見せつけた。4年ぶりの一部復帰、12試合を重ねた春を乗り越えて迎える秋。さらなる躍進なるか。札大に次ぐ台風の目となることを期待。

□投手陣

春は防御率2.96でリーグ3位。一節35失点(北翔の39失点に次いで二番目に多い)ながら、二節は17失点と大幅な改善を見せた。一節、二節で失点を減らしたのは全チームの中で北大のみ。この投手陣の奮闘が二節を五割で乗り切る原動力になった。宮澤太成(長野)を軸として吉丸拓実(春日部)、原田拓夢(札幌国際情報)が先発を担うか。飯島孝平(西南学院)が抑え、手前を橋爪健宏(水戸第一)、田所大貴(時習館)で春はつないだ。トーナメントでは、遠藤彰(新潟)が先発、高橋祐太(四日市)、小岩宥光(札幌東)が救援で登板。また、桐原直哉(長田)、齋勝輝(仙台南)保田泰生(大麻)の4投手が名簿に登場している(小岩も1年生)。

□打撃陣

春はチーム打率リーグ7位。34得点も北翔と並んでリーグ最少。逆に盗塁17はリーグ最多、犠打17も二番目に多い(最多は東海、学園の24犠打)。しかしながら、こういった個々の数字に映しだされない試合終盤の粘り強さこそが北大打撃陣の強み。打線の上中下に関わらず、どこからでも攻撃を仕掛けられる万能感、雑に言い替えると、脈絡のなさこそが魅力。そして、少ない好機を得点に結びつけるしぶとさは、少なくとも春の二節においては、リーグ随一だったように思う。ポイントになるのは、今利之(札幌国際情報)。大技小技足技を自在に操り攻撃の起点はもちろん、ポイントゲッターにもなる曲者。攻めすぎる守備での失策を何度か目にしたが、そのマイナスを補ってあまりある攻撃力。秋も打撃陣の重心は今に在りと見る。

□開幕メンバー予想

投手:宮澤太成
捕手:根岸大滋
一塁:萩原弘治
二塁:宮坂啓徳
三塁:近江徹太
遊撃:大澤楽汰
左翼:和田侑万
中堅:今利之
右翼:佐々木駿
指名:藤原健裕

□対戦順

札大→東海→道都→学園→大谷

入りの3試合で上位と対戦。とりわけ東海、道都との連戦がまずは大きなポイント。春二節同様、ロースコアで中盤までを耐えて、終盤抜け出す展開に持ち込むことができるか注目。

◇札幌大谷大学

2勝8敗2分。7位。本戦は最下位に沈むも、北翔との栗沢決戦を制して一部残留を決めた。一部で迎える四回目の秋。あらためて春を振り返ると、大きな破綻もない代わりに大きな成果もなかった、という印象が浮かび上がってくる。ひとつのシーズン、あるいは、1年間という短い時間軸ではない、もう少し長めの時間軸で、チームづくりや戦い方の模索が行われているのかもしれない。入学時から一部でプレーする一部ネイティブが4年生を迎える秋。観戦者としての期待は入替戦巧者を脱する札幌大谷大学の姿。ポストシーズンで発揮されるしたたかな強さを一節、二節の中で見せてくれることを期待。

□投手陣

春はチーム防御率4.54でリーグ6位。入替戦含めて春14試合皆勤登板達成の伊藤嶺(旭川明成)、成田琉二(札幌大谷)、後ろを預かる柄目大作(駒澤大学付属苫小牧)の3人でほぼマウンドを守った。

伊東優希(札幌大谷)は4試合に先発。短いイニングで二番手につなぐ作戦を見せた。内川晃貴(和歌山南陵)、香月辰哉(横浜商科大学高)、鳴澤聖弥(札幌大谷)、山森誠矢が短い場面で登場。

トーナメント戦で登板が確認できたのが奥山椋太(旭川明成)、深澤陸斗(札幌大谷)。メンバー構成、先発・救援の配置は基本的に春を踏襲か。一概にどうこうとは言えないが、被本塁打数の減少(春は9本でリーグ最多)で勝機増す可能性は高まるのではないか。

新明太陽(北海学園札幌)がマネージャーへ転身。

□打撃陣

春は打率0.214でリーグ6位。大見晨藍(札幌大谷)、小山朝陽(札幌創成)を打線上位に置き、飯田柊哉(札幌大谷)佐藤颯馬(札幌大谷)ら中軸が還す得点パターンがまずは攻撃の形か。春二節学園大戦から飯田を中堅に起用、一塁を空け、攻撃のピースを加える布陣も試され始めた。こういった試行錯誤のなかで、主に高橋彰馬(札幌大谷)石鳥颯(札幌大谷)らが機会を得ているが、ポストシーズンで特筆すべき活躍(下記参照)を見せた林涼太(札幌白石)ら上級生がここに割り込んでいくことで打撃陣の力強さが増すように感じる。また離脱理由は不明ながら田口恭大(札幌大谷)の不在はマイナスの影響が大きかったように思う。秋戦線復帰を期待したい。

横幕大翔(帯広北)がマネージャーへ転身。

・札幌大谷大学一部残留の立役者のひとり、林涼太
6月22日学院大との入替戦で決勝点となる右前適時打。8回裏4-4の同点に追いつかれた直後、9回表に勝ち越しとなる右前安打。敗戦ならば一気に降格の危機が高まる入替戦初戦での逆転勝利を決める一打。さらには残留を決めた6月27日北翔大戦では3点本塁打を含む4打点の活躍。

□開幕メンバー予想

投手:伊東優希
捕手:中川諒
一塁:林涼太
二塁:高間保仁
三塁:佐藤颯馬
遊撃:大見晨藍
左翼:小山朝陽
中堅:飯田柊哉
右翼:槙海斗
指名:石鳥颯

□対戦順

東海→学園→札大→道都→北大

まずは春優勝チームの東海大と開幕戦を迎える。これまでの対戦では投手陣が5点前後に収められている。問題は得点できるかどうか。学園には春二節で勝利、札大とは春一節で引き分け。道都戦を挟んで、北大との最終戦。北大との同居2シーズン目。春は1敗1分。この戦績が入替戦巧者ぶりを示しているようで興味深い。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?