フリー台本:万華鏡【会話劇】【無料】
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If you use this script in public, please make sure to mention that it is the work of "Heaton". You are free to adapt the script as you wish. However, please also mention that you have adapted the script.
如果这个剧本被公开使用,必须清楚地标明是 "Heaton "制作的。 你可以按照自己的意愿改编这个剧本。 但是,请同时说明你改编了这个剧本。
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登場人物
・男 (本文表記:男)
・女 (本文表記:女)
・マスター (本文表記:なし)
※マスターは演劇などの視覚的な上演形式の場合は登場しますが、セリフはありません。
本文
※柱時計の鐘が鳴る。喫茶店のテーブルに向かい合う形で男女が座っている。テーブルは男性側の脇にプレゼントと思われる包装された箱が置いてある。
男 「えーと…もう一度、もう一度説明してくれる?」
女 「また?一体何回、同じ説明をさせる気なのかな?君は?私、いい加減食べたいんだけど?暖かいうちにさ」
男 「いや、まだ1回目しか聞いて無いし。僕の理解が追いつかないと言うか何というか…」
女 「君って、意外と頭悪かったんだね。同じ説明を何度もさせる人間って私、ゴミだと思ってるんだけど、君はどう?」
男 「…」
女 「私の貴重な時間を無駄に奪うし、体力も無駄に消費する。分かるかな?無駄なの。資源の浪費なの。環境問題って聞いた事ある?これはある種のリサイクル問題に関わる重大なエネルギー消費なんだよ?」
男 「何か違う気がする…」
女 「違う!!そんな反応求めてないから!!私!!」
男 「じゃあ何だよ!」
女 「これはね!ゴミと環境問題、リサイクルをかけた高度なギャグなの!!その辺を踏まえたツッコミをしてくれないと意味ないじゃない!!」
男 「いやいやいや!!伝わらないから。分かりにくいからそれ…」
女 「は?!まさか…君って意外と…馬鹿?」
男 「お前には言われたくない!」
女 「…まぁ良いわ。じゃあ何度でも聞いて頂戴な。また説明してあげるからさ」
※以下タイトルコールのパターン〇には何番目のループかで番号を入れる。「キャストの名前」にはその役を演じている方の名前。文字で表記する場合は「万華鏡パターン〇 女性役×男性役」のような表記になるのを想定している。ただし上演の形式に合わせてタイトルコールは無しにするなり調整して頂いて構わない。
女 「万華鏡パターン〇 女性キャストの名前」
男 「男性キャストの名前」
※タイトルコールが終わり、再びシーンが再開する。
男 「あのさ、1つ確認していいかな?」
女 「ん?なーに?」
男 「僕達って…恋人、だよね?」
女 「えぇ、そうよ」
男 「藤原は僕の事…愛してくれてるんだよね?」
女 「果たしてそんな事があろうか!いや、有る訳がない!!」
男 「…」
女 「やーねー!嘘よ。う・そ♪全く。折角ボケたのに、何か言ってくれないと私、傷ついちゃうわよ?」
男 「だから分かりにくいんだよ…」
女 「大体、結婚を控えているのに、いまさら何なの?」
男 「いや、その…不安になって」
女 「不安?何が?こんなにパーフェクトに美しくて、あなたに昼も夜も尽くす、才色兼備で献身的な大和撫子なのに?」
男 「取りあえずそれは嘘だと言っておく」
女 「それで、どうしたの?」
男 「あ、あぁうん…その…何て言うか藤原は僕の事、その…あ、愛してくれてるのかなぁと…」
女 「何それ?!超ショックなんですけど!!こうしてわざわざ愛しの君のために、誕生日プレゼントまで用意したのに!!」
男 「うん。それは嬉しいんだけど…」
※男性、箱からデジタル表記の時計を取り出す。
男 「何だっけ?このプレゼント」
女 「幸せを呼ぶ、幸運の時間を巻き戻す時計」
男 「うん、そうか。そうだったね。『幸せを呼ぶと幸運』で同じ事二回言ってるとか、『時間を巻き戻す』って胡散臭いとか、どことなく宗教臭がするとか…言いたい事は沢山あるけど、でもいい。その辺は些末な事だ。それよりその後だよ、その後…その後、藤原は何て言ったっけ?」
女 「占めて500万になりまーす♪」
男 「…」
女 「ん」
男 「…」
女 「どうしたの?ほら…ん…払って?代金」
男 「えーと…んと…その…え?」
女 「私もいい加減、何度も同じ説明していて、疲れてるんだけどなー」
男 「いや、理解が追いつかないんだけど」
女 「?」
男 「え?これ、誕生日プレゼント…?」
女 「そうよ」
男 「誰の?」
女 「あーもしもし?ええ、頭に異常のある男を1人、入院させたいのですけど、そちらの病院にベッドの空きは…」
男 「僕は正常だ!!なに、入院させようとしてんだよ!!」
女 「これは、あなたへの私からの、プレゼントでっす♪」
男 「それで、代金を払うのは?」
女 「勿論!あ、な、た…キャー!!」
男 「おかしいよね?!」
女 「?」
男 「その全く持って何がおかしいのか分からないって顔を辞めろ!!」
女 「どうして私の考えてる事が?君もしかして、エスパー?あるいは宇宙人的な何か?そんなまさか!!地球人は既に未知との会合を成し遂げていたと言うの?!この私、藤原ヒロを筆頭に!!」
男 「頭が痛い…」
女 「あら大丈夫?いやよ、私…式を挙げる前に未亡人だなんて」
男 「誰のせいだ、誰の…」
女 「せめて式を挙げてから死んでくれるかな?」
男 「死ぬ前提なの?!」
女 「もうさっきから鈍い子ねぇ…君の頭には理解力が無さすぎるんじゃないかな?」
男 「…」
女 「あなたの理解力がカスなせいで、折角の美味しい美味しい料理が冷めちゃうわよ?」
男 「喫茶店ごときの料理で…」
女 「高級フランス料理店に連れて行く甲斐性も無いくせに」
男 「高校生にそんなレベルの料理を求めるなよ!!これでも結構、頑張ってる方だろ!!お前、金払わねー癖に!!」
女 「あら?だって奢ってくれる者でしょ?男って」
男 「奢ってもらう前提で毎回毎回いるんじゃねーよ!!」
女 「もうやーねー…そんなはしたなく声を荒げたりして…」
男 「いーや!!今日と言う今日は言わせて貰う!!大体、お前はいつもいつも!!」
女 「あ、マスター。珈琲の御代わり。この人、話長そうだから」
男 「聞けよ!!この馬鹿女!!」
女 「ひ!!」
男 「だいたいお前はいつもいつも…(以下暫く不満を怒鳴る)」
女 「…う…ひっく」
男 「…え?藤原」
女 「えぐ…うぐ…何よ。ちょっとくらい甘えたっていいじゃない」
男 「あーえー藤原」
女 「甘えたって良いじゃないーうわーん!!」
男 「わわわわわ!!藤原!!」
女 「えーんえーんえーん!!」
男 「ほらほら。落ち着いてなー!!藤原!!いないいないばー!!」
※しばらく慌てる男と泣く女の様子。そこへマスターがトレンチに珈琲を2杯乗せてやってくる。男の長台詞の間に女性は泣き止み、2人分の珈琲を飲み干す。
男 「あーあーあー!!もうどうしよう…て、何だよマスター?こんな時に…あ、てかちょっと待って…早い早い!!俺、藤原と違って手話慣れてないから…もうちょっとゆっくり…え?珈琲を持ってきた?グアテマラとブラジルだって?いや、ちょっと今、それどころじゃないから少し待っ…何?喧嘩した時は…まず珈琲を一杯飲んで?…心を温めてから話した方がいい?…あ、はい…あ、あの…でも、頼んだのは藤原だけで…え?サービス?マスターからの?どうして?…二人の門出祝い?…あ…ありがとうございます…さて、藤原。僕も言い過ぎたがまず珈琲でもの…はや!!もう泣き止んでるし!!飲み終わってるし!!てか僕のも飲んでるし!!」
女 「…まぁ兎に角、500万、頂戴?」
男 「だからそれがおかしいよね?!僕へのプレゼントなのに何でお前に金払うんだよ。大体、結婚したら財産を共有するんだから意味ないじゃないか!!」
女 「!!…そう言えば、そうね…やだ。君って天才?」
男 「…」
女 「でも、それなら別に私に払ってくれてもいいじゃない?」
男 「そこに何の意味があるんだよ」
女 「私がお金を好きだから…私が幸せになれる!!惚れた女の幸せは男の幸せだろ?」
男 「…」
女 「大丈夫よ…私、この世で一番好きなのは君だから!」
男 「藤原…」
女 「と言う訳で500万…そのお金で結婚前に沢山、無駄使いしとくから」
男 「…ておいこら!!」
女 「冗談よ♪」
男 「はぁ…大体、この時計。どうやって使うんだ?」
女 「針を戻した分だけ、時間が戻るのよ?」
男 「デジタルなのに?」
女 「…え?」
男 「これ、デジタルだぞ?針なんて無いんだけど…」
女 「あら、本当だ。間違えたみたいね、業者の人が」
男 「業者って…何処に依頼したんだよ」
女 「“株式会社トイレを流す時のあのジャーってのツクール”」
男 「何でトイレの会社?!」
女 「あら?独占企業で、近々上場予定の、信頼できる会社よ?」
男 「…そう言うこと言ってないから」
女 「困ったわね。せっかく私のとお揃いにしたつもりだったのに…」
男 「はぁ…お前といると疲れるよ」
女 「でも彼女のそんなところに僕はメロメロなのさ!」
男 「自分で言うな」
女 「あら?違うの?」
男 「う…」
女 「ねぇ?」
男 「そりゃあ、そうだけど…」
女 「なら良いじゃない」
男 「でも二十四時間こんな調子じゃ疲れる。僕の身がもたないよ…結婚後は、少しは普通に会話ができる様に努力してくれ」
女 「努力はしてみるわ。努力だけね」
男 「結果も伴う様にお願いします」
女 「考えとくわ」
男 「…」
※再び、マスターがやってくる。女性は手話になれているのでスムーズに対応できる。
女 「…あら?どうしたの?マスター?え?何?いい加減料理を食べないと…冷めちゃうわよ?…あ!!すっかり忘れてた!!ねぇ、取りあえず食べましょう?」
男 「そうだね…」
女 「頂きます…んぐ。もぐ。んぐ…あら?あまり箸が進んでない様だけど?いえ、パスタだからこの場合フォーク?」
男 「そんな細かい事はどうでも良いけど…いや、何か疲れちゃってね」
女 「仕事のし過ぎは体に毒よ?これだから日本人は」
男 「お前のせいだから。あと藤原も日本人だろ」
女 「フフフ、実は私は…」
男 「良い所のバリバリの日本人のお嬢様が何を言うんだか」
女 「宇宙人だったのです!!」
男 「…それ、地球人も宇宙人から見れば…て事?」
女 「カスにこの私の高等な思考が読まれてしまうなんて…どうやら私もカスにまで脳みそレベルが落ちてしまった様ね!!」
男 「いちいち癇に障る奴だな。お前は…」
女 「ちょっと最後まで話聞いてよ!!これからデレるつもりだったんだから…この後に私は…でも」
男 「でもカス同士ならお似合いで良いわね♪…だろ?」
女 「…よくわかったわね」
男 「いい加減、付き合い長いからね」
女 「フフ…それでこそ、私の旦那様よね。嬉しいわ。私、あなたと一緒になれて」
男 「あ…あぁ、うん」
女 「それで、実際のところはどうしたの?」
男 「お前との会話で疲れてね」
女 「私ったら罪な女ね」
男 「褒めてないからね?…それで食欲がわかないと言うか何と言うか…十分くらい前まではあったんだけど」
女 「あら?そう?」
男 「うん」
女 「またなのね…良いわ」
男 「…ん?」
※女はセリフを言いながら自身の方の時計の針 (ネジ) を巻き戻し始める。次の男のセリフは女性のセリフに少し被せながら。
女 「じゃあ十分前に、もう一回、戻してあ、げ、る」
男 「あ、ちょ…もう一回、戻すって…お前、何を」
※時計を巻き終わり、最後にカチッと音を鳴らして暗転する。
※その後、別の男女の組み合わせで一番上に戻る。性別なり、キャラクターなり、色々と好きに改変していく形で、様々なバリエーションにしてください。
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