【ハーン・ザ・ラストハンター感想文】「ジゴク・プリフェクチュア」
※読了前提で書いています。まだ読んでいない方、読むのを控えたい方申し訳ありません。
さて、ハーン・ザ・ラストハンターの感想文も書き始めていきたいと思います。最初は表題作……ではなく衝撃作「ジゴク・プリフェクチュア」。作品紹介の中で異彩を放っていたため、買って早速読んでみた……のですが。
凄すぎました。
突然破壊される「バスツアー」という日常。人が人を襲い、その命を屠る。冒頭の警告すら無駄に感じられるほどの暴虐、蹂躙、地獄絵図。奪った服に身を包み、まるで農耕文明以前の人類の如く「狩り」に興じる昏輪川村民の皆さん、個人的には「人間」ではなく「殺人者」のカテゴリに入る恐ろしさを感じます。
そして注目すべきは「方言」の存在。読んだ感じ東北、それも北東北系の方言をベースにいじったと思われる「方言」。罵倒とか驚愕とかニュアンスはうっすらわかるもののそれ以上全く掴めないところにさらなる恐怖を感じるポイントがあると思います。
さて、中盤で昏輪川村民の襲撃を受け監禁されてからのジョシュアはだんだん「変質」していきます。見張り役を倒したあと、鉈を手に取ってからのこの部分。
手段を得た途端、より激しい、先程の十倍もの怒り、抑えようのない憤激が瞬時に沸き起こった。ダムに堰き止められた水が決壊したようだった。ジョシュアは犬のように唸り声をあげた。
まさしくジョシュアが「普通の人間」から「殺人者」に変質した瞬間だと思います。
「仇は取った。(中略)ジゴクにはジゴクのやり方がある」
ここからのシーンはまさしく「ジゴクの住人同士の闘争」そのもの。凄惨この上ない争いが幕を開けます。果たしてジョシュアはこの後どうなるのか?アシュリーとの関係修復どうこうの前にこの2人の、というか1人の人間と1体の「殺人者」の旅はどう行き着くのか?続きが読みたいけれど読んではならないような恐ろしさを醸した「もう一つの問題作」だと思います。
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