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8.好きな画家と作品(ジョルジュ·ルオー)

生家は、母がクリスチャンであった為、キリスト教信仰には馴染みがある家でした。その為、私自身、聖書に関する説話や宗教絵画の画集にも、自然と触れる環境で育ちました。

私自身も幼少期の日曜日には教会に通い、聖書を諳んじ、賛美歌を歌ってました。

青年期になり、アメリカ留学時代には、改めてプロテスタント教会に通った事もあり、キリスト教に触れる機会は、他の方よりも多かった様に思います。(※当時、アメリカの教会の賛美歌に、ボブ·ディランのKnockin' On Heaven's Doorが使われてたのは驚きでした。)その為、自然とキリスト教美術や宗教絵画に強い関心を持つようになりました。

特に宗教画は聖書の説話や伝説を基に描かれる為、幼少期、聖書が身近にある生活をしていた私には、とても馴染みやすかったです。

さて、宗教絵画の多くは、理想を表した表現が大半です。神や御使い、そしてイエス様やマリア様を讃えるためのものですので、大半は美麗や優美さ、又は豪華絢爛で威厳ある姿が描かれています。

ミケランジェロ 天地創造

他にも、プロテスタント系では、ミレーの晩鐘の様に、キリスト教者の美徳(勤労)を描いた絵画も多くありますが、大半は理想化された絵画が多いです。

ミレー 晩鐘

その様な宗教画の中にあって、ルオーの力強く荒々しいタッチ、何より人物の内面迄えぐり出す作品を初めて見たとき、自身の魂を掴まれる様な衝撃を受けました。

ルオーの絵は、原始キリスト教絵画やイコン画の様に、荒削りな絵でも、絵、それ自体が、人々の信仰の対象になる様な、魂を揺さぶる力のある絵だと感じてます。

 聖顔
 ヴェロニカ

私にとって、ルオーの絵は、心の深いところを揺り動かされます。その為、絵と真剣に相対する時は、溢れる感情の制御が必要になります。

私自身、キリスト教会とは離れています。それでも、イエス様の生き方を何より敬愛している為、画家の魂の入ったルオーの宗教絵画を見ることは、私にとって特別な意味があります。

さて、内面や人の冷徹な真実を描くということでは、この通称“青い鳥”がとても良く表現されてます。青い鳥の正式タイトルは、『青い鳥は目を潰せばもっとよく歌うだろう』になります。

通称“青い鳥”

娼婦、道化等、当時の社会の底辺の悲哀、苦悩を描いたルオー絵の数々も、心を惹きつけ、ざわつかせる絵だと感じてます。

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