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「静寂の湖面」

ボロボロの服を来てても気にならない
普通じゃない生活をしてきたから

寝て起きてご飯たべて仕事や学校いってまた寝て
周りと同じようにやってきたのに
そこに混在している心と記憶は
日常を送る人たちと乖離していく

よくわからないまま毎日を過ごしてきた
遠い過去の記憶を開けないように
見ないように息をし続けた

明日がくるなとも思わないし
明日がこいとも思わない

ただ誰にも見つからないように
指を刺されないように
生きてきた

生きる意味なんてものも
美しい人生も通用しない

もう2度と戻らない傷に
黄色いテープでぐるぐる巻きにして
醜い形のまま息してる

ふと浮かんでくるモノクロな景色
湖に浮かぶ滲んだものが水面を揺らし
小さな靴は沈みかけている

その湖に映る僕の顔を見ながら
淀んだ色が広がっているような気がした

目的なんてものはとっくに捨てた
僕が死ぬ場所は底なし沼でいい

誰の視界に入らない世界で
僕は人間を全うすることだけを
静かに決意していた


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