かめさん7残日録 no.1
我が郷土に生まれ育った,時代小説家「藤沢周平」さんの代表作「三屋清左衛門残日録」の主人公,清左衛門の観点には遠く及ばないながら「かめさん7残日録」と題して,浅学な私ゆえ雑多な文章とはなりますが,気ままに記してみたいと思います.
「三屋清左衛門残日録」
藤沢周平さんは今も人気のある時代小説家ですね.私の一番のお気に入りは「三屋清左衛門残日録」初めての出会いは,1993年放送のNHKの連続時代劇で主な配役は,三屋清左衛門:仲代達矢,親友の佐伯熊太:財津一郎,小料理屋「涌井」の女将みさ:かたせ梨乃,倅の嫁里江:南果歩…などそうそうたる俳優陣だった記憶がある.
連続時代劇
当時家にビデオデッキはなく,毎週の放送日は残業しないで帰宅した記憶があります.基本一放送一話で,「涌井」の女将とのちょっとしたロマンスなどには,胸をときめかせ「こんな女将がいたら毎日通いたい!」などと思ったものでした.もちろん現在の北大路欣也版はしっかり録ってあり時々見ていますが,金田明夫さん演じる朝田家老のシブさ,麻生祐未さんの涌井の女将みさの艶っぽさ,これもまたいいですね!
舞台の「海坂藩」
小説上の架空の藩で,モデルは藤沢周平の故郷山形県鶴岡市の「庄内藩」,私が高校時代に通った街で現在も隣街である.小説やドラマに出てくる風景,気候,習慣,料理など全てがしっくりとくる.私は地域史も興味がありうんちくの類では有りますが,そのあたりも時折織り交ぜてお話しできればと思っています.
「庄内藩」
全国でも珍しく,明治維新以降も歴代当主が現在まで鶴岡に居住しています.藩祖は数年前のNHK大河ドラマ「家康」にも登場した,大森南朋が演じた酒井忠次,庄内を領地としての「庄内藩」は約400年前の三代の忠勝からで,一領地一藩主で明治を迎え,現当主に至るまで一人を除いて全て「忠」が名前につきます.戊辰戦争では御親藩であったがゆえに賊軍となり,長岡戦争,会津戦争と勝ち進んだ官軍に,本州で最後の戦争を挑み戦闘では一度も負けなかった庄内藩,その後の領地替えにも藩主と藩士,領民が一緒になって苦楽を共にし,帰郷を許された後も荒廃した領地を一体となって復興に
当たりました.鶴岡を離れることなど考えもしなかっただろうと思います.
藩主酒井家
現在の当主は19代「酒井忠順(ただより)」氏で,公私ともに庄内地方の振興に注力した活動をしておられます.先代のご両親もご健在でご活躍している様子です.私は現役企業人時代に一時鶴岡勤務のことがあり,現当主の祖父の17代,故酒井忠明(ただあきら)さんと,一度だけ酒席をご一緒させて頂いたことがありました.
17代酒井忠明氏の思い出
品の良い貴族風のお話し好きのおじいさんという感じで,直接うかがったお話で今も記憶に残っているのが,「それは農家の人とは比べようもないが,お百姓さんの仕事は一通りやりましたよ.○○桶担ぎなどはこう腰と手を使って桶を揺らさないようにして,上手いもんですよ…」と身振り手振りでお話しされ,その風貌とのギャップに大爆笑でした.