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6_ニーズと技術のミスマッチ サイテックハブ創設の動機
物質分析におけるニーズと技術を効果的に結びつけるために、現場経験のシェアと解決策の提案、考え方、の情報発信で助けるサイテックハブ。
究極的には、当プラットホームの必要がない状態が理想だ。
その状態においては、
物質分析のニーズに対し、技術が適切に選択され、かつ活用される。
多様な試料に対して、目的に応じて物質が正しく分析され、結果が解釈される。
しかし現状、理想とはかけはなれており、そして今後さらに厳しさが増す可能性もある。
過去を振り返ると、物質分析のテクノロジー黎明期、物質分析を分析したいニーズと技術の距離は近かった。
なぜなら、物質分析のニーズこそが、分析技術を生み出していた期間が長かったからである。
おおよそ20世紀中のことである。
そこでは、物質分析のニーズのある場が、同時に、その物質分析技術に長けた。
ひとりの人間が、物質分析のニーズがある同時に、分析技術者でもあり、
その当人でなかったとしても、所属会社、学部、組織内でニーズと技術が接近していた。
たとえば、物質を取り扱う、製薬会社や化学産業、大学の化学専攻がそれに該当する。
そこでは、ニーズと技術を結ぶハブは不要だった。
その過去から現在に至って、何が変わったのか、再確認;
1.産業・研究スピードが加速
=>2000年代初頭以降、電子投稿の普及、オンラインデータベースの成長により論文数が急増し、競争の激化と産業・研究スピードの加速が進んだ。
物質分析のニーズに合わせて、本人または近辺で最適なテーラーメイド分析技術を運用、または開発する余裕がなくなった。
![](https://assets.st-note.com/img/1738286205-vyfKkYunaW6Di1t8UB5dC4rb.jpg)
2.物質分析ニーズ、技術ともに専門細分化 そしてギャップの拡大(表題図)
物質分析という切り口に限ったことではない。
あらゆる科学技術や産業領域において同様だが、学術産業の分野や技術そのものが専門細分化されている。
結果、物質分析という切り口で見た場合、分析を必要とする領域が必ずしも、その領域に合った技術と近い距離にない、むしろ、遠く異分野の仕事となった。
3. 情報の爆発的供給
インターネットの汎用化により、爆発的な量の情報に誰もがアクセスできるようになった。
これは、一見、2.で述べたニーズと技術の距離の拡大に対し、
そのギャップを埋めるに十分な情報のシェアが活発になれば、逆にギャップも無視できるようになる、と期待できる面がある。
一時、あった。
今後、あるのかもしれない。
しかし、実際には何が起きているのか。
物質分析の情報を得る程度の、わずかな手間、コスト、リソース、で物質分析の遂行もきる、というイメージが拡散していないだろうか。
それが間違いであることは、誰でも理解できる。
「原稿を英文校閲に出すと、原稿内容がより論理的に洗練される」
ことはない。
「キーワード検索をして、タイトルとアブストラクトを知った電子ジャーナルのpdfをダウンロードして保存すると、内容を読んで理解した気になる」
というのと、同じレベルの間違いであり、
同じレベルで、陥りやすい。
物質分析を実施することは、情報を得ることとは別である。
「プールに入ったことがない人が、平泳の泳ぎ方をテキストや動画で詳細を知って、その後、すぐに泳げるか」
に近い部分がある。
サイテックハブも、情報供給源のひとつであり、
乱脈な発信をすると、情報の山に、さらなる塵を積もらせることになる。
サイテックハブがすべきは、
技術とニーズの整合させるハブを目指し、
考え方、情報に道筋を作るマップを供給していくことである。
ギャップを埋められるのは、
ニーズを有する本人であり、
異分野ニーズに対して、できる限りの的確な技術を提供する本人である。
サイテックハブはハブでしかないが、
ニーズと技術の不整合状態を検出できる。
整合状態にするために、ニーズ側、技術側双方に必要な、判断材料を提供できる。