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5_「現実的」に可能か不可能か
物質分析の研究・業務ニーズが
「原理的」に可能か、「技術的」に可能か
という判断は、分析技術者への一般質問で解が出る。
なんなら、AIに尋ねても、ある程度の回答が得られる。
しかし、実際の実施に至る上で、
適用技術が「現実的」に可能なものか、という判断が必要である。
これは、ニーズ側から物質分析技術者へ尋ねる一方的質問では、解が出ない。
むしろ経験を積んだ物質分析技術者ほど、
ニーズ側に対して、尋ねなければならないことが多くある。
前回 4_「技術的に」可能か不可能かで挙げた
A. 限定的な条件で可能なエクストリーム技術
B. コモディティとして汎用される技術
C. 陳腐化してしまった、従来の技術
物質分析ニーズにおいて、
許されるコスト、リソース、費やす時間、労力次第で、上記のA,B,Cいずれで解決されうるものなのか、大きく異なる。
そのうえで、使用する技術プラットホームやアクセス可能かどうか検討しなければならない。
この点の検討が、現状、異分野コラボレーション、共同・協業 において抜け落ちている。
物質分析において、組む技術側がA,B,Cいずれのポジションにいるのか。
技術側は当然、ポジショントークで、自分の技術を進める。
しかしそれは、ニーズへの最適解だろうか?
そもそも、それをニーズ側で自ら判断できるならば問題はない。
しかし、実際、
「極めて意義が薄い」=得る情報が少ない
または
「やってはみたが、意味がわからない」
物質分析を実施している、ケースは少なくない。
物質分析経験をもとに、
コスト、リソース、費やす時間、労力から、ニーズ側と分析技術側の間を調整するポジションがないのだ。
たとえば、
A. 限定的な条件で可能なエクストリーム技術
のプラットホームを持つラボに、BやCで済む分析を入すると、
当然不必要な高コストになりかねない。
また、本来、物質分析ニーズはA. 限定的な条件で可能なエクストリーム技術
のみでしか解決しないにも関わらず、
アクセスのしやすさから安易に
B. コモディティとして汎用される技術
を頼ってしまい、有益な情報の乏しい分析結果を戻される、ということがある。
また、前例、類似例に倣い、よく検討をせず
B. コモディティとして汎用される技術
を、第一選択とする事案も多いが、本来は安価でかつシンプルな
C. 陳腐化してしまった、従来の技術
により安価、かつシンプルに済む内容もある。
ニーズを満たす上で、必要な技術は何か、
そのうえで、コスト、リソース、費やす時間、労力から、
妥協すべきことがあるのか。
これは本来、ニーズ側と分析技術側双方で、よく議論を重ねて解決していかねばならないが、A,B,Cいずれのポジションにいる分析技術側が、
自分とは異なる他のポジションを、ニーズのケースに応じて薦めることができるのは、ポジショントークを廃し、A,B,Cいずれをも経験し、
A,B,Cの技術的特性を熟知している場合に限られる。
B. コモディティとして汎用される技術
に特化し、専門とする技術者には、AやCのことがわからない。
これでは、分析ニーズに応じた実現性高い道筋が作れない。
結果、ニーズ側の落胆、あるいは気付かれぬ重大な解釈の誤り、
そして、技術者側、陰でニーズ側が技術に疎い点を嘲笑する、ミスコミュニケーションの諦め、という何より不快な場面に遭遇する。