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伊勢神宮とルーティンと

三重県は2番目に好きな県だ。

一番好きなのは京都で、住んでいる横浜(横浜市民は神奈川県民だとは絶対言わない)は好きとかそういう次元ではなくて変な言い方だけど自分の所有物みたいな感覚だ。

三重県というより、きっと伊勢の魅力に取りつかれているんだろう。

三重県の伊勢には今までに3回足を運んだ。

初めていったのは、確か23歳の時。彼氏がプロポーズしてくれないと喚いている友達の願掛けのつもりで行った。

一生に一度は伊勢参り。

そんな言葉が江戸時代からあるらしいが、どうせPRの為の大袈裟な文句だろうと鼻で笑いながら行った伊勢神宮に私はまんまと心を奪われてしまった。

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自然の真ん中に、優雅にたたずむ伊勢神宮。五十鈴川に架かる橋を渡るときには、神様の世界に踏み入るような厳かな気持ちになる。

葉が擦れる音が、何かを唱える声のように聞こえる。突然鳴り出す雅楽は私をこの瞬間の主人公にしてくれるようなBGMに聞こえた。

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木陰の下を通ればひんやりとした尖ったような空気が心地よく背筋をシャンと伸ばしてくれる。

伊勢神宮に行くだけで、体の中、心の中にある黒い物がじゅわっと浄化されるような気になるから不思議だ。

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目に映る物の美しさはもちろんだけど、それだけじゃなくてお腹に入れても幸せな気分になれるのが伊勢のいいところだ。

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だから四日市で仕事があったときには、17時を過ぎていたけど電車に乗ってわざわざ伊勢に泊まった。

次の日13時ごろに帰らなければいけないのに、伊勢神宮外宮のホテルに泊まって次の日の早朝から伊勢神宮をお参りした。

これが2回目の伊勢だ。

この時は2月で、とても寒くお参りをするときには雪がちらついていた。

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どうやら三重県に雪が降る事は珍しいらしく、三重県民の友人にも大いに驚かれた。

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それでも雪化粧した伊勢神宮はとても美しくてよりほれ込んでしまった。

3度目に行ったときは、伊勢ではなく津に用があったのだがどうせ三重に行くならお伊勢さんにご挨拶しないわけにはいかないと思い夜バスに乗り込んで早朝のお伊勢さんをお参りした。

10月に行くのは初めてだったけど、朝は涼しくてでも日の陽ざしは透き通っていて凛と咲く菊の花もとても美しかった。

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国内で一番好きだと思っている京都は、毎回行く場所を変えているが、三重県、いや伊勢に関してはもう目的は伊勢神宮しかない。

何度来たってこの景色を見るだけでうっとりとしてしまうし、思い切り空気を吸い込みと背筋がすっと伸びるのだ。

私のお伊勢スケジュールはもはやルーティンになっている。

早朝6時ぐらいに外宮をお参りして、外宮の目と鼻の先にあるあそらの茶屋の朝がゆをお腹いっぱいいただく。

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ノンアルコールの梅酒、ぜんざい、佃煮や、漬け物、干し魚、がんもどき、温泉卵、お漬物。

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お粥というと質素なイメージがあるが、ここの朝がゆはたいそう豪華だ。なにせ名前も「御饌の朝粥」。神様の食事という意味だ。

朝食を済ませたら外宮前のバスに乗り、内宮に行く。内宮にお参りをするのはだいたい12時前ぐらいだけど、もうこのころにはすっかり人が列をなしている。

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それからおかげ横丁で食べ歩きをして伊勢の旅は終わる。

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たったこれだけだ。

これだけの事だけど、私にとってはすごく重要な時間なのだから自分でも不思議に思う。三重に用があるのに伊勢神宮に行かないなんてことはありえないのだ。

京都もそうだけど、伊勢にも自分の意志とは裏腹に毎年お呼ばれする。裏腹とは言っても大好きな場所だから願ったり叶ったりだ。

だから今年も、お伊勢参りのルーティンを私はきっとするんだろう。


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