世界遺産にはじまって宗教を経由してスーパーに落ち着く私の旅
私の旅はどこか一つ、どうしても行きたい世界遺産を見つけたときに始まることが多い。
初めてのひとり旅ではバリ島に行ったけど、行こうと思ったきっかけは「タマン・アユン寺院」だった。
当時の私には旅スキルもお金もなくってバリ島には行ったものの、「タマン・アユン寺院」に行くのは諦めた。
だけど、そこで出会ったガイドブックには載っていないような小さな寺院がとても神秘的で美しくて汗ダラダラになりながらウブドの街を練り歩いた記憶がある。
歴史を感じられる建築物は本当に美しい。
見た目が美しいと言うよりは、歴史を感じるちょっと古びた感じとかまとう厳かな空気感が何十年何百年前にここで生きていた人たちの営みを思わせるようでときめく。
だから私は世界遺産が大好き。
そして、東南アジアの寺院は本当に心が洗われる。どんなに簡素な寺院であっても御供物は大体ちゃんと置いてあったり、誰かしらが祈りにきている。
ヨーロッパの豪華絢爛な教会のように華やかさや、建物自体の見応えは少ないけどそれでも毎日ここにお祈りをしにきてるであろう人を見るとこの寺院に大きな価値を感じる。
熱心にぶつぶつと何かを唱える人や、寺院の日陰で昼寝をする人。この場所がここで暮らす人の生活の一部になっていて、そう言う景色がもうすごく昔から続いている。
観光に来ただけの私がここに立っているのがなんだか不思議な気分になってくるけど、こうして無事にたどり着けたことが受け入れられているよに感じて誰に向けているのかわからないけど感謝の言葉が溢れてしまう。
バリ島のウブドに行ったときは、夢中で寺院散策をして可愛い小道を歩く鶏を追いかけて街の子供に笑われた。でも私が通り過ぎようとすると手を振って微笑みかけてくれたことを今でも覚えてる。
途中で人気のレストランなのか観光客が長蛇の列を作っているのを見たけれど、せっかくのバリ島で並ぶ気にはならなくてスーパーでチープなパンを買って、帰りのバスを待っている間に食べたことを覚えてる。
私はスーパーが大好き。旅のお土産は大体スーパーでこしらえる。
そこら辺のスーベニアショップで綺麗に包装されたチョコを買うより、おばあちゃんがお土産で持たせてくれるような簡素な袋に入ったお菓子の方が味があるし意外と可愛い。
そしてスーパーには日本ではお目にかかれないような不可解なものもたくさんあり、その国の文化を楽しめる。
その国で作られているのであろうビールとお惣菜やらドライフルーツやらを買って帰ってホテルで味わうのも私の旅の楽しみの1つ。
特にヨーロッパを1ヶ月旅したときは、ひとりでレストランに入るのに気が引けてスーパーで食材を買って調理して食べたことを覚えてる。
日本では売っていないようなレトルトやその国ならではの冷食があって、毎日スーパーを覗くのが楽しくてしょうがなかった。
せっかくならいいレストランでおいしいものを食べなよ。と思われるかもしれないけど、高級レストランなんて観光客の行くところで日本で食べたって変わらないような気がしてしまって私はあまり好まない。
かと言って、せっかくの旅をお腹を下して台無しにしたくもないからローカルすぎる屋台で食事をする勇気もない。
だから私にとってはスーパーが一番ベスト。
世界遺産で歴史を感じて、宗教建築で地元で生きる人たちの生活を眺めて、スーパーでその土地の味を楽しむ。
なんとも地味な旅。まさか20代女性がしている旅とは思えないほど。
友達と行くんだったらこんな旅は間違ってもできない。
だからこそいい。これが私がひとり旅をする理由。
好きなところで、好きなように時間を過ごして、好きな物を食べる。
そしてまた、どうしても行きたい世界遺産を見つけて、お散歩しながら宗教建築を廻ってスーパーで買い物をする。
これが私のひとり旅。