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雨の日のカフェの心温まるお話
昨日は、しとしと雨の降る中、予約以外の方は少ないかなあと思っていたが、常連さんに加えて、赤ちゃん連れの親子やご近所の方など来てくださってそれなりに賑やかだった。
そんな中、ずぶ濡れのレインコートを着た男性がひとり扉を開けて入ってきた。
珍しいお客様だな。
「ここでレインコート脱いでもいいですか?」
彼は言った。
「これも脱いだ方がいいですよね?」
同じくずぶ濡れのレインズボンを指差して彼は尋ねた。
「雨の中大変でしたね。お預かりしますね」
私はレインコート上下を預かると、外の軒下に乾くように広げて干した。
1人席をご案内し、お話聞くと、近くの工事現場の車の誘導をしているという。
「それは雨の中大変なお仕事ですね」
としばらくおしゃべりをし、
ご注文のおふくろのお昼ご飯をお出しした。
ご飯は少し大盛りで。
ゆっくりと食べられて、
食後、コーヒーをすすり、しばらくゆっくり過ごされていた。お会計の時、一万円を渡されたのでお釣りをお返しすると、
「これはみなさんのおやつ代にでもしてください」
と、彼は千円札一枚差し出された。
え?
最初どういうことかわからず、思わず聞き返した。
「自分はこんな美味しいご飯を食べたことはありません。一つひとつのお料理が心を込めて丁寧に作られてあるのがよくわかりました。あまりに美味しかったので、そのお礼です。」
とのこと。
今日が自分のこの工事現場の最後の勤務日なので、ぜひ受け取ってほしいと。
びっくりするやら、戸惑うやらスタッフのみんなも目が点に!
もう!かっこよすぎ〜
せっかくのご厚意、これはありがたくいただき、使い道については考えることに。
世の中にはいろんな仕事があり、雨の日は部屋の中でぬくぬくと仕事をする人がほとんどである中、こうして雨でもずぶ濡れになってお仕事をしている人たちがいる。
外に出て、レインコートを着て、雨の中工事現場に向かわれる彼を、私たちスタッフみんなで見送った。
カフェにはいろんなお客さまが来られますが、こうした思いを受け取ると、本当に嬉しく思うとともに、その思いを何か別の形でお返ししていかないといけないと思います。
ここに来てよかった、と帰る時に思っていただけるよう、お一人おひとりに寄り添って、これからもこの場を大切にしていきたいと心から思う雨の1日でした。