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お小遣い

タイの瀧澤です。
今月から娘にお小遣い制度を導入しました。毎月決まった金額を渡し、その範囲であれば親の許可なしに好きなものを買えるというシンプルなルールです。
娘は12歳。日本では自由にお友達と遊びにでかけたり、学校に通ったりと、自立の第一歩をすでに踏み出している時期にあたると思います。
しかし、タイで暮らしている我が家の娘はというと少し事情が異なります。治安への心配もあり、娘はまだ一人で行動することがなく、通学はスクールバス、習い事には必ず親が付き添っています。

そんな娘も、今年の夏に中学生になるのを機に、1人での行動を始めようかと家族で話し合っていて、親がこれまで管理していたことを少しずつ娘自身に任せていく時期なのかもと感じたこともあり、この制度を始めることにしました。

これまでは娘が自由に使えるお金は年に一度、私たち親からもらう少しのお年玉のみでした。学校や習い事や日常生活で必要なものは親が買い、それ以外の欲しいものについては理由を親に説明して納得してもらえれば買えるというルールでした。例えば、娘はよくぬいぐるみやノート、ペンなどを欲しがりましたが、既にいくつも持っているので購入を見送られたり、一方、ボードゲームは家族やお友達と一緒に遊べるからと認められたり。

この方法、「自分の考えを論理的に説明する練習」として意義があると思っていましたし、最終決定権が親にあることも当然だと思っていたのですが、私自身、少しずつ違和感を抱くようになっていました。娘がどんなに必要だと訴えても、親が「いらない」と判断すれば叶わない。そのたびに「自分のお年玉で買ったら?」と言いつつ、お年玉の金額は微々たるもの、彼女自身で決定できる範囲をもう少し広げてもいいのではと思うようになっていたのです。

それに、最近の娘を見ていると、自主的に行動することが増えてきたように感じたことも理由のひとつでした。
もともとシャイな性格で、レストランで自分で注文することさえ恥ずかしがっていましたが、最近は自ら注文し、内容をしっかりと確認することもするようになりました。習い事にも主体的に取り組み、学校の準備や宿題も自分のペースで進めています。
このような成長を目の当たりにして、私たち親も、娘が自分の力で行動することを後押しする時期に入ったのだと感じるようになりました。

お小遣い制度を導入して3週間。早速、娘はミニプリンターを購入しました。15㎝四方の小さなプリンターで、アプリに接続し、イラストや写真などを印刷できるものです。
以前から欲しがっていたカラー印刷タイプのものは2万円近くするのですが、感熱紙を用いた白黒タイプなら安く購入できることを調べ、タイのECサイトで220バーツ(1000円弱)で購入しました。もっと安いものから高いものまで、いくつも種類があったのですが、自分なりに考えて決めていました。
これは安すぎて怪しそう、これは口コミが良かった、画質はこっちが良さそうだ、などなど、親の許可はいらないけれど、買う前に商品の情報を細かく教えてくれるのが面白いところです(笑)。ネットでの買い物は、想像通りのものが届くとは限らないことも念頭におき、この価格ならもし使えない商品が届いたとしても諦めがつく、と言って購入を決めていました。

届いた商品はというと、きれいに印刷できますし、ロール紙を変更すればシールにもなり、すっかり気に入って嬉しそうに使っています。
ずいぶん真剣に、複数のサイトを比較し、検討していることにも驚かされましたし、自分で選んだ商品の結果を引き受ける主体性もいつの間にか身についていたのだなと感心しました。自分で考え、選び、決めるという自由や責任を楽しんでいる様子が伝わってきます。

数カ月前、思春期に関する講座を受講し、子どもの自立をどのように見守るべきか学びました。頭では理解したのですが、「娘の変化に気付けるだろうか」「親として適切に備えられているだろうか」という不安はどこかに残っていました。
今回お小遣い制度を導入しようと思ったきっかけを深堀りしてみたことで、娘の成長を改めて実感することができ、こういう成長も思春期に向けての変化のひとつなのかなと気付きました。大きな変化が急にくるような想像をしていたけれど、こうして少しずつ娘の変化を感じながら、必要に応じてルールを見直し、サポートしていけば良いのかと腑に落ちた気がしました。

この先、娘はどうお小遣いを活用していくのでしょう。欲しいと思ったものをすぐに購入するのか、計画的に使うのか、何を手に入れるのか。彼女が人生を楽しく過ごすために、自分自身で考えながらこの制度を活用してくれるといいなと思います。
ついつい、お小遣いの使い方に口を出したくなりそうですが、そこは私も子離れの練習と心して見守ることに決めました。彼女の選択や失敗を見守り、必要なときにはそっと手を差し伸べていけたらと思います。

2025年01月27日(月)
タイ/瀧澤かおる 
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定ハートフルコーチ

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