ママのせいで忘れた!
神奈川の森屋です。
息子さんの「また作って〜」の言葉で、梅シロップを楽しそうに作る田中さんのブログから、美味しそうな梅の香りが漂ってきました。
子どもの言葉のパワーは、母の心を動かしますね。
私がハートフルコミュニケーションを学ぶことになったきっかけも、子どもからの一言です。
長男の小学校の入学式で、「持ち物で忘れ物がないよう、ご家庭でもよく見てあげてください」と、担任の先生から話がありました。
1歳の息子を保育園に預け始めてから、「忘れ物をしないように、持ち物を揃えるのは親の責任」と思っていたので、当然のように、毎晩息子の連絡帳をチェックし、必要な物が入っていなければ、私が用意していました。特に、コップ袋をランドセルに掛けるのは、私の担当でした。
そのおかげで(?)入学して1年間は、家から持って行くもので、忘れ物をしたことはありませんでした。
ところが息子は、自分の持ち物を学校から持って帰ってきません。
ほぼ毎日「また忘れたの? ちゃんと持って帰ってきなさい」と、言い続けるものの、息子に響くことはなく、授業参観に行くと、息子の机の両端にはコップ袋が2つ掛かり、ロッカーには上着が2〜3枚置きっ放しでした。
そして、小学2年になったばかりのある夜のこと、
「ママのせいで、コップ袋忘れた!」
と、息子に怒られました。
「あ、ごめん、ランドセルに掛けるの忘れちゃった」
と謝りつつも(あれ? 何かおかしくないか?)と、私の中でモヤモヤとした、変な気持ちが湧いてきたのです。
自分は持って帰ることを忘れてばかりのコップ袋を、私が一度掛け忘れたら、「ママのせいで忘れた!」と怒るとは、何事か?!
「でも何かおかしい! 違うぞ私!」
何が? どこから? どうすれば? と、頭に「?」をたくさん抱えて、本屋に行きました。
そこで、私の?を払拭してくれたのが、『子どもの心のコーチング』(菅原裕子 著)でした。
この本を読み、私は、初めて息子を抱いた日のことを思い出しました。「何があってもママが守るからね」と言って、愛おしく涙したことを。
そして私は、その日から小学2年になるまで、息子をいつまでも生まれたての赤ちゃんのように扱い、すべての世話を焼いていたことに気が付きました。
「自分で使う物を自分で揃える」という、自立に向けて自分ですべきことを、私は息子から奪い、いつまでも「何もできないまま」にしました。それは、「忘れ物がないのは、ママが毎晩確認しているおかげ」と、自分のことを「良いお母さん」であると満足するためだったのです。
息子の「ママのせいで忘れた!」は、いつまでも自立することを邪魔している、私に対しての怒りだとわかり、私のモヤモヤは晴れました。
それからは、息子が自分で「できた!」と喜びを感じることができるよう、やり方を教えた後は、見守るサポートを心掛けました。そして、どんな小さなことでも「できたね!」と認めて一緒に喜ぶと、息子は水を得た魚のように(笑)自分のことを自分でするようになりました。
親の仕事は、「何でもやってあげること」ではなく、「子どもが幸せな自立をするために、サポートすること」とわかり、私の中にあった「困ったらかわいそう」という思いを手放すと、できないことばかりに目が行くこともなくなりました。
あの夜から10年、今でもたまにある息子の忘れ物については、本人にお任せしています。
昨年、修学旅行の準備が前日になっても終わらず、わざと「私がやってあげる!」と、バックに詰め始めたら、「どこに何があるかわからなくなるから、触らないで!」と息子は、慌てて準備を始めました。
「成長したねぇ! 母は嬉しいよ(笑)」
そんな会話を楽しんでいます。
2018年6月25日
神奈川県/森屋弘美
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定ハートフルコーチ