母としての気付き、子としての気付き

★★★ 第10回 オンライン･ホッとカフェのご案内 ★★★

【日時】2022年5月7日（土）10～12時
【参加費】無料
【方法】オンライン（ZOOMを使用します）
【お申し込み】
https://ssl.form-mailer.jp/fms/0760cb20739594

ある日の日記を題材に、菅原裕子や執筆コーチと語り合うこのカフェ。
今回のテーマは「思春期以降の親の役割」。取り上げる日記は 「愛することの正体、発見？！」です。
親元を離れ大学生活を送る長男への「不安」や「心配」を乗り越える過程を追いました。
読んで感じたことや知りたくなったことをざっくばらんに語り合って、視野を広げにいらっしゃいませんか？
　※ 前回までの様子はこちらでお読みいただけます。

★★★

大阪の田中です。
先日、娘とコーヒーショップへ行ったときのことです。カウンターで注文したコーヒーができあがってくるのを待つ間に、娘に「どこでもいいから席をとっておいて」とお願いしました。
コーヒーができあがって娘が居るところを探すと、隅っこの狭い二人席に座っています。ここのコーヒーショップは池に面して大きなガラス窓のあるところで、景色のよい窓側の席が人気です。その日は時間帯のせいか店内は空いていて、いつも人気の窓側の席もあいていました。
快晴で景色も抜群に良い日です。「せっかくだからあっちの席に移らない？」と言いかけて、その言葉をぐっと飲み込みました。私が子どものころ、何度か同じ状況になったことを思い出したからです。

母に「どこでもいいから」と言われてとった席は、母の「なんでここ？」と言わんばかりの一瞬の曇った表情と、「こっちにしよう」と言われて移動することがセットでした。当時の私は子どもなりに、あの席は陽射しが入りすぎて眩しいかな、長居する予定だから良い席を独占するのはよくないかなと考えて選んでいました。それでもいつも私が選んだ席は不正解。母権限で席の移動をするのでした。
それならば始めからお母さんが選んだらいいやんと思いつつ、母の期待に応えようとする健気な自分もいました。けれど何度か繰り返すうちに、母に何かを頼まれた時は自分で考えて選ぶことをやめ、しつこいほどに母に確認してから決めるようになりました。

子ども時代の些細な出来事です。普段は私も忘れていました。コーヒーショップでの同じような状況、そして当時とは逆の立場になって、もしかしてこんな小さなことの積み重ねが子どもの自信を奪っているのかもしれない、とふと思ったのです。

私は何かを決める時にどこか自信のない自分が出てくる時があります。特に人に頼まれたことに関しては、期待に応えられないのではないかという思いが強くなります。私の決断を良しとしてくれるだろうか、失望させないだろうかと不安に思うのです。
頼まれた相手に手間を取らせず自分の判断でサクサクとこなしたいのですが、しつこく確認する癖は抜けてないように思います。母の些細なひと言から受ける感情が、わたしの弱点として積もっているようにも感じます。

思えば、私は母に否定されているように感じることがしばしばありました。
例えば母とショッピングへ行った時には、私が好みの服を選んでも、「あなたはこの色よりこっちの色の方が似合うよ。」と言われました。母は娘を否定するつもりなど毛頭なく、よかれと思って言ってくれていたのだと思います。けれど私の選ぶものはいつも間違っている、そんな感覚でした。
母のアドバイスを聞くこともありました。それでも成長とともにひとりで行動する事が増え、母への確認作業も減り、高校生のころには母の意見を聞き入れず決めることが増えていきました。私は反抗しているつもりなどなく自分の選択に自信をもちたいだけでしたが、母が言うには私は万年反抗期、全く言うことを聞かない娘だったようです。

そんなことを思う時、相手を尊重することの大切さを感じます。
先にも書きましたが、私は反抗している気は全くなかったのです。でも、母の意見を尊重することもしなかった。母の意見を尊重した上でも自分が選択をすることはできたはずです。
そこには、家族ゆえの甘えのようなものがあったのかもしれません。どんなに身近な存在でも人として尊重する。そういう心掛けが大切だと思いました。

娘とコーヒーショップへ行った日、隅っこの席で、景色を見る暇もないぐらい娘がたくさんおしゃべりしてくれました。美味しいコーヒーを飲みながら、娘に集中する貴重な時間でした。
「この席バッチリやったね。ありがとう」
娘にそう伝えられた自分がちょっと誇らしく、気付きをくれた母に感謝します。

2022年4月18日
大阪府／田中千世子　
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定ハートフルコーチ

NPO法人 ハートフルコミュニケーション | 公式ホームページ