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世界に一つだけの花

埼玉の落合です。
この季節にブログを締めくくらせていただけることに感謝しています。
助産師になってちょうど13年目の春を迎えました。今だからこそ書ける、私の大好きな曲からの気づきを書きたいと思います。

新人助産師の2年間は、学び舎であった看護学校の母体となる総合病院で働いていました。
社会人から40代でこの業界に飛び込んだ私は、一日でも早く「一人前の助産師」になりたいと意気込んでいました。「一人前」とは、妊娠・分娩・産後を通して関われること。出産の前後を通して、五感を、時には六感を使ってあらゆる角度から相手に共感し、寄り添いたいと思っていました。

しかし、現実はなかなか厳しく、業務量の多さと組織の中での役割に追われて、次第に家と職場を往復するだけの日々となっていきました。忙しさのあまり、私はいつのまにか、教科書通りに、学校で学んだ通りに、まるでロボットのように業務をこなす助産師になってしまっていました。そして、休日に自宅に居ても耳にモニターの電子音が残っている感覚に陥っていったのです。

頭の中に居座る音を違うものにしたくて、今の場所から離れたい思いに駆られました。それでも、助産師を辞めようとは決して思いませんでした。幼少の頃、母の妊婦健診に付き添ったおぼろげな記憶のころから、助産師という職業は「産む・育てる」というライフイベントで絶対に必要な存在であると確信していて、「決して辞めない」と心に決めていたからです。家族や恩師の協力や応援も、心の支えになっていました。

そこで、何か音楽を聴きにいってみようと思い立ちました。検索したところ、槇原敬之さんのツアーライブを見つけました。
彼の楽曲は学生時代からよく知っていて、ただただ聴いているだけでも歌詞から景色が想像できて、不思議なくらい魅力的です。他のアーティストに提供した有名な曲もあったり、思い出がよみがえる曲があったりと身近に感じて、複数回のチケットを購入しました。

初めて行ったライブでは、次の日の勤務のことがどうしても気になってしまい、日帰りで行ける場所を選びました。それだけでも、家や職場から離れて違う場に行くことができたことや、好きな曲を聴けたことで、「自分で選んだことを実践できている」と感じられて、とても嬉しく感じました。
繰り返していくうちに少しずつ音楽に集中できるようになっていき、仕事とプライベートの時間を分けることができるようになりました。

それからは、ライブに向けてプランを付け加える工夫をしていくことが楽しくなっていきました。
チケット、ホテル、交通手段の手配だけでなく、地方公演の時には観光名所や美味しいものの検索、全国に散らばった助産師友だちとの再会など、世界がぐんぐんと広がっていきました。彼の音楽や歌詞を通して、懐かしい情景、感情を思い出しながら、現実の自分と向き合い、客観的に自身を観察する時間をを持てるようになりました。

好きな音楽が不快な音を小さくさせ、心地よい音が増えてもいきました。
変化のひとつとして、仕事の中で聞こえてきた音がありました。それは患者さんの声でした。入院中の妊婦さんと話す時間が増え、談笑する余裕がでてきました。相手が自己開示をしてくれたこと、どのようなことを思っているのか知ることができたことを嬉しく感じました。無事に出産を終えた方から、心温まるお礼の手紙を頂く機会もありました。

そうしたなかで、妊娠中に入院生活を余儀なくされている妊婦さんの心配事や、お腹の赤ちゃんへの想い、家に残した家族のことなど、それぞれが違った背景を持っていていることに意識が向くようになりました。そして、患者さんが安心・安全に出産するために、理解者となれるよう一人ひとりに耳を傾け、その代弁者となって医師との橋渡し役となることが、助産師としての大切な役目であることに気づきました。それは私が目指す「一人前の助産師」の軸となりました。

また、子育てママさんと話をする機会が増えたことで、赤ちゃんが飲むミルクの量が少ない/多い、体重が成長曲線から逸脱している、SNSには○○と書いてあるけれど同じようにはいかないなど、指標になるものと比べる方が多いと感じました。
そして、私も含め、私たち一人ひとりが世界で一つだけの花であること、花の大きさも色も成長の速度もそれぞれ違うけれど、それは間違いではなく、違いや個性であって、周りと比べる必要がないと気づいたのです。

そうさ 僕らも
世界に一つだけの花
一人一人違う種を持つ、
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい

小さい花や大きな花
一つとして同じものはないから
NO.1にならなくてもいい
もともと特別なOnly one

作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之

以前から曲に合わせ口ずさんでいた、槇原敬之さん作詞作曲の大好きな曲、「世界で一つだけの花」の歌詞があらためて、じんわりと心にしみてきました。それが、産み育てる期間の「伴走者」になりたいという、夢の種となっていきました。
オンリーワンの助産師を目指して、13年目の春からの新しい一歩を踏み出し始めます。

2024年5月6日
埼玉県/落合陽子 
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定ハートフルコーチ

★★★
〜第18回「泣き笑い日記 オンライン・ホッとカフェ」(春カフェ)のご案内〜

【日時】2024年5月25日(土)10:00〜12:00
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日記を読んでさらに知りたくなったこと、話したくなったことをシェアし、自分に活かせるヒントを持ち帰る、季節ごとの「オンライン・ホッとカフェ」。春カフェで取り上げる日記は、
「ゴウに入ってはゴウに従え」
です。

ジャカルタに転居して体験した異文化へのストレスと、子どもや家族など身近な人へのイライラとの共通点に気づいた筆者。
ジャカルタの暮らしを受け入れられるようになったその方法を、子育てに活かせば、もしかしたら・・・?

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「思い通りにいかない」ことから解放されたい方。
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