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大学受験

こんにちは。東京の楠野です。
2年前に交わした長女との会話を思い出しています。

1週間前に長男の第1志望大学の合格発表があり、無事合格。4月から大好きな化学にどっぷり浸かれる大学生になります。
順風満帆で受験を制した長男に対し、長女は大学受験で苦労を経験しました。

その日は彼女が最後の本命校の試験を終えた日でした。センター試験含め5校7学部の試験が終わるまでの長い期間、彼女がガマンしていたことのひとつ。私の母が2週間前から入院している病院へのお見舞い。帰宅直ぐ制服のまま、一緒に行きました。

夜景の見える病室で、彼女から母に、合格発表はまだだけど、試験が終わったことを報告し、楽しくおしゃべりした帰り道のタクシーの中、娘が話し始めました。

やっぱり大学受験は甘くなかったわ。
でも、私、自分で言うのもなんだけど、自分なりに頑張ったと思うよ。

あのさ、私、今回の試験たくさん受けさせてもらったじゃない。ドボン(本命発表前に滑り止め校に入学金を払うこと)も含めて、たくさんお金使わせちゃったなって。でね、やっぱりこれはちゃんと返さなきゃいけないと思ってるの。
全部受かる気分で受けたけど、結果は模試A判定の大学も落ちたし…楽々受かっていたらこんな気持ちにはなってなかったと思うんだけどね 笑

気づいたんだよね。
大学行く金銭的余裕がないから短大で妥協した子や、ランク下げて確実にきまる推薦にした子や…年末までは、友達のこと早く決まって羨ましいくらいにしか思ってなかったんだけどさ。

何だか上手くいえないんだけど…
挑戦させてもらったこと、ありがとう。
結果は上手くいかなかったけどね。でも、良かったよ。だから、ちゃんと返したいと思ってさ。

心が動いて、涙をグッと堪えたとこで、自宅前に到着。セーフ!と思っていたら、車を止めたタクシーの運転手さんが「いい子だねー、今の話、感動したよ。こんないい子ならお母さんも育て甲斐があるでしょう!」と振り返った運転手さんの目に涙…
それを見て、堪えてたものが溢れ出してしまいました。

娘を何とか合格させてあげたいと願って過ごしたその日までの半年間。ダメだった結果だけに意識が向いていた私に、「挑戦したこと」にこそに意味があったのだと娘が教えてくれました。
そして、親として何もしてあげられなかった、のではなかったのだということも。

ただ見守ることしか出来ず歯がゆかったのだけれど、子どもにとって親との関わりは大きな支えになっていたことを娘の言葉から実感させてもらえました。娘の言葉は私に与えられたご褒美でした。

娘はこれから幾つもの荒波に揉まれる経験に会うでしょう。でもきっと、その経験から学び逞しく前に進んでいけるに違いない。この日心に決めたのは、娘のこれからの人生、一番の応援団長で居ること。

結果で評価するのは世間で充分。
親の役割は子どもが自分で選択した挑戦から学びを得て成長できるよう、その過程を支えること。この経験がこの子の成長の糧になるようにと心の中で祈り見守り続けること。それはとても静かで密やかな行為ではあるけれど、何よりも大きく力強い支えになるのだと信じているのです。

2019年3月18日
東京都/楠野裕子 
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定ハートフルコーチ


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