遺言書を書いてみた~付言事項
税理士のオイラが遺言書を書き始めてから書き終えるまでの体験談。新型コロナウイルスで緊急事態宣言が出されることになり、自分の死んだ後のことが心配になって書き始める。そしたら、これが意外に大変な作業だと知る。みんなも命あるうちに書いておくことを勧める。
遺言書を書いてみた~1日目(財産目録編)
遺言書を書いてみた~2日目(遺言書自筆編)
付言事項とは
付言事項は法的な効力は全く無いが、自分の希望や感謝の言葉を書くことができる。
例えばこんな感じだ。
「長女の〇〇には、私の介護を一生懸命やってくれて感謝しています。だから、〇〇には財産のほとんどを譲りたいと思いました。他の兄弟たちは、私の心情を察して我慢してください。」
オイラが今まで見てきた遺言書は、圧倒的にこうした内容が多い。
相続財産の額に不公平がある場合、やはりその理由を説明しておくべきだろう。相続人みんなが納得してくれるかは分からないが、少しは不満を抑える効果はあると思う。
付言事項は事由に何でも書けるから、こんなことを書いてもいい。
「今だから言いますが、お父さんのオナラはとても臭かったです。」とか。
でもやめておけ、そう書かれたお父さんはきっとショックを受ける。
泣いているのが、死んで悲しいのか、オナラの臭さがショックなのか分からなくなってしまう。
だから、
「私の人生は家族のおかけで幸せでした。」
こういうシンプルで温かい言葉がいいと思う。
オイラも日々の感謝を書こう。
ありがとう。あなた方が家族で良かった。私はとても幸せな人生でした。
心からそう思える自分の人生に、書きながら涙が出た。
遺言書を書くと心に変化が・・・
感謝の言葉を書くごとに、心が満たされていくような気がした。
今まで、「あれがしたい、これが食べたい」だの、「何が気に食わない、面白くない」と不平不満を口にしていた自分がとても愚かな気がした。
遺言書を書いているときは、今まさしく、これから死にますという心境の中にある。
そんな時に、つまらぬ不平不満はどこかへ吹き飛んでしまった。
オイラの人生、たいした人生じゃなかったけど、幸せだったと思えることが嬉しかった。
もしも、この世の不満しか書けなかったら、自分の愚かさを呪っただろう。
その一方で、日々の暮らしを大切に思ってこなかったことを大いに反省した。今日からは、もっと家族に優しくしようと思う。
遺言書は、財産のある人で年寄りが書けばいいもんだと、税理士でもあるオイラでもそう思ってきたが、そうじゃない。
財産が無くたって、若くたって、遺言書は書いた方がいい。
これは書いてみて断言できる。
なお、令和2年7月10日(金)から、法務局において遺言書を保管する制度(自筆証書遺言書保管制度)が開始される。
利用するには手数料がかかるし、遺言書の作成様式が法務省令で定められているので、素人にはちょっと難しい面もあるかもしれないが、保管場所を遺族に見つけてもらえないなどの心配がない。
ちなみに、保管の申請の手数料は、1件につき3,900円。
専門家に相談するなら、司法書士、税理士がいいと思う。
法務局における自筆証書遺言書保管制度について(法務省HP)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
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