糸柳さん写真1

「人生の最後までワクワクドキドキ楽しめる場を全国各地につくりたい」 株式会社アテイン 代表取締役 糸柳達成さん

小学生のときからご両親のいない環境の中で、周りの人たちに支えられながら進学、就職をしたという糸柳さん。パチンコ業界で働いていた経験を生かして、様々な社会課題の解決を事業にする構想を持っていらっしゃる糸柳さんお話を伺いました。

糸柳達成さんプロフィール
出身地:愛知県と静岡県
活動地域:主に関東全域
経歴:
パチンコ業界歴31年。
1990年   関東老舗法人に一般社員として入社。以降新規出店やリニューアル店舗など含め多数の店舗を歴任
1997年9月  人事部教育研修課に異動。教育研修のノウハウを学ぶ
2001年1月  2店舗統括店長に昇進
2005年6月  リニューアルを契機に異動
2006年6月  マーチャンダイザーとして本社勤務
2006年11月 新規出店店長を契機に異動
2007年5月  17年強勤務した会社を退職しパチンコ専門の営業コンサルタント会社に入社
2011年1月  株式会社アテインを設立
2012年2月  現在の住所に移転
現在の職業及び活動:
株式会社Attain代表取締役。経営コンサルティング、企業団体等の社員教育、研修、セミナーの企画、実施、マーケティングリサーチ並びに企業の販売促進活動の企画に関する業務等。
座右の銘:『義を見てせざるは、勇なきなり』

親がいない人は、就職先がなかなか見つからない


記者 
糸柳達成さん(以下、敬称略)は、どんな夢やビジョンを持っていますか?

糸柳 私を今まで育ててくれた方々、関わった方々すべてに感謝しているので、その方々に恩返ししたいのはもちろん、これから出会う方々には、できるだけのことをしていきたいと思っています。それが、自分が生まれきた存在価値、存在意義だと思っています。

私は親がいないのですが、パチンコ屋さんに就職することができました。履歴書に必ず保護者の名前と緊急連絡先を書く欄があって、親がいない人はなかなか就職しづらいんですね。そうだったにも関わらず、前職の会社では、面接して採用してもらって、寮も用意してもらいました。パチンコ業界でいろいろ学ばせてもらって、結果、独立して今の自分があるので、この業界にも前職にも感謝しています。

そんなパチンコ業界が今ピンチで、斜陽産業とも言われていて、ピーク時の半分以下に店舗数が減っています。ですから、どうすれば、このまま消えてなくならない業界にできるのか考えていて。
パチンコ業界は約75年の歴史があるんですけど、悪いことたくさんしてきてるんですね。今は暴力団対策法が施行されているので、暴力団との関わりは一切ないですけど、施行される前は、一部のパチンコ屋さんは何かしらの形で関わっていたのは事実ですし、脱税ランキングでも上位にいる。「危険、汚い、怖い」などの3K・4Kと言われ、あまり良いイメージがありません。近年だと、パチンコに夢中になって車に赤ちゃんを置き去りにしてしまうとか、ギャンブル依存症の問題などで、イメージが悪くなっているのもあります。

パチンコ業界全体で社会問題を解決をする

どうすればそれを変えられるのかなと思ったとき、パチンコ屋のオーナーさんはお金持ちなんですよ。だから、稼いだお金を世の中の様々な社会問題の解決に使えればいいと思ったんです。今までも、東北の震災や広島の豪雨などあるたびに、寄付や炊き出しなど、いろんな支援をしているんです。寄付の金額で言えば、業種でいえばナンバー1です。でも、なかなかそういったことは、報道されないので、世の中の人はほとんど知らない状況なんですね。でも寄付とかではなく、もっとわかりやすい社会貢献、社会問題解決を業界全体でやったらいいなと思っています。

その一つとして、児童養護施設出身の子供達の就職支援をしています。児童養護施設に入所している子は、18歳になったら施設を出ないといけないのですが、7割は、就職先を見つけられるけど、残りの3割はなかなか見つからない現状です。でも出なければいけないので、住むところがない。
いま養護施設にいる多くの子は、親はいても、一緒に住めない環境で、親が保証人にすらならない。そういった子たちも18歳になったら出て行かないといかない。でも、夢はあるんです、夢を探したいとか。でも、就職先が決まらない。私が18歳のときに東京に出てきて一番困ったのは、就職先もそうですが、まず住むところが決まらないことでした。親がいないというだけで住めないんですよ。
そういったことを知ってるので、それなら、パチンコ屋さんはお金もあるし寮もあるし、寮がなくても家賃補助をしているところもあるので、そういうところでカバーできるかなと。

18歳の子たちの夢を応援するプログラム

ですから、私の今の提案としては、パチンコ屋さんに就職してもらって、3年働いてもらう。今の大手は、社会保険や健康保険も完備していますし、有休もちゃんと消化できますし、給料も他の業種より高いんですよ。
それで、3年の間に夢を見つけてくださいと。夢を応援するプログラムとして、たとえば、3年後に退職するときには、退職金として100万円を渡しますと。それで貯金とその100万円を使って、旅立ってくださいと。もしこのお店の店長になりたいということなら、ぜひ続けてくださいということもできます。

いま全国で養護施設が約650箇所あって、毎年1200人~1500人の18歳の子が出て行くのですが、そのうちの200~300人が、なかなか就職先が決まらない。地方に行けばいくほど業種がないので、さらに厳しいですよね。最終的に職員さんがどうするのかというと、土建屋などの劣悪な環境で、ほとんど休みもなくて、安月給で使い回すようなところに入れちゃうんですよ。住むところと働くところがなかったら、結局、悪いことをしちゃって、悪循環になるので。だったら、パチンコ屋さんのほうがよくないですか、ということです。

全国にチェーン店を持ってる大手のパチンコ屋さんはすごくしっかりしていて意識も高いので、そういうところに話しを提案していけば、やりますとなるので。なので、全国の養護施設の人たちとパチンコ業界を自分が繋いで、そういう子たちの窓口になりたいと。
やってみて思ったのは、職員の方々のパチンコ業界に対するかなり偏見があること。なのでそこを解消することもしています。

パチンコ業界がどういう業界で、なぜ悪いイメージがついたのか。今どんな活動をしているのか。そういうことをほとんどの人は知らないので、自分が、それをより多くの人に伝えていくことが、ある意味、パチンコ業界を救うことになるのではないかと思っています。それが自分なりの恩返しになるかと。
児童養護施設出身の子に限らず、障がい者や、少年院出身者の雇用促進、再犯防止の活動もしていきたいと思ってます。

記者 素晴らしいですね!

人生の最後までドキドキワクワク過ごせるテーマパーク


糸柳 他にも夢は100ぐらいありますが、もう一つ伝えるとすれば、高齢者が『出会う、学ぶ、働く』ことができるテーマパークを作りたいと思っています。日本は世界最先端の少子高齢化国家なので、定年が65歳になったところで、年金は破綻しているのでカバーできない。
75歳くらいの定年にしないと、その後の人生の長さを考えると、収入と支出のバランスがあわないんですね。

なので、そのテーマパークの中で、いろんな人たちと出会うコミュニティやサークルがあって、いろんなことを学べるカルチャーがあって、実際にそこで働く。働く人もみんな65歳以上、来る人も65歳以上。プラス孫とか。
そこでたとえば、「65歳から始める英会話」「65歳から始めるダンススクール」とか。そこにいけば、自然に高齢者が意欲的になる環境をつくって、近くに老人ホームや介護センターもつくって、ケアもばっりりにして、みんなが繋がって、安心して楽しめるようにする。

あと、お手玉や将棋や折り紙などの日本の文化伝統を小さい子に教える場を作ったり、世代を繋ぐ活動も一緒にしていきたいですね。健康麻雀や健康パチンコなど、賭けをしないノーレートの遊び場も取り入れて、ドキドキ感を味わえて、ボケ防止につながる。とにかく人生を飽きさせないで、趣味を持ってもらう。障害者の人たちもミックスでそこで働いてもらう。お見合いも合コンもある。人生を最後まで充分楽しめて、高齢者も障がい者も元気にドキドキワクワク過ごせる場を全国各地につくりたいです。

孤独死なんてさせない!させたくない!


少子高齢化をマイナスにとらえないで、「日本のお年寄りは元気だよ。みんなこんなに楽しんでいるよ!」ということを、世界に証明してあげたい、世界最先端をいく少子高齢化の今後のあり方を世界に示してあげたいという構想があります。
60歳から30年間どう生きるのかと考えたときに、ただ単に寿命が長いだけでなく、健康寿命を延ばさないといけないので、そういうものをそのテーマパークにたくさん入れて、それを日本各地につくることで、世界をリードできると思います。

働くことで納税者側に回ってもらえます。収入を得るので、当然、所得税も払う形になるので。年金を国に任せても無理なので、自分たち中小企業がやっていく。
高齢者の方に、「まだまだ出会えるし、遊べるし、学べるし、働ける。人生謳歌しませんか?タイムスリップして、若い頃の感覚に戻りませんか?」ということを提案したいです。人生に対して生き甲斐が持てて、常に仲間がいる、孤独死なんて絶対させない、という環境をつくっていきたいです。


記者 
では、その夢に向かって、どんな目標や計画を立てていますか?

糸柳 
私は動物占いが、猿なんです。猿は、短期勝負がめちゃくちゃ得意で、3年プランは立てるけど、それ以上はあまり立てないんです。短期で集中的にやりきることに徹して、あれもこれも同時に全部動いている感じです。遅くても、年内中には高齢者のテーマパークの詳しいプランを作成して、来年には全国的なフォーラムで発表しようと思っています。

記者 日々、どんなことを意識して実践行動をしていますか?

糸柳 今は、心から応援してくれて志を共感できる仲間を、最低100人つくることを目指しています。大きな夢は1人ではできないので、たくさんの仲間をつくることに集中して、意識の高い経営者が集まっている場にも積極的に参加しています。
以前は、業界への負い目があって、交流会に出向いても名刺交換もせずに帰っていたこともあったんですが、その考えは結局自分の問題だったんですよね。だから今は積極的に人と会って、想いを語っています。

両親がいない私を、周りの人たちがみんな支えてくれた

記者 夢を持ったきっかけは何ですか?

糸柳 私の両親は、同じ相手と4回の結婚、離婚を繰り返したんです。母親が生後間もない自分をお寺に捨てたり、家から出ていったこともあったので、母と共に生活したのは、合計して2年間ぐらいだけでした。
11歳の時に父親も家を出て、親戚の家に引き取られました。自分は恵まれていて、周りの人たちの勧めで、県立の工業高校に進学しました。学費の手続きなどは、自分の知らないところで周りの大人が全部してくれていました。同級生の親御さんやアパートの大家さん、近所の方、学校の先生や職員さん、用務室のおじさんなど、みんなが自分を見守ってくれて、支えてくれて助けてくれました。

身近な他人のおかげで、今の自分がいると思うので、この恩は一生かかっても返せないと思ってます。すべてにおいて、周りの人がいつも応援してくれているので、今は恩を返す番だと思ってます。借りっぱなしって嫌じゃないですか。ずっと良くしてきてもらっているので、後は返すだけです。
自分にとっては、家族は縁が薄いので他人のようで、それ以上に、出会うすべての人の方が、関りが強いので家族のようですね。その家族を大事にしたいです。

「両親ともいなくなって、よくぐれなかったね」と言われますが、基本的にポジティブシンキングで、この性格も両親のおかげだと思っています。父親が帰ってこないとわかった日だけは辛かったですが、それ以外は、大変だなと思うことはあるけど、辛いと思ったことはないですね。

記者 とても感動的なお話ですね。最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

糸柳 「幸せの条件」というテーマでよく講演してるんですが、すべての人が幸せになる権利があるけど、幸せになるには5つの条件があるんですよね。
その5つとは、「お金」「時間」「仲間、同志、家族」「志、夢、目標」「健康」です。この5つのバランスが整ってないと絶対幸せになれないんです。
どれかに偏っては本当の幸せにはなれないから、全部を大切にしようと伝えています。だから自分もすべてを大事にしていますし、どんなに忙しくても家族は最も大事にしています。また、それと同じように友達を大事にしないといけないです。
どれか0があったら、掛け算なので全部が0になってしまいます。常に、小さくてもいいからバランスよく、そうしないと幸せになれないよ、それは自分がつくるものだからね、ということを伝えたいです。

記者 本日は本当にありがとうございました!

-------------------------------------------------------------------------------------
糸柳さんの活動情報は、こちらから↓↓

◇株式会社アテイン
http://www.at-attain.com/

--------------------------------------------------------------------------------------【編集後記】


今回、インタビューの記者を担当した陣内、福井、西尾です。人生100年時代をどう楽しく健康に過ごすか、こんなに面白い構想を持って動いている方がいるとは、びっくりしました。また、パチンコ業界のことは私もほとんど知らなかったので、今回、知ることができて、イメージが変わりました。そして、糸柳さんの生い立ちにの話は、涙がでるほど胸を打たれました。つらいと思わず、周りの人たちに感謝の気持ちが持てることも、素晴らしいことだと感動しました。これからの活動、楽しみにしています!
--------------------------------------------------------------------------------------
この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?