あの時の君の気持ちを分かっていなかった。

話は現在になる。

相手カウンターで超絶ドリブラーに独走を許しペナルティエリア内で後ろから倒しPKに。相手に謝ることも出来ず固まっていると懲罰交代。歩いて交代に向かうと更に怒られる。 

これがこの前のTMの息子の姿だ。

正直見ていて私もめちゃくちゃイライラしたし、なぜそんな態度を取るのか!?と思っていた。

プレーも態度も息子が悪いのだがそこには秘められたその場ですぐに表現出来ない気持ちがあったのだ。

私はそれを全く理解しようともせず、場面や結果だけを見てイライラしていた自分がとても恥ずかしいし息子に謝りたい。

ビデオを見ても明白なのだが、ハーフウェーライン付近で相手のカウンターが始まった時点で、相手が上手なドリブラーであること、距離が離れていることから他の息子チームフィールドプレーヤーは
追いつくことを諦めていた。

しかし息子は追いつくことを諦めなかったのだ。

猛ダッシュでディフェンスに戻り距離を相当縮めたところで相手選手はシュート体勢に。

息子はその瞬間後ろから足を出してしまったのだ。

当然、私がそうだったように周りからは
「あーあ、やっちゃった」
という雰囲気が流れる。

コーチからは注意されチームメートからは無言の視線が注がれる。

それを察知しつつも自分の失敗にショックで固まる息子。

コーチは相手に謝れ!と続けるが動けず発せず
懲罰交代となる。

息子は交代したくないから歩いてサイドラインに向かうがそれが更にコーチを苛立たせる。
むしろその風景を見ていた私のほうが苛立っていたかもしれない。

味方が一人少なくなるんだぞ!と叱られるも、もう耳に入らない。

その後は数試合出してもらえず、その後で数試合
出場したが、もうなんだか気持ちがうわの空で
動きもなく、守備もあまりせず、いつもは積極的にやるドリブルをしないですぐ相手を背負いキープに入り奪われる連続。無駄なファールも増えた。 

後から聞いたのだが、失敗にショックで、そしてたくさん叱られて動けなくなってしまって、相手選手に謝れなかった事を悔やんでいた。

一生懸命ボールを追いかけたのにPKになってしまって怒られた事に猛暑も加わり何も考えられなくなってしまったのだ。

私は理由は理解した上で、それでも次から自分が反則をして謝る事はとても大事で必要なことだから次からしようと伝えた。

息子は落ち込みながらうなずいてくれた。

歩いてサイドラインに行ったのは、
「なんで一生懸命追いかけたのに交代しないといけないの?」
と言う気持ちが先に立ってしまったのだ。

親である私でさえイライラのしたのだから、
他の方は更にイライラしたに違いないし、
息子の言動はまったく誉められたものでは無い。

注意したコーチが間違っているとも思わないし、
周りがあーあと思うのも当然だ。

しかし、小さな男の子が短時間で色々感じ考えていたことも理解してほしい。

散々な息子だったが、この何本も実施したTMで
カウンターから得点を決めた。

味方ゴールキックを必死で追いかけトラップして全力で長距離をドリブル。

必死に追いかけてくる敵を寄せ付けずシュートを決めた。

しかし、それまでの経緯があり大人は褒めてくれない。

チームメートだけが褒めてくれる。

ゴールを決めた後、息子が喜びが微塵もない、
苦痛に満ちた表情でハーフウェイラインに戻ってきた。

私はこの時の息子の表情が忘れられない。

こんなに辛そうな悲しそうな苦痛のにじみ出た
ゴール後の表情はあっただろうか。

いつもどんなに喧嘩したり負けたりしても 
「ケンカして泣いたけど楽しかった!」
「負けたけど楽しかった!」

という子が初めて、帰宅後、

「サッカーあんまり面白くないよ。。。」

と発したのだ。

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