ケニア旅行 -ドバイ編-
これは随分昔の旅行記です。スマホとかSNSとかコロナとかまだない時代です。当時なんとなく書いていた旅行記を久しぶりに読み返し、懐かしくなったのでnoteにもあげてみることにしました。
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豚インフルエンザに感染することも無く(多分)、
マラリアにも黄熱病にもかかること無く(多分)、無事帰国しました。
両親と行った今回のケニアは、それはそれはもう動物天国で、
動物にそこまで興味のない私はどうなることかと思いましたが、どうにかなりました。
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5月1日。
夕方、羽田から関空へ。
両親がビジネスクラスのラウンジで寛ぐ間、私は閑散とした空港内を行ったり来たり。
レストランもショップも早々と閉まり、薄暗い照明の元で本を読む気にもなれず、暇を持て余した私は両親のいるビジネスクラスのラウンジへの潜入を試みる。
意外とあっさり成功。
ビールを飲んだくれているパパとマッサージチェアで寛ぐママに
「やぁ」 と声を掛けると、
「ちょっとアンタ一体どうやって入ってきたの?さっきエコノミーの人が間違えて入ってきて追い出されてたわよ。」 とのこと。
(どうやって入ったかは書けないけれど)どうやって入ったかを告げると「信じられない。」と唖然とするママ。
そんな感じで、離陸の時間までラウンジでちゃっかり一緒に寛ぎ、初のエミレーツ航空に搭乗。
最新機種のB777は、大きな機材で機内も綺麗。
でも、まぁ所詮私はエコノミーですから。
深夜フライトなので、離陸後すぐに照明が消え、天井がプラネタリウムのようにライトアップ。
なかなかロマンチックな演出なんだけど、当時豚インフルエンザが猛威を振るっていたこともあり、日本人の乗客はみんなマスク着用、
さらに機内で配られたアメニティのアイマスクまで着用してしまうものだから、薄明かりの中でのその光景はなかなか恐ろしいものでした。
ドバイまでの11時間のフライト中は、
隣のやんちゃなオッサンにずーっと睡眠を妨害され、結局一睡も出来ず。
映画を見ることはおろか、最新のタッチパネル式のパーソナルTVにタッチすることすらできませんでした。
そんなこんなで
日付変わって5月2日の早朝5時半、ドバイ着。
機内からさっさと降りて、行方をくらました両親。
彼らがトランジットの5時間を再びエミレーツのラウンジで過ごすことはわかっていたので、私はtransitではなくarrivalの表示がある出口へ。
5時間も空港内で待ちぼうけなんて、拷問以外の何ものでもない。
とりあえずarrivalのインフォメーションセンターで、
「トランジットまでの間、空港の外に出ていい?」 と聞いてみる。
「日本人?」 と聞かれ、「そうだ。」 と答えると、「どうぞ。」 とあっさり通され、ドバイへの入国手続き。
ビンラディンそっくりな係員に凝視され、
「乗り継ぎだけど外に出たい。」 と希望を伝えると、
「何のために?」 と冷淡な応対。
「アラブの石油王を探しに・・・」 なんて冗談が通じる人だとも思えず、
「街を見たい。」 と素直に答えると、
「こんな早朝に街を見てどうする。」 と再び冷たいお言葉。
「写真を撮りたい。」 と伝えると、フンと鼻で笑いながら通していただけました。
両替所で50ドル分だけドバイの通貨ディルハムに替えて外に出ると、
ビンラディンが言った通り、外はまだ真っ暗。
確かにこんな時間に街を見てどうしよう。
とりあえずタクシーを拾ってクリーク(川)まで行ってみると、だんだん朝らしくなってきた。
そして、どこに行き着くのか皆目見当もつかなかったけれど、おじさんたちに紛れてアブラに乗船。
船頭に運賃の30円(感覚的に多分それくらい)を請求されるも、両替したばかりでそんな端金持ってない。
とりあえず1番安そうな札を1枚渡してみると、乗客全員から回収した30円硬貨をジャラジャラジャラジャラ両手一杯に手渡される。
こんなにたくさんのディルハムの小銭、使い道はきっとない。
出稼ぎ労働者のような雰囲気を醸し出す彼らの中で、完全に浮いていた私。
というか、一体どこに向かっているんだこの小舟は、と心配になりかけたのもつかの間、5分ほどで反対側の岸に着き
あっという間にバラバラに散って行った乗客たち。
そして誰もいなくなった。
ガラケー時代。もちろんGPS機能なんてついてません。ケニアに向かう途中でドバイの街を徘徊することになるとは思ってもいなかったのでガイドブックもございません。
どこなの、ここ。
とりあえず歩く。
歩く。
やっていない店内を覗く。
後にわかりましたが、ここはオールドスークという市場で日中は相当賑わう場所だそう。
早朝はひとっこひとりいませんでした。
あぁ。そうだ!と突然思い立ち、再びタクシーを拾い、ジュメイラビーチパークへ。
アルカイダの一味みたいな顔をした運転手は一言も言葉を発することなく、目的地まで送り届けてくれましたが、残念なことに開園は7時からでした。
40分もここで棒立ちはもったいないので、再びタクシーを拾ってジュメイラビーチホテルへ。
宿泊者以外中には入れてもらえないため、目指すは隣のパブリックビーチ。
これが噂の7つ星ホテル、バージュ・アル・アラブ!!!
この光景を見れただけでもう満足。ドバイに降り立った甲斐があった。
しばらくビーチを散策し、時計を見るとパークが開園している時間。
タクシーを拾い、行き先を告げる。
朝からやけにテンションが高い運転手につられて私までテンションが上がる。
そうそう、これぞアラブだよ。
私が想像していたアラブ人は、ビンラディンでも、アルカイダの一味みたいな人でもなくて、こういう陽気な人!
「ジュメイラビーチパークに何しに行くの?」
「わからない。行ってから決める。」
「あそこに行ったところで何もないよ。砂浜があるだけだから行っても意味ない。」 と、
多分そうじゃないかと薄々感じていたことを指摘してくれた兄さん。そもそもなんでジュメイラビーチパークにこだわっていたんだ私は。
「じゃあ行かなくていい。8時半には空港に戻れるように、それまでランドマーク的な場所を回ってちょうだい。」と価格交渉もせずに、このタクシーをチャーターすることに決定。
ショッピングセンター
ジュメイラ・モスク
世界で1番高いビル。ブルジュ・ドバイ(この当時はまだ建設中で2010年に完成したとのこと。名称もブルジュ・ハリファに。 by Wikipedia)
建設中の建物が多いパーム・アイランドの敷地内
突き当たりに見えてくるアトランティス・ザ・パームのエントランス
ここは、世界的にも有名だそうで、7つ星のバージュアルアラブより宿泊費が高いんだとか。
なんでも、中にあるウォーターパークが素晴らしいらしい。
ロビーに入ってみたけれど、なんか・・・なんていうか・・・
ディズニーシーのミラコスタ?
私の好みではないけれど、海の真ん中に建っているから解放感は抜群。
「写真撮るついでにちょっと海沿い走ってみたら?きっと気持ちいいよ。俺、車で伴走するから。」なんてドライバーの誘いにまんまと乗って、海沿いを散策していた私。
海を前に両手を空高く上げて目を瞑って深呼吸。はぁー。確かに気持ちがいいわー。最高だわ。
ん?両手がフリー?
( ゚д゚)ハッ!
しまった。
荷物全部車の中だ。
と思って振り返った瞬間、走り去って行ったタクシー。
バッグも財布もパスポートも航空券も何もない(゚Д゚;)
それまでいくつかのスポットをまわってもらっている時、写真を撮るために降りる時、どんなに短い時間でも荷物を全部持って降りていたというのに。
ここにきて完全に油断してた。
こういう時ってまずは大使館?え、大使館てどこにあるの?
大使館までどうやって行くの?うそ私、このままドバイでホームレス?
ケニアで私がいないことに気づいたらママとパパ悲しむかしら。ドバイの空港で寝過ごしたのかもとは思うかもしれないけど、まさかドバイのビーチで路頭に迷ってるとは思いもしないよな・・・。まぁ今焦って考えたところでどうにもならないか・・・。こういう時こそ海を眺めよう。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
ぼんやり海を眺めていると、遠くの方から誰かが私を呼んでいる声がする。ような気がする。
「へーい。」
振り向くと、さっきのタクシーが戻ってきているではないか。
「・・・。」
「ごめんごめん。冗談。」
へーい、じゃない。
冗談じゃない。一歩間違えば私の人生ドバイで終わってた。
聞けば一瞬魔が差したけど、残された私を不憫に思って戻って来たそう。
アンタ、いい奴だわ。
チップ、はずんでやるわ。
そんなことを心の中で呟きながら再びドライブスタート。
でも時計を見ると既に8時15分。
「ねぇ。8時半に空港着けるの?」
「ここから15分もあれば着く。もうひとつ見せたいホテルがあるから、寄っていい?」
連れて行ってもらったホテルは、なんと偶然、去年両親が泊まったホテル。アル・カスル。
ここ、いい。
雰囲気いい。
「ついでにワン&オンリーも見てみる?」
「折角だからウェスティンも見てみようよ。」
楽しいけれど、時刻は既に8時35分。
完全に兄さんのペースに乗せられている。
「ねぇ、私もう空港に戻りたいんだけど。8時半に空港って言ったじゃん。」
「OK。わかった空港に戻ろう。」
ようやく空港に戻る気になってくれた兄さん。
少しでも長い時間私と一緒に過ごしたいのか、
それとも少しでもメーターを稼いで、運賃を上げたいのか。
( ゚д゚)ハッ!
しまった。
チャーターの金額交渉するの忘れてた。
しかも。
しかも!
メーターを見たら軽く6000円を超えているではないか。
50ドルしか両替してなくて、すでにタクシー2回乗って、手元には3000円と大量の小銭しかない。
(ま、最悪ドルがあるか・・・)
そんなことを考えていたら、「助手席においでよ。」と突然のお誘い。
ミラー越しに私を見る兄さんの目がなんかちょっと気色ばんでる。
いや、っていうか今更??
しかもこんなにスピード出して高速を走っている最中に??どうやって??
「いや、いいよ。ここで。」
「いや、前の方が景色がいいから。跨いでこっちに移ってきなよ。」
助手席に移動するやいなや、
「Are you Mari?」 と唐突に私の名前を当ててきた兄さん。
すごいよ兄さん、まさかのエスパー?いや待てよ。さてはあんた、さっき逃げようとした時に私のパスポート見たな?でもどうもその後の会話がかみ合わなくて、ようやく兄さんは「Are you Mari?」ではなく「Are you married?」と聞きたかったことが判明。エスパーでもなんでもない単なる発情した兄さんだった。さっきはMariかと聞かれたからYesと答えたけれど、結婚はしていないと前言を撤回。
すっかり忘れてたけど、そもそも私アラブの石油王を探してたんだ!
すると何を思ったか、私の太ももに手を伸ばしてきた兄さん。
空港を目前になぜ発情したんだ兄さんよ。太ももお触りくらい許されると思ったのかもしれないが、あんたには既に窃盗未遂という前科があることを忘れるな。
チップはずんでやろうと思ったこともあったけれど、そもそもはずむお金もなかったし、2度の反則行為を理由に料金は格安にしてもらいました(3000円相当+大量の小銭)。
9時に空港に戻り、エミレーツのラウンジへ。
日本とは比べものにならないほどセキュリティがしっかりしているシステムに一瞬ひるんだものの、またしても強行突破で潜入成功。
ラウンジで私の姿を見たママは
「あんたまた・・・どうして?どうやって?信じられない。」と再び唖然。
そして、撮った写真を見せながら50ドルでドバイの市内を周ってきたことを告げると
「いいなーずるい!!なんで私も連れて行ってくれなかったのよー!」と羨むママ。
その横で「おまえ、行動力あるよな。誰に似たんだろうな。」とパパ。
あなたたちの娘ですから。
きっとあなたたちに似たのです。
とまぁこんな感じで、たった5時間でしたが、ドバイは存分に満喫できました。
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