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電動 車いすは、なぜ広まらないのか?

世の中は電動自転車が当たり前となり、今や電動キックボードが規制緩和になるなど、「電動を使って」便利に移動するのが当たり前の時代となりました。

さて、電動の移動手段で忘れ去られた機械があります。

「電動車いすが便利だとご存知ですか?」


イメージ(本製品:WHILL Model C2 / CK2)

最近はスタイリッシュな製品も世に出てきてるものの、まだまだ広まっているとは言い難い状況です。

きっかけは、あるTweetでした。

とても良い指摘だと感じました。
電動車いすって素晴らしい移動手段なんです。

わたしも理学療法士として、電動車いすの可能性を大いに感じています。
もし、わたしが何らかの理由で歩けなくなったら、電動車いす一択で外に出たいと思います。

なので、広まって欲しいと願う一方で、広まらない理由があるとも思ってます。

そこで、今回は訪問リハビリを行なっている一人として、
「なぜ広まらないのか?」を深掘りしてnoteしていきます。

電動車いすが広まりにくいと考える7つの理由

①要介護2からしかレンタルできない
②身障手帳+医師の処方問題 (約20万円補助)
③玄関に置くだけのスペース
④庭先に置くだけのスペース
⑤近隣の高低差、歩道スペース
⑥だれが充電するの?
⑦購入後のアフターケア
⑧法定スピード

ひとつずつ、問題を深掘りしていきましょう。

−①要介護2からしかレンタルできない問題

電動くるまいすを介護保険でレンタルしようとすると、要介護2より重い認定しかレンタルすることができません。
電動車いすは、ベッドレンタルと併用されるような代物ではなく、活動量がそれなりに確保されている要支援からの法制度が理想的。
要支援からのレンタルでしょ!が結論

−②身障手帳+医師の処方問題 (約20万円補助-地域差あるかも)

身障手帳から給付という形で補助を受けることができる。
ただ、手帳を受けるために認定医の探索、交付書類費、認定のために訪問、給付を受けるためにさらに訪問など、手間も費用もかかるのが現状です。
サポートするためにも、そういった地域ルールの知識が従事者に求められます。

−③玄関に置くだけのスペース問題
−④庭先に置くだけのスペース問題

電動車いす導入する時に、レンタルでも購入でも「雨では使用できない」という説明あり。
となると、「玄関に入れる」もしくは「庭先の屋根付きスペース」となる。
結論、そんなスペース無しであればお試しも困難なケースも。

−⑤近隣の高低差、歩道スペースの問題

都心となると、歩道の高低差を乗り越えられるのか?歩道あるのか?車スピードは?転落しないか?など、導入にあたっての評価が必要。
訪問リハビリだけに限っていえば、ケア時間の全てを屋外評価に時間をさくのは適切ではなく、じっくり評価する時間がかかる。

−⑥だれが充電するの?問題

玄関先にコンセントが無い、というご家庭が存在。
もちろん、ご家族が充電のためにサポートできなければ問題とならないものの、独居、老老介護であれば障壁となる場合があり。

−⑦購入後のアフターケア問題

電動車いすのゆえ、使用途中で故障した!というケースの経験あり(このケースはちょうど、交番前で故障し、ことなきを得た)。
レンタルであれば、定期的なサポートを受けやすいものの、購入となるとアフターケアを受ける方法を検討する必要あり。

−⑧法定速度スピード問題

自宅から目的地までの距離と時間の問題。
日本は四季があり、素晴らしい天候であるものの、「暑すぎる・寒すぎる」が存在。
どれぐらいの時間で目的地へ到着できるのか?を知っておく必要あり。
海外に比べて、時速6km/h と比較的、スピードは遅いのも要因。

【海外比較】
イギリス→歩道は6km/h以下で歩道
オーストラリア→9km/hで歩行者扱い
スウェーデン→最高速度20km/h以下
シンガポール→歩道10km/h以下
日本→歩道・車道問わず6km/h以下

海外の電動車いす事情(国土交通省)アジア経済ニュース

いただいたTweetリプライ

いただいたtweet、なるほどな!と納得しました。
もし、要支援から電動車いすを利用できるようになったとしても、それだけでは保険枠内で負担が大きくなってしまいます。

また、歩行練習を懸命に頑張っている方へ「電動車いすをオススメ」するのは「もう歩けない」というネガティブなイメージに引き込みかねません。

導入にあたっても、対象者へ丁寧な誘導が必要であることを示唆してくださる、納得の返信でした。

まとめ

つれつれと書いたが、車いすは素晴らしいデバイスであり、電池の改良により馬力も持続時間も拡大してきている。

回復期のリハビリテーションだけでは、上記の理由でなかなかオススメしにくい代物。
だからこそ、生活期のデイケアや訪問リハビリテーション分野がその責任を担えることを心から願っています。

障壁となっている部分がクリアになれば、あとはどうやって解決するか?乗り越えるだけ。

自立支援の観点からも、電動車いすが更に多くの方へ広まることを個人的に願っております。

ここで、私からみなさんへお願いがあります。

私「さっとん」は訪問リハビリ従事者として、みなさんへ「在宅医療でチカラになる話」を紹介しています。
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