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発達障害を持つ子の潜在能力を汲み上げて育む療育的家庭学習の試み(愛着編)

私のページをご訪問くださいまして有難うございます。

今日の記事のタイトルは「発達障害を持つ子の潜在能力を汲み上げて育む療育的家庭学習の試み(愛着編)」といたしました。

今日の記事の内容は、発達障害を持っている子ども(特に未就学児)の療育的な家庭での学習の場合に限らず、広く一般のお子様の家庭学習にも応用できるお話です。

今の幼児通信教育の謳い文句の一つに、子どもが専用タブレット自学自習できるようになっているのでご多忙な親御さんのご家庭にも最適ですよ、という類のものがあります。

今日の記事では、たとえタブレットを使って子どもが学習や知育に取り組むとしても、そこに子どものこころに寄り添うようなおとなや親のまなざし存在コミットが必要不可欠であるというお話をいたします。

それではどうぞよろしくお願い申し上げます(*^^*)


発達障害を持つ子の中には知的ハンディがあるお子さんがいます

子どもさんを育てておられる方ならお判りでしょうが、乳幼児の様子を見ていますと、その旺盛な好奇心と知的な探索欲求に驚かされますね。

しかしながら、発達障害を持つお子さんの中には、好奇心や知的な能力の現れ方に関してハンディキャップを持つように見える方が稀ならずいらっしゃいます。

ご存じのように、発達障害(≒神経発達症)は、便宜上、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)、そしてLD(学習障害)やSLD(限局性学習症)などというように医学的に大別されていますね。

しかし、精神科医の杉山登志郎先生も御指摘のように、これらは互いに重なり合うことが多く、ASDやADHDやLDなどを厳密に区別することに臨床上あまり意味をなさないこともあるのです。

そのため、児童精神科医の故・佐々木正美先生のように、発達障害そのものを発達特性のグラデーションの発達(障害)スペクトラムとして捉えるドクターもいらっしゃるわけです。

発達障害をある種の発達特性の連続体として捉えるにせよ、それぞれの発達特性を個別的にとらえるにせよ、そのような発達特性を持つお子さんには、知的なハンディを持つように見える方がおられるのは事実でしょう。

将来を案じるより発達障害を持つ子の興味関心を見抜きましょう

一見すると知的欲求や知的好奇心に乏しく見えるようなお子様の中にも、その子の興味や関心のある対象については実に鋭敏な反応を見せる方がいらっしゃいます。

そのような子どもさんの瞳の煌めきは瞬時的なことが多いので、専門の医師や心理士にとっても気付きにくいものですし、一般の親御さんにとってはなおさらですよね。

勿論、生まれながらにして知的に非常に厳しい状態にある方もいらっしゃいますので、このお話は決して一般化できませんが…。

しかしながら、そういうお辛いご事情でない限りにおいてですが、発達障害とか神経発達症と診断されてわが家の長女のように児童相談所地域療育センターでの知能検査のデータが知的グレーゾーンであるような場合であっても、子どもの将来をいたずらに悲観することはありません。

学校での勉強や学習がお子様に向いているかどうかは別として、たとえ知的グレーゾーンと判定された場合であっても、臨床教育学的に理にかなったメソッドを使うなら、子どもの才能を汲み上げて花開かせていくことが出来得ると私は考えています。

児童虐待などのACEs(逆境的小児期体験)によって子どもさんがひじょうに辛い思いをした結果として、やたらとボーっとしたり、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症に見紛う症状を出している場合には、家庭学習より何よりまず必要なものは、その子の心的外傷体験のケアですよね。

そういう第四の発達障害と呼ばれるケースでない限り、生来の自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症による知的困難を有するお子さんの場合であっても、その子に対する必要な支援療育養育が臨機応変に与えられれば、一見すると知的活動性に弱さを示していたお子さんもその子ならではの煌めきを見せていくことが多いのです。

発達障害を持つお子さんの場合に限った話ではありませんが、わが子の将来を案じていたずらに不安に駆られるよりは、お子さんの興味関心のポイントを親御さんやおとな達が見抜いてお子さんをしっかり認証(validation)していった方が、親子ともども幸せな成長を遂げていくことが出来るのではないかと私は思います(*^_^*)

未就学児を独りぼっちで学習させたりしないこと

今日のお話は「発達障害を持つ子の潜在能力を汲み上げる療育的家庭学習」の序論ですので、子どものご家庭における知育や学習がその子の才能を引き出すための大前提となるお話を今から申し上げます。

それは、未就学児独りぼっち学習させたりしないということです(^-^;

「えーっ」という溜め息や御批判の声が聞こえてきそうですよね(^^;

「そんなの共働きのわが家にはできない相談じゃないか」とか言われてしまいそうです。

何のためにしまじろうの通信教材などは子どもの自学自習を謳っているのか?とも突っ込まれてしまいそうです(^▽^;)

おっしゃること、ごもっともだと私も思います。

確かに、共働きのご家庭に限らず、現代の日本社会にはとにかくゆとりや余裕がありませんよね。

それは金銭的な余裕や時間的なゆとりの欠乏の場合のみならず、何よりもこころのゆとりやキャパシティに乏しくなりがちなようにも見受けられます。

金銭的・時間的な欠乏も大変深刻な問題ですが、金銭的にも時間的にもゆとりのあるご家庭の場合であっても、お子さんが子自身の持ち味を生かして伸び伸びと成長していっていないケースも多々あります。

親御さんに充分な心のゆとりがある場合には、その日常生活が多忙を極めていても、子どもさんの様子をそれとなく観て取り、その子の関心や好奇心のツボを見抜くことが出来得ます。

確かにそれはそれで難しいことかもしれませんが…。

本節では、お子様の知的な潜在能力を花開かせるためには、通信教育の会社の謳うような自学自習の方式ではなく、その教材を使いながら出来るだけ親子で一緒に学習する方がベターですということを申し上げておきたいと思います。

どうしたら親御さんが心のゆとりを持つことが出来るのかにまで言及することは今日は出来ませんし、これは親御さんご自身の生育歴とも関連してくる大きな話題ですので、次回以降の記事のテーマとして取り上げたいと思います。

次節では、どうして未就学児にタブレットで自学自習させない方が良いと私が考えるのか、その精神医学的な理由をご説明いたします。

子どもの健全な成長と知的好奇心の発達には愛着が必要です

子どもは親御さんとの間に健康な愛着を築くことを本能的に必要とします。

愛着にダメージを負った愛着障害を患う方が激増していると報じられて久しいですが、愛着の無いところには学習意欲も湧くはずがありません

人間の心身の健康は、幼少期から親や養育者との間に健康な愛着が育まれたかどうかに大きく左右されるということが、すでに医学的に明らかとなっています。

そして、養育者や親御さんとの間に愛着が健やかに形成されるためには、親子の情緒的な触れ合いが必要であることもすでに明らかとなっています。

精神分析学的・発達心理学的には、未就学児が異性の親に対して愛着や思慕の念を懐いて同性の親に対する敵愾心をいだく時期を通過していくにしても、ジグムント・フロイトジャック・ラカンの指摘した鏡像段階で自分のイメージを確認した子どもはいずれは同性の親と部分的に同一化をしながらアイデンティティ形成の道程を歩み出します。

そのような成長過程を通ることは、発達特性を持っている子でも可能です。

子どもの健全な成長と知的好奇心の発達には、愛着が必要なのです。

親子の愛着を築くために社会資源を最大限に活用しましょう

発達特性の豊かな子どもさんの場合には、親御さんが孤軍奮闘することは避けた方が良いのです。

親子の間で愛着を健全に築いていくプロセスというのは、決して綺麗ごとで語ることが出来る美談の類ではなく、物言わずして泣き叫ぶわが子のイイタイコトを非言語的に推し量って行くという血みどろにも等しい親子の向かい合いの過程です。

特に発達障害を持つお子さんとの間に愛着を築くということは、お子さんが親御さんの語りかけや愛情に対して反応が希薄なせいもあり、より一層の難しさを伴います。

自閉スペクトラム症の発達特性を持つわが家の娘たちの場合も、その自閉的なメンタリティや感覚過敏やファンタジーへの過度な耽溺が観られて、親子の間でさえコミュニケーションを取ることがひじょうに難しかったのです。

わが家の長女の場合に、その生き地獄のような育児に少しずつ光明が射すようになったのは、私が区役所の子ども家庭支援課のワーカーさんや障害高齢課のお役人さん、さらには児童相談所地域療育センターや某療育事業所の主任責任者の方と密接で緊密なコンタクトを取るようになってからのことでした。

長女が三歳になった頃、私たちは運よく児童精神科医の先生のご高診を仰ぐことが出来るようになりまして、そこでも適切なアドバイスをいただけるようになるとともに、言うに言われぬ私たち夫婦の気持ちを汲んでいただいて共感してもらえるようになりました。

このような社会資源ともなる方々を初めとして、私どもの暮らしている街でお店を開いているさまざまな職種の方々ともわが家の家族が懇意になり、子ども食堂を運営しているガーナ出身の男性にも目を掛けていただける僥倖にも与りまして、よりいっそう家庭が安定するとともに、長女の愛着も盤石な基盤を作り始めたのでした。

発達障害の特性を持つお子様の育児でお悩みの方は、どうか親御さんだけで閉じてしまわないで、役所の子ども家庭支援課の方々や療育の方や児童精神科医の方の門戸を諦めずに叩いていただきたいと切に願います。

発達障害を持つ子の育児の難しさと来たら、「役人や医者は所詮は他人さ」とニヒルなことを言っている場合ではない筈です。

どうか社会資源や地縁を大切になさっていただきたいと思います。その繋がりの中から、あなたがた親子を労わり共感してくれる人がきっと見つかりますから

タブレット学習も親子で取り組みたい

地縁の皆さんや役所の方々と私が信頼関係を築くことに成功し、長女との間の愛着が盤石なものになって来た頃になって、長女はしまじろうの通信教材に私とともに取り組めるようになりました。

それ以来、私と長女は毎週二、三日程度の頻度で、しまじろうの通信教材と取り組んできました。

そして長女とともに学習課題に取り組んだことが、私と長女の間の愛着をよりいっそう強めるとともに、長女の知的能力を花開かせていく第一歩となったのでした。

発達障害を持つお子さんの場合でも、その子その子の持ち味を親が見抜きながら親子の愛着を確かなものとすべく親子で一緒に(学習)課題に取り組むことは、発達障害を持つ子どもさんの潜在能力を汲み上げて育て育む療育的家庭学習法の根底をなす理念だと思います

それは何も学校の学習能力に限った話ではありません。今日の記事に使っている画像は、すべて自閉スペクトラム症の長女がCanvaで作成したものなのです。

これは長女が今日Canvaで作成した画像です

その子その子に必ず持ち味はあるのです。ただ、発達特性がひじょうに豊饒なお子さんの場合には、それを親やおとなが見抜いて活かしていくのに工夫と努力を要するということです。

その努力の中核を為すポイントは、まず親子の愛着を確かなものとして醸成するということに他ならないと私は考えています。

親子の間の愛着を確かなものとするために必要不可欠なファクターは、子どものこころの動きに鋭敏なアンテナを親が張っていることです。

たとえ自学自習を謳っているタブレット教材の学習であっても、親子で一緒に取り組みますと、ただ愛着が確固たるものになって行くばかりではなく、知能テストでは測れない子どもの斬新で個性的な視点や観点や才能に気付かされることがままあります

皆様時間的にも大変お忙しいとは存じますが、週に二、三回、一回15分から30分程度でいいので、どうかお子さんと御一緒に学習課題に取り組んでいただけないでしょうか。

親御さんのその努力がもたらす祝福と恵みは計り知れません。

親の存在とまなざしとコミットの重要性~難しいお子さんはいます

子どもにとって、学習や知能の発達面に限らず、その持って生まれた才能や才覚が育つためには、その子を温かく見守る親や養育者の存在まなざしコミットが必要です。

そのことは、今日詳しく申し上げられませんでした愛着理論によって既に医学臨床心理学の領域では広く知られていることです。

世の中には親子と言えども、どうにも打ち破れない障壁に隔てられてしまっているケースもありますし、いわゆる「毒になる親」というケースの中には悲劇的な場合もありましょう。

あまり語られないことですが、発達障害を持つお子さんの中には、意思の疎通性がとても難しくて育てにくいお子さんがいらっしゃることもまた事実です。

そういうお子様の育児にお悩みの場合には、ぜひ社会資源に頼ってみてくださいませ。

皆がみんなあなたに共感してくれるわけではないかもしれませんが、あきらめずに相手をリスペクトしながら交渉していけば、必ずやあなたの力になってくださる人との出会いが待っていると思いますよ。

発達障害を持つ子どもさんの育児や知育の場合でも、あるいはいわゆる定型発達と呼ばれるお子様の育児の場合であっても、まず話の始まりは愛着からです。

愛着は子どもさんと親御さんの情緒的な触れ合いの中から紡ぎ出されてきます。ですから、タブレットで学習していく場合でも、子どもさんに独りぼっちで「自学自習」させるより、親子で共々に新しく知識を発見していく心地で一緒に課題に取り組んだ方がはるかに理に適っていると私は考えるのです。

長女はうさぎが大好きです(*^^*)

結びに

今日は「発達障害を持つ子の潜在能力を汲み上げて育む療育的家庭学習の試み(愛着編)」と題して、自学自習を謳うタブレット教材でも未就学児に独りぼっちで取り組ませない方がベターだと私が考えていることとその理由について、特に潜在能力と愛着の関連性からお書きして参りました。

今日は大変長い記事となりました(^^;

ここまでお読みくださった方には心より御礼申し上げるとともに、あなた様の御人生に天と人とから豊かな祝福と恵みがありますようにお祈りいたします。

発達障害とか非定型発達と呼ばれる子どもたちの未来をご一緒に輝かせるべく、みんなで手を取り合って励まし合い、前に進んで行きましょう!

感謝を込めて(*^^)v

Koki Kobayashi拝

これも六歳の長女がCanvaで作成した作品です。親馬鹿ですみません(*^^)v


サポートしていただけたら感謝の極みです。頂戴したサポートはクリエイターとしての私の活動資金に使わせて頂きますが、同時にまた、私が協同しているこども食堂への寄付にも充当させていただきます。その子ども食堂はGhana出身のトニー・ジャスティスさんが運営する「ノヴィーニェ」です!