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【開催レポート】2025/1/11 Health Tech Innovation Challenge2024
イノベーションの火を灯せ!Health Tech Innovation Challenge
Health Tech Innovation Challengeは、研究者、技術者、起業家、学生を対象とした公益財団法人 ⼤原記念倉敷中央医療機構 臨床医学研究所が主催するヘルスケア分野限定のピッチコンテストです。
このイベントは、イノベーティブな医療機器開発案件の発掘や新たなエコシステムの創出を促進することを目的として、2023年度からスタートしました。
恐らく、全国的に見ても「ヘルスケア分野に限定しているピッチコンテスト」自体が希少な現状だと思います。そこに加えて
・医療機関を経営する公益財団法人が主催していること
・開催地が地方都市(岡山)であること
・最高100万円の賞金付きであること
・出場者の限定がほぼないこと
を加味すると、唯一無二のイベントだと思います。
2025年1月11日(土)に「Health Tech Innovation Challenge2024」として開催しましたので、その様子をお伝えいたします。
全体の様子
当日は出演者含め、総勢53名の方に会場であるももたろう・スタートアップカフェ(通称:ももスタ)にお集まりいただきました。
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テーブルを押しのけ、椅子を通路ぎりぎりまで増設し、イベント開始時には超満員となりました。
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会場の期待値を大きく超えてきた、特別講演
主催代表として臨床医学研究所の徳増の挨拶ののち、東京電機大学 理工学部 理工学科 電子情報・生体医工学系 教授の荒船龍彦先生による特別講演がスタート。
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「医工連携による医療機器開発・事業化の考え方と実際」をテーマにご講演いただきました。
ご自身の「研究者」「教育者(国立大・私立大)」「開発者」という多様なキャリアに基づく医工連携の在り方への考察は大変興味深いものでした。
現代の医工連携によるモノづくりの原則的な考え方であるバイオデザインから少し視点をずらし、より臨床現場の課題解決、それによる医学と工学の融合を重視されていること、またその成果物に対して適切なGoal(製品化・企業売却・再研究など)を設定していくこと、なにより「課題発見と解決」を沢山実践していくことなどをお伝えいただきました。
いずれも、ヘルスケア分野を軸とした新たなエコシステム創出やオープンイノベーションの推進に重要な示唆に富むものでした。
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最終登壇者6名による白熱のピッチコンテスト
荒船先生の特別講演ののち、当イベントのメインコンテンツである「ピッチコンテスト」がスタートとなりました。
今年度よりアイデアやコンセプトベースの「ビジネスプラン部門」と、自身の製品やサービスの更なる発展を目指す段階にある方向けの「ビジネス部門」の2部門を設けました。
(詳細はこちらのプレスリリースもご覧ください)
両部門併せて合計25名の応募から、各種審査で厳選された6名に発表いただきました。
6名中5名が医師または歯科医師、また中四国に在住されている方は1名のみという内容からも、「ノー忖度」&「リアルなヘルスケアの課題に対する挑戦」という姿勢を感じ取っていただければと思います。
当日はビジネスプラン部門3名が発表されたのち、続けてビジネス部門3名が発表いたしました。その発表順で掲載させていただきます。
■福島 大喜さん(株式会社Ubeing)
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医師である福島さんは、臨床現場において腎臓を悪くされた方々の食事指導をするも「おいしいものを食べたい」欲求を抑えることが困難な患者さんを多数診て来られたといいます。
減塩食でもおいしく感じられるようなデバイスがあれば、このような方々にも「食べる楽しさ」を保ちながら、健康改善につなげることができるのではないかという思いからumaiNaの開発を進められています。
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■衣笠 秀明さん(岡山大学病院 消化器内科)
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内視鏡は胃や腸の中をカメラで覗くため、隆起した(ボコボコした部分)がどこにあるのかを判別しにくいといいます。そのため、検査の時には特殊な染色用薬剤を撒いて、色をつけることが一般的です。ですが、その薬剤に近年発がん性があることがわかり、安全性や経済性に問題となっています。
これをAIで解決しようというのが衣笠さんの事業プランです。撮影している動画をリアルタイムでAIで染色処理をすることで、薬剤なしで異常部位を判別できるようになることを目指しています。
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■小笠原 淳さん(株式会社Gifts)
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出産は女性の一大イベントです。また、出産時だけでなく、母親の胎内にいるときから「異常なく育っているか」など丁寧な観察とケアが必要です。
ですが、産婦人科医は日本でも減少しており、またその育成には長い時間がかかります。更に世界に目を向けると産婦人科医が大変少ない国も多くあり、十分な観察が出来ないために、不幸な事態が発生しています。
これを解決するために、「装着するだけで胎児の異常を発見できる」製品開発に小笠原さんは取り組まれております。
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事業化を視野に入れた質疑をしていただきました。
■多和 実月さん(株式会社I &Company,)
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「は・み・が・き、じょうずかなー」という歌を一度は聞いたことがあるかと思います。おそらく数世代にわたって使われている口腔衛生啓発ソングでしょう。それだけ、子どもに歯磨きを教えることは重要であると同時に、世代を超えて難しいものだということの証左でもあると思います。
また多くの事柄において「言われてやる」という強制よりも、「やりたい」と自発的な意欲をもたせたほうが定着しやすいとも言われています。
多和さんは、子どもたちが自分たちで歯磨きをしたいと思ってもらえるような教育コンテンツやサービスの開発に取り組まれています。企業とのコラボの実績もあり、今後更なる拡大を目指されています。
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■下村 景太さん(F.MED株式会社)
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手術支援用ロボット「Da Vinci(ダヴィンチ)」が2009年11月に薬事承認をけてから約15年たち、国内には700台以上導入されるほど普及をしています。人の手よりで行うよりも細やかで、正確な操作ができるとして外科系医師から高い評価を得られています。
一方で、乳房再建などに必要な血管同士をつなげるような細やかな手術(マイクロサージャリー)には対応できていませんでした。
このような手術に利用できる、より振動を抑えられ、滑らかに動くロボットの開発を目指し、下村さんは取り組まれています。
発表では、開発中のロボットが動作している様子の動画も映し出されており、実現性の高さが伺えました。
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■平川 英司さん(鹿児島市立病院 新生児内科)
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皮膚が脆弱な新生児、特に医療的なケアが必要な児に対しては保湿や保温が極めて重要になります。このために、新生児へのケアを行う医療機関においては保育器が欠かせません。
世界には十分な医療施設や器材が普及したところばかりではなく、貧困国においては複雑な操作を行える人材も限られているのが実情です。
そこで、浮き輪のように空気を入れてふくらまし、ペットボトルのようなものにお湯を入れるだけで保温と保湿を可能にする「誰でも安全に使える簡易保育器」を、平川さんは開発されています。
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(説明書なしで5分ぐらいで作れました。これはすぐ使えそう。)
4つのアワードの受賞者が決定!
いずれの発表もクオリティが高く、また質疑応答ではかなり踏み込んだ議論が展開されました。
これら全てを加味して審査した結果、以下の方々が受賞されました!
■ネクストバッター賞(10万円の事業化支援金)
今後の更なる展開や発展性への期待値が高い事業やプランに贈られるネクストバッター賞を、衣笠 秀明さんが受賞されました。
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■オルバヘルスケアホールディングス賞(30万円分の海外展開支援)
国際展開が期待される事業やプランに贈られるオルバヘルスケアホールディングス賞は、多和 実月さんが受賞されました。
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■岡山大学病院新医療研究開発センター賞(50万円の事業化支援金)
ヘルスケア分野における革新を目指す優れた事業として、岡山大学病院新医療研究開発センター賞に、平川 英司さんが受賞されました。
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■Best of HTIC賞(100万円の事業化支援金)
今年度の発表のうち、事業性と革新性に優れ、Health Tech Innovation Challengの主旨と最も合致する優れた事業として、下村 景太さんがBest of HTIC賞を受賞されました。
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まとめならびに謝辞
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前年も大変すばらしいプレゼンテーションが展開されましたが、今年度もそれに負けない素晴らしい発表の数々でした。
また、「現場の熱」を重視する対面限定での開催となりましたが、最終的に前年よりも多くの方々にお越しいただくことが出来ました。イベント終了後に観覧者の方々が登壇メンバーを囲んで熱心に情報交換をされるなど、今後につながる何かを感じることが出来ました。
(既に、2案件ほど新たな動きが生まれているようです)
出場いただいた皆様、ならびに観覧にお越しになられました皆様とは、この機会を元に、我々も発展的な活動に取り組ませていただければ幸いです。
共催頂きました岡山大学病院新医療研究開発センター様、岡山市様
また後援いただきました中国経済産業局様、四国経済産業局様、オルバヘルスケアホールディングス株式会社様、中国銀行様、ちゅうぎんキャピタルパートナーズ様、ライフタイムベンチャーズ様には、この場を借りまして改めて御礼申し上げます。
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