
PickUp! ご当地新型コロナ対策の色々
職業柄、各自治体のホームページを回りながら、新型コロナ対策の状況を観察しています。自治体によって流行状況もさまざま、医療体制もさまざま、自治体内や自治体間の人の動きもさまざまです。それぞれのリスクに応じた対策があり、対策の呼びかけもあります。いくつかの「勝手にベストプラクティス」事例をご紹介していきたいと思います。
北海道
基本的な考え方から具体的な行動をわかりやすく説明しています。
具体的な行動は
(1)行動の変容(かえる)
(2)まん延の防止(おさえる)
(3)早期発見と対策(そなえる)
と整理され、綺麗なインフォグラフィックも示されています。
出典:新型コロナウイルス感染症対策に関する今後の基本的考え方
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/0513kaiken.pdf
茨城県
いち早く県内の”Stage"の概念と指標となる数字を公開した件の一つが茨城県でした。
出典:https://www.pref.ibaraki.jp/1saigai/2019-ncov/index.html
東京都
東京都は早くから様々な意欲的取り組みを行なっています。いち早く最新の感染動向の情報を伝えるウェブサイトを作成しコードを公開し、全国に波及したことはよく知られています。
そのほかの様々な取り組みのなかでも「コロナ対策 東京かるた」は、STAY HOME週間の心得を上手に伝えるグッズでした。
神奈川県
医療提供体制といえば、全国に先駆けてダイアモンド・プリンセス号の事例から、感染症患者の多数搬送調整を経験した神奈川県の「神奈川モデル」が有名です。中等症患者を集中的に受け入れる「重点医療機関」を設置していることが特徴です。さらに「神奈川モデル・ハイブリッド版」が運用されています。
山梨県
富士山は今季閉山となってしまいましたが。
滋賀県
「8割おじさん」が有名になりましたが、滋賀は「滋賀1/5ルール」で呼びかけ。
大阪府
いち早く自粛要請・解除などの段階的実施を示す「大阪モデル」を提唱。警戒段階を信号でわかりやすく表示しています。各地の市庁舎やモニュメントの同信号色でのライトアップもされています。
出典:http://www.pref.osaka.lg.jp/iryo/osakakansensho/corona_model.html
鳥取県
Physical Distancing (身体的距離の確保)のアピールにご当地キャラに名物牛が登場。(ジャイアントパンダは鳥取にいるのか?パンダを出すならむきぱんだをだすべきだったのでは?)
広島県
広島県は”新しい働き方様式”創出プロジェクトとして、職場等での新型コロナ対策を推進しています。個人個人の生活様式だけで無く、職場にも新型コロナ対策が織り込まれていくことが大切です。
いわゆる「チェックリスト」が示されているのですが、ユニークなのは、その中で「重点的に取り組む対策」というのを選んで、具体的に(1日何回、何分間、とか)することを書き出すところでしょう。主体的に取り組む意識づけにつながります。言われてやる、でなく、自ら取り組むのが長続きするコツかと思います。
高知県
クラスターがどのような場所で起きているか、これは地域ごとに評価して、情報を地域に還元し、発生に気をつけていくべきものと思います。しかし、意外に都道府県でこのような情報還元をおこなっているところは見当たりません。高知県は、下記のように、「大まかな傾向」として、県で発生した症例を分析して提示し、必要な対策を示しています。
出典:令和2年5月5日知事メッセージ
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/010101/files/2020030300305/file_202055219577_1.pdf
くろしおくんのポスターも可愛く出来上がっています。
熊本県
熊本県は、もちろんくまモンが登場するわけですが、
見ていただきたいのは、遊興施設やパチンコ店、接待を伴う遊興施設向けの「チェックリスト」です。
事業者はこれを利用者が見えるところに張り出し、利用者はこれを見て、感染防止が不十分な施設の利用は控える、という形で、対策の実効性を担保する方策です。飲食店は、このリスト等を参考にした感染症対策の実施を条件に、時短営業要請を解除するとしていました。実際に1,582箇所を訪問調査し、60-70%が掲示を行っていたとのこと。
総評
「勝手にベストプラクティス」とさせていただきましたが、ほかにもまだまだ良い取り組みがあるかもしれません。ホームページ巡りをしていて感じましたが、情報が探しやすい自治体と探しにくい自治体がありました。トップページが災害モードで新型コロナのワンストップサイトになっているところもあれば、トップページにはバナー程度のところもありました。また、縦割りでそれぞれの対策は所管課のページに記載を探しに行かないといけないところもありました。
自治体内の流行が今どのような状況で、施設の使用制限や自粛等のどのような呼びかけや要請が行われているか、など、「第二波」が来る時までに、市民に必要な情報をすぐに伝えられる準備を進めておくべきでしょう。
調査協力: 徳本惇奈