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【読書日記】20201121”ハーバード大学医学部「絶対に失敗しない」5つの健康習慣”

なぜこの本を購入したか、というと、第3章と第4章の章タイトルを見たから、である。

”この本の3章、特に4章のタイトルが私には響いた。内容を読んで、この思いはさらに強まったし、多くの方に読んでいただきたいと思うのだ。”

第1章:食欲に打ち克つ
第2章:減酒で人生を充実させる
第3章:欲を分散して依存を抑制する
第4章:ED治療こそが集大成
第5章:眠りを変えれば人生が変わる
第6章:ストレスと共生する。

私が専門分野として身を置いてきたのは、「公衆衛生」という分野である。この中で、「健康教育=健康学習支援」の領域で、その中でも「性の健康」をテーマにしてきた。
当初は、HIV感染症予防をテーマにしたのだが、予防を考えるとき、性感染症予防全般、そして、いわゆる”性教育”に範囲を広げることになった。
プロフィール

自分自身が40代、50代になり、更年期の事象について、セミナー等でお話をしたり、個別に生殖器関係の病気や男性の性機能についての相談を受けたりするうちに、大人の異性愛者のカップルにおける性行為について、もっとポジティブに知っていくことは、日常生活を豊かにすることに繋がるという思いを強くした。

このことについて語ると長くなってしまうので、本書に戻る。
異性愛、同性愛に関わらず、男性の生殖器において、勃起しないことは、からだ全体の循環器の状態を表す、動脈硬化のバロメーターになる、ということを知らない人はまだまだ多いと感じる。

生殖器に関することを相談することをためらう気持ちもあるだろう。
知人男性たちに、個別に、勃起不全:EDを相談されたこともある。そこで、動脈硬化、メタボリックシンドロームとの関係を伝えると、かなりインテリジェンスが高い人たちなのだが、知らなかった。もっとも、人は関心あることの情報をキャッチするので、知らないことでも不思議はないのだが。

いわゆる男性ホルモン、テストステロンは20歳代がピークで、その後は緩やかに減少する。女性のように45-55歳で急激に性ホルモンが減少するのと異なり、男性の方が個人差があり、緩やかに減少する。共通することは、だれも、緩やかに男性ホルモンが減少していく、ということである。

60歳代の男性の60%以上に勃起不全があるという報告があるので、珍しいことではないといえよう。けれども、40・50代での勃起不全は、本人が性行為を望んでいる場合、勃起しないことがストレスになり、男性としての自信がなくなることに繋がることが多いとも報告がある。実際、相談を受けた際に、そう言う言葉を聞いたこともある。

ちょうど、仕事の責任やストレスがまず年齢と重なる時期でもあるので、精神的な理由での勃起不全もあるが、生活習慣病予備軍の症状と、精神的ストレスが重なっていることも多いと推測される。

勃起不全:EDは、単に性機能の衰えにとどまらず、メタボリック・シンドロームの要素である高血圧、高血糖、高脂血症とつながっていることがあり、
メタボであると診断された人々のIIEF(国際勃起障害機能スコア)を調べた結果、メタボとEDにも相関関係が認められる、という調査報告もある。


このような説明もある。

「狭心症や心筋梗塞など心血管疾患を患った男性のうち67%は、発症の平均3年9ヵ月前にEDを自覚していたとの調査結果が、2003年に発表されました。
また06年には、心血管疾患の男性患者はほとんど全員が、2~3年前からEDだったとも報告されました。このように、EDを自覚して3年ほどの間に心血管疾患が発症する可能性は高いといわざるを得ないのです」
 メタボは、動脈硬化を加速させる大きなリスク・ファクターだ。
そして男性更年期におけるEDは、動脈硬化が原因の1つとなっていることもある。陰茎動脈は直径が1~2ミリと細いため、動脈硬化が進むと早い段階でEDという自覚症状にいたるのだ。
https://www.nippon-shinyaku.co.jp/healthy/male_urinaryorgans/male_menopause.html

現代では、40代、50代での結婚や同棲は珍しいものではなくなった。
20代・30代前半の結婚とやや異なるのは、性生活について、そして体全体の健康について、様々な症状が出てくる年齢であるということだろう。ゆえに、日本社会では、あるいはこの世代の人が、比較的話しにくいであろう、性行為に関わるたがいの身体に起こる変化についての基礎知識があるといいのではないか、と思うのだ。それは、生活習慣病とも男女ともに関わるからだ。これは、性や恋愛の対象が異性のみならず同性でも同じだと考える。

40代・50代で婚活から結婚に至る際、若い時代と異なり、性的な機能も徐々に低下してきているので、お互いの思いやりが大切である。思いやりだけではなく、SEXという行為をしたい場合は、具体的な方策も大切かつ必要である。ということは、知識もいるし、方策を講じようという意欲も必要だろう。こう考えると、性行為に向かうカップルのふたりの、性行為への欲求度、があまり大きく差異がない方がうまくいくのではなかろうか。少なくとも、スタート地点においては。

性行為をする・しないは自由である。
その考え、欲求度が大きく異なるのを、50代で同じくするのは、なかなか努力が要るようにも思える。互いにある程度受け止めて、うまく生活と感情にすり合わせていけるのであればいいと思うけれど。


このような考えているので、この本の3章、特に4章のタイトルが私には響いた。内容を読んで、この思いはさらに強まったし、多くの方に読んでいただきたいと思うのだ。

既婚者の場合も、4・50代で交際する・結婚する・同棲するカップルと同様のことがいえるだろうけれど、それまでの夫婦の経過の中で、性的な交わりの状況も、たがいへの愛情の状態も、ある程度出来上がっていると推測するならば、EDと生活習慣病、健康管理・健康維持がクローズアップされるだろうか。


さらに、この本では、他の章の記述も、ストレートな分かりやすい言葉で書かれている。これまで、健康増進・健康づくりをサポートする現場の専門職が思ってはいるけれど、あまりストレートに語られてこなかったと思われることが、書かれている。

現実思考:プラグマティックな内容やアプローチは、加減は考慮すべきだろうが、どんな人にも響くだろうし、必要だろうと、サポーターとして生活習慣病領域にも関わってきた経験から、そう思う。


飲酒や睡眠の章では、具体的な対策が、ステップアップ方式で記述されていて、やってみようと思う人に、簡単なことから始めるヒントが書かれている点も有益だと感じた。

食欲や飲酒のコントロール、睡眠の調整、欲の調整は、しよう!と思う人は読むだろうが、「どうせ、効果は出ない」「考えたくない」「治したいけど我慢がいや」など否定的な気持ちの人は読まないか、実施に至りにくい。
そのような人でも、特に男性、そしてEDはないからいいよ、という人にも、第4章のED治療の章を読んでいただきたいなと思うのである。
なぜなら、EDはバロメーター、兆候、ヒントなので、苦しくない身体状態で生きるために知っていてもいいと思うからである。
女性で、性的対象が男性の人にも、ごく基本知識として読んでいただきたいとも思う。

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