【 開業支援のセカンドオピニオン #2 】 事業をスケールさせる賢い外注の使い方
はじめに
” 医療 × バックオフィス ” をテーマに活動をするプロジェクトマネージャーの大津 憲一です。
私はこれまで、医療機関におけるバックオフィス部門(人事、労務、経理、総務、法務、広報、ITなど)の立て直しや業務改善を数多く経験してきました。
”クリニック経営をバックオフィスから支えたい”
そんな思いから、この記事はこれからクリニックを立ち上げられる未来の院長先生に向けて、理想とされるクリニックの実現に少しでもお役に立てるように、” 医療 × バックオフィス ” 領域で積みかさねた知見をシェアさせていただくものです。
大津 憲一のご紹介
こちらの記事をご覧ください
株式会社ヘルスケアエージェント
お金にまつわる医療業界特有の慣習
医療業界に携わるようになって10数年になりますが、それまでは広告代理店やタバコメーカーといった医療とは全然異なる業界で働いてきました。
そんな医療業界とは異なる世界で働いてきた経験から思うのは、医療業界は一般的なビジネスの世界とは違う ” 独特の慣習 " があるということです。
その一つが ” なんでも自分たちでやる ” というものです。
医療は非営利の世界なので、目の前の患者さんにどう向き合うかが最優先事項で経営効率は二の次です。なので、一般企業では徹底的に突き詰めるコスパの意識が希薄になりがちです。
こう言うと、「いやいや、うちの病院はとてもコストにうるさくて、たいした金額じゃなくても全然稟議がおりないのよ。」とおっしゃる方が多いのですが、 ” コストをかけない ” というのと " コスパがいい " というのは全くの別物です。
" コスパがいい " というのは、コストに対するリターンが大きい、または、その効率がいいことを言います。なので、” お金を使わないこと " とは全く異なります。
一般企業ではどれだけお金をつかったとしても、それ以上のリターン(経済合理性)があるのであればGOということになるのですが、医療業界はそもそもあまりお金を使うことを良しとしません。
コスト効率の意識は大事
節約や無駄なお金を使わないことはとても大事なことだと思います。ただ、" お金を使わない " ことと " コスパがいい " ということは別物なので、お金をかけないことが本当に経済合理性があることなのかはしっかりと考える必要があります。
こんな話をすると、「でも、自分たちでやればお金がかからないわけだからお金を払って外注するより確実にコスパはよくないですか?」とよく言われます。
でも、この考え方は間違っていて、なぜ間違えてしまうかというと " 自分たちでやることにもコストがかかっている " ということを見落としているからです。
仮にある仕事を時給2,000円の人が10時間かけてやったとします。その時の人件費コストは20,000円です。その仕事を外注すると10,000円でやってもらえるとすると 外注の方が2倍もコスト効率(コスパ)がいいということになります。
上記の例の場合、もし、パフォーマンスや品質が同じであればお金を支払ってでも外注した方がいいということになります。
外注のメリットは?
ただ、この費用対効果を算出するのは慣れていないとなかなか難しいことだと思います。では、どういう業務を外出しして、どういう業務を内製で行うと効率がいいのでしょうか?
外注のメリットは以下の3点にまとめられます。
<外注のメリット>
①費用が安く済む
②仕事が早く片付く
③品質や専門性が担保される
上述してきたように、外注した方が費用が安く済む場合は外注した方がいいですし、仮にお金がかかったとしても、外注した方が早く問題が解決する場合や質や専門性が担保される場合は外注した方がよかったりします。
例えば私のフィールドで言うと、バックオフィス(管理部門)の体制を作る、最初のセットアップのところは外注をした方がいい仕事になります。
勤怠管理や給与計算はどのように行う?
毎月の経理業務はどうする?
社内コミュニケーションの形はどうする?
職務分掌や会議体はどう設計する?
こういったタスクは自分たちでやろうと思えばやれる仕事ではありますが、知見がないと立ち上がるまでにすごく時間がかかってしまったり、非効率な形ができあがってしまったりします。
一度できあがった体制や業務フローを後々変更することはとても大変です。コストがかかることはもちろんですが、人は習慣を変えることが嫌なので職員から猛反発されたりします。
なので、最初のセットアップはとても重要なのですが、最悪なのは最初にリスクのある形を作ってしまうこと。具体的には、業務の属人化やブラックボックスが生まれてしまうような形です。
特にお金まわりの業務は危険で、属人化やブラックボックの形を作ってしまうと、その担当者が抜けたらとたんに仕事が回らなくなる業務停止リスクを抱えたり、中で何をされていてもわからないので横領や不正のリスクを抱えることになります。
賢い外注の使い方
私はクライアントに対して、「ルールや業務の仕組みを作る最初のセットアップのところだけは専門家に外注をして、型化された後のルーティン業務は内製で回されたらどうですか?」ということをよくお勧めします。
やることが決まっている定型業務を回すことと、業務を一から構築したり改善したりするような業務は難易度が全然違います。
そういった難しい仕事を職員にやってもらおうと思うと、求める能力要件は高くなりますし、求める能力要件が高くなると当然支払う報酬も高くなってしまいます。
中小規模の医療機関だと、業務構築や改善といった企画力や推進力が求められる仕事は日常の中にはそんなに多くないので、高い報酬を支払って優秀人材を雇用してもかえってオーバースッペックになることがあります。
ですので、最初のセットアップのところはお金をかけてでもプロにしっかりとしたものを作ってもらって、その仕組みや形が決まった後のルーティン業務は自分たちで行っていくことをお勧めします。
” なんでも自分たちでやる ” は美徳の一つだと思いますが、ビジネスマインドで考えると必ずしも正解ではないと言うことをお伝えさせていただきました。
最後に、みなさまの事業が発展されることを心よりお祈りしています!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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