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kokoro

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医療現場のリアルを公開。突然の事故や病気による障害、余命宣告をされた患者さんたちの言葉から教えられる人生や命についてを語っています。
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2020年7月の記事一覧

余命1ヶ月のこの人と私の間に流れる時間

「あーこの人は余命1ヶ月とさっき医師から告げられたんだったな。」 今は昔、私の目の前にいる担当患者さんは、家族に向けて遺書を書いている。 そんな大切な時に、「リハビリを一緒にしよう」と病室にきてしまった。 余命1ヶ月のこの人は、看護師さんから借りたバインダーに真っ白なコピー用紙を挟んで何と書こうとしていたのだろう。 確か子供はまだ私と同じくらいの年齢だったな。 「失敗した・・・もう少し時間をあけてくれば良かった」と思っていたその時、この人は「お、来たか。やるか。」と

「本当に幸せだったのか」に気づくとき

亡くなる直前の患者さんが言っていたのを思い出した 「最期の最期で幸せな人生だったかどうかがようやくわかった」 「俺はどうやら幸せだったみたいだ」 「今になって色んなことを思い出すよ」 「若気のいたり、妻との出会い、子供たちの誕生と成長」 「こんなにたくさんの思い出があったんだな」 「◯◯くん(私のこと)、俺はもうすぐ逝くんだろ、なんとなく分かるよ」 「俺はどうやら幸せだったみたいだ。今まで逝くのが怖かったけど、 これでやっと逝ける気がするよ。幸せだったことに気づ

自分の幸せ軸は

私は30代男性 1児の新米パパだ 仕事もおもいっきりしたいからどんだけ働いても苦痛はあまりない でもそれをすると子供との時間がなくなる 優先順位などはつけられない どちらも大切 この大切なものを載せた天秤の上で右往左往する私の「幸せ軸」 そんな時、1冊の本に書かれていた言葉が印象に残った 三浦崇宏さんの「言語化力」だ ​ この本では文字通り言葉が持つ力について書かれてある本だが、結構おもしろい この本の中で幸せについて考える章の中の言葉が妙にささった 自

だから私は病院で賢明に働く

私が病院で働く理由 死は誰もが最も怖いものだと思っていた 死よりも怖いものがあるのか 誰かが誰かを傷つけ、殺し 自分で自分の命を終わらせる 人はこんなことをするために 命をつないできたんじゃない このような悲しみ、苦しみの連鎖を続けさせない 明日を臨む人たちの力になりたい だから私は今日も病院で賢明に働く 思いも寄らない人生の大転換となる 突然の事故や病気 日々の当たり前が瞬時にして崩れる瞬間 生きていた時間は決して当たり前に存在しているものではなかったと 気づ

みんな、いつからそんな風になった

いつからみんな、そんな風になった 今この時も私が勤務する病院では、病気と真剣に闘っている患者さんがたくさんいます。 産まれつき心臓の病気を抱えた0歳の子供 30歳代、仕事も子育てもこれからという時に、がん発病 一生治らない難病と診断された40歳代の働き盛り 例をあげればきりがないくらい、たくさんの人が今も自分の命や人生、そして家族とのことについて真剣に向き合っています。 ちょっとした嫉妬心や恨み、妬みなどが原因で殺人事件が起こっています。家族内で、無差別で。 自

競泳/池江璃花子選手から力をもらっている患者さんたちがいる

今日、私は競泳の池江璃花子選手から生きる力をもらっているがんの患者さんと出会いました。 池江選手と同じがんの病気で闘っている患者さんです。 おい、池江選手の泳ぎ見たぞ先日、池江選手が練習を再会している様子がニュースなどの情報番組で放送されました。 無事に治療を終え、プールで練習をする姿に誰もが感動したと思います。 かくいう私も嬉しかったです。 番組の中で池江選手は「得意のバタフライや自由形の泳ぎを確認するなど、およそ2時間をかけて3000メートル余りを泳いだこと」「東