自力(音楽瞑想)

みなさま、こんにちは

今朝の「音楽の絵本(80)」(音楽瞑想会)ありがとうございました。
今回は「自力」というエッセイを演奏とともにお送りいたしました。

アーカイブは以下でご覧いただけます。
https://youtu.be/6EqsruqZWYM

KABUTO 音楽の絵本
Story-80 自力

「目を閉じます。今朝は「自力」をテーマにお話したいと思います。
こんな話を聞いたことがあります。ある男性が家も財産もなくして無一文になった。本人は「なぜこんなことになってしまったんだろう、これからどうして良いのかわからない。」と嘆いていたそうです。
その助言がとても興味深いものでした。「その家も財産もきっとあなたご自分で築いたものではないですよね。だから嘆き苦しんでいるのだと思います。もしご自分で築いたものを失ったのであれば、家も財産も築く方法を知っているわけですから、また1から出発でき、嘆くこともないと思います。」
とても的を射た助言に思えましたし、そのとおりとも思いました。

このお話を聞いて老子の言葉を思い出しました。その言葉は和訳すれば「目の前にお金がなくて飢えている人がいるときに、魚をあげるか、または魚の釣り方を教えてあげるか」という内容です。
これは、その飢えている人に魚をあげたら、魚を食べるその瞬間はお腹を満たすことができるけれど食べたら終わりです。もし、釣り方を教えてあげたらその人は一生食べていける。」ということを言っています。

自らの力で何かをつくり上げたら、その体験・経験は一生忘れることはありません。若いときに10以上のアルバイトを経験したという人の話を聞いたことがあります。「居酒屋」「運送会社」「家庭教師」「郵便配達」「チラシのポスティング」など、それぞれのアルバイトの良さと大変さを教えてくれました。

ぼくも若いときにいくつかのアルバイトをしましたが、お金を得ることができると、自分の力で稼いだ喜びが沸いてきます。
そして「なぜ自分にお金が入ってくるのだろう。つまり給料がもらえるのだろう」と考えてみると、自分の行ったことが誰かに喜ばれているということに気づきます。だれかがそれを買いたいと思ったから会社やお店にお金が入り、巡り巡って自分にお金が入ってくる。

「自分の夢とか、何をしたいか」ということもありますが、そのような自分の力、自力で築いた体験は一生、自分を助けてくれます。
自分にはこれだけの経験、ノウハウがあると思えたら、かりに何かを失い、1からの出発になったとしても、すでに1からではないように思えます。

冒頭の、家も財産も失ったという男性も、何かしら仕事をした経験があると思います。その経験した職種からアルバイトを探しても良いですし、まったく経験のない、しかし興味のあることから仕事を選んでも良いと思います。

最初は大きな財産があったときのような生活はできないと思いますが、少ないお金のときは少ないなりに使い方を考えるものです。
仕事をしながら心を研ぎ澄ませていると、ヒントがたくさん浮かんできます。「この商品、こんなふうにしたらもっとお客様に喜ばれるのに」
「この業界、こんな機械を開発したら、格段に伸びるのに」
そんなアイデアが生まれてきたら、その会社に提案するのも良いですが、そのアイデアを活かして自ら起業するという選択肢も見えてきます。

「運命」という言葉は「命を運ぶ」と書きますが、人生という時間、私たちは命を運んでいます。その瞬間、瞬間に自分の力で何ができるのか、その無限をいくらでも考えてみることができます。

心が今とても穏やかです。安心と幸せの中にいます。

自分の力を「自力」と言います。そのもう一方で「他力」という言葉があります。これは仏教用語で「阿弥陀仏の力」「一切の衆生を救う力」と言われています。
「大宇宙の力」と解釈することもでき、自分という個の力ではなく、大自然があり大宇宙があり、その力に守られているというふうに思うこともできます。

もっと掘り下げてみましょう。
「自力という個の力は、本当に自分の力なのでしょうか。」
この身体、60兆の細胞を作ったのは自分ではないけれど、この「身体」で何かを成し遂げようとする、この心に自然と沸き出ずる「思い」も自分のものと思っていますが、この心を作ったのも自分ではありません。
そう考えていくと「自力」と思っていたものは実は自分の力ではなくて「他力」とも思えてきます。「自力=他力」と思えたら、すべてがひとつという思いに満たされていきます。ひとときそのような思いで過ごしたいと思います。

ゆっくりと、もともとのあなた自身を感じていきます。
目を閉じたまま、だんだんとご自身に戻っていきます。
自分自身を感じていきます。全身を左右に少し動かしてみてください。
手の平を広げてください。

「自力と他力が同じ、自分の力などなくてすべてが宇宙の力と思えたらもっと誰かに喜んでもらいたい。そんな力が自ら湧いてくる。」その幸せを感じています。ご自身がかけがえのない存在であることを思い、安心と幸せに包まれていることを感じます。

ゆっくりと目を開けてください。
ありがとうございました。
今、素晴らしいエネルギーに包まれ、満たされています。
すべてがひとつということは、あなたはすべての命「ひとつひとつ」であるということです。
良い一日をお過ごしください。」

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