手紙(音楽瞑想)
みなさま、こんにちは
今朝の「音楽の絵本(81)」(音楽瞑想会)ありがとうございました。
今回は「手紙」というエッセイを演奏とともにお送りいたしました。
アーカイブは以下でご覧いただけます。
https://youtu.be/QT3CbjHBcF0
KABUTO 音楽の絵本
Story-81 手紙
「目を閉じます。今朝は「手紙」をテーマにお話したいと思います。
セラピーで行っている「両親への手紙」というものがあります。はがき大の用紙を使って、ワークをするのですが、それについてお話していきます。
「今、ご両親といっしょに暮らしている方、またご両親が天国にいらっしゃる方もいらっしゃると思います。そのご両親に手紙を書いていきたいと思います。内容は自由です。最近こんなことを始めた。これからこのことでがんばっていきたいと思っている。また、以前から少し大変に思っていることがあるんだ。前は苦しいと思っていたけれど、これからはこんなふうに考えていきたいと思っている。、、、ぜひ、出てくるままを書いてみてください。」
こんなふうに説明します。
「両親への手紙」は、自分を育ててくれた思い、また家族で旅をした思い出など、良きことが思い浮かび、感謝の思いに包まれていくことが多いのですが、中には両親とうまくいかずに、たとえば過去の辛い思いが今でも気になっているという方もいらっしゃいます。
数年前に東北でミュージックセラピーを行ったときに、17歳の若い青年が友人の誘いで受講してくださいました。
彼は「両親の手紙」をするとき、とても抵抗感があったそうです。今はお母さんとの関係はとても良いそうですが、小さい頃にお母さんから理不尽に叱られていた経験があって、振り返れば虐待のように感じていたそうです。
母親に手紙を書いていくうちに、小さい頃の辛い思いが蘇ってきて、鉛筆を持つ手も震えてきて、殴り書きのようにその苦しかった気持ちをぶつけて書いていきました。
このワークでは両親への手紙を書き終わったのち、音楽で瞑想をしながら宇宙の旅へと出ます。振り返って遠くある地球を見たり、周りの星々を眺めながらゆったりとひとときを過ごします。
しばらく過ごしたあと、大宇宙の中で、自分が、自分の両親になります。そして自分の子ども、もとの自分から来た手紙を読みます。
読み終わったら、自分の両親になったまま、もう1枚のはがき大の用紙に自分の子ども、もとの自分に向けて返事を書いていきます。
17歳の彼も彼の母親になって、自分の子ども、もとの自分から来た手紙を読みました。そして母親になったまま、もとの自分に返事を書き始めました。
書く内容は最初、自分の子ども、もとの自分に「ごめんなさい」という謝罪の言葉ばかりを書いていたそうです。書いていくうちに彼は気づきます。これは小さい頃のことを母親に謝って欲しい、「ごめんなさい」って言って欲しい、それを書いているだけだと。
「ごめんなさい」を書くのを止めてしばらくすると、母親の本当の気持ちが湧いてきたそうです。そこからは母親になって返事を書き始めました。
「あのころは生活するのも大変だった。朝から晩まで休む間もなく働いた。仕事のことで辛いことがあると、食事中もイライラして、それがエスカレートすると子どもにも当たってしまった。こんなんじゃいけないとずっと思いながらもそんな日々が続いた。」
返事を書き終わると、音楽で瞑想をしながら地球へと帰っていきます。そしてもとの自分に戻っています。自分の家の玄関を開けて、ポストを開けると両親から返事が来ています。
17歳の彼ももとの自分に戻り、母親からの返事を受け取りました。それを読み終わった彼はみんなの前でこんな感想を言ってくださいました。
「自分の方向からだけ母親を見ていて、なんでこんな仕打ちを受けなくてはいけないんだとずっと憎んでいました。しかし母親からの返事を読んだときに、母親は毎日夜遅くまでくたくたになるまで働いて自分を育ててくれた。今の自分があるのは母親のおかげ。とても大きな感謝が湧いてきました。」
彼の思いとお母さんの思いが1つに重なったように思えました。
心が今とても穏やかです。安心と幸せの中にいます。
ミュージックセラピーで「両親の手紙」を始めたのが2003年ですから、これまで全国で多くの方にこの「手紙」を体験していただいています。
これまで不思議に思うことがあります。両親へ手紙を書いたのち、宇宙に行って、自分の両親になって、もとの自分に返事を書いていきますが、どこまで行っても自分は自分であり両親ではありません。あくまでも両親はこう思うだろうという想像でしか本来書けないはずです。
しかし、みなさんのシェアを聞いていると、どう考えても両親が書いたとしか思えない内容を目の当たりにします。
今回ご紹介した17歳の青年も最初、母親になって書き始めても「母親に謝って欲しい」という本人の願望を書いていました。しかしあるところから母親が乗り移ったかと思うぐらい、母親のリアルを書き始めました。それを彼自身が発見したことによって、彼自身大きく変わっていきました。
彼が「母親にこの手紙を全部見せたい」と言って、セミナー会場をあとにするとき、彼の顔は、どこか優しい目をしていました。
すべてがひとつの命につながっている。ひとときそのような思いで過ごしたいと思います。
ゆっくりと、もともとのあなた自身を感じていきます。
目を閉じたまま、だんだんとご自身に戻っていきます。
自分自身を感じていきます。全身を左右に少し動かしてみてください。
手の平を広げてください。
「もともと1つだから、何があっても意識は1つにつながっている。」その幸せを感じています。ご自身がかけがえのない存在であることを思い、安心と幸せに包まれていることを感じます。
ゆっくりと目を開けてください。
ありがとうございました。
今、素晴らしいエネルギーに包まれ、満たされています。
すべてがひとつということは、あなたはすべての命「ひとつひとつ」であるということです。
良い一日をお過ごしください。」