猫の世界 #3
我が家には猫が3匹いる。
メインクーンのオスのここ 11才
クリーム色と白の毛並みがキレイ
な猫。
保護猫の茶トラのメスのもも 6才
6歳なのに2.6キロの小型猫。
メインクーンのメスのりん 4才
シルバーと白の毛のもふもふ猫。
ここ はとても賢く人間のようだ
といつも感じる。餌を他の猫たち
に分け与えたり2匹が喧嘩をして
いると様子を見にぶっ飛んで行っ
て何をすることなくその光景を
見守る。
私に怒られた息子がいじけて二階
の部屋でシクシク泣いていると
その傍には必ずここが寄り添って
いた。
ももは実家の納屋でミャーミャー
と鳴いている声を聞きつけた子供
たちが救出して家で飼うことに
なった茶トラ猫。
臆病でチャイムがなると
唸りながら台所の階段下の収納庫
に身を隠す。
りんは好奇心旺盛で面白い。
笑わせようと企んでいる訳では
無いはずだがりんの行動はお笑い
で満ちている。
ただ歩いているだけで何故か面白い...。
なぜなんだろう...。
箱の中に入ったり袋の中に入ったり
洗面所下の収納の扉から出てきたり
ピコタンピコタンと走ったり
カクカクしながら歩いたり
テーブルに上がりきれずに落ちたり
ジャンプするまでに10秒かかったり
歩いているだけなのにコケたり...
とにかく面白いのがりんなのだ。
そんな3匹に事件が起きる。
何者かがトイレ以外でウ○チをする
ようになってしまったのである。
二階の部屋の机の下にあった敷物に
6回ほどのウ○チが産み落とされ
ていた...
そんなにしていたのに気が付かない
人間たちもどうしたものか...。
鼻と神経を疑う。
3匹いるから誰の仕業なのか
分からない。
敷物の上のウ○チを掃除して家族に
ウ○チ事件を知らせる。
家族は今までにない事件の内容に
度肝を抜き次は自分の部屋が
危ないと思ったことだろう。
それからというもの私は1匹ずつ
トイレに行くたびについて行った。
まずはここ キチンとトイレで
している...。
次はりん。ん?ん?ん? ...怪しい。
というか私はりんが犯人だと
確信した。
好奇心旺盛で面白いこと大好きの
りんがまた面白いことをしでかして
しまったのだと思った。
家族に犯人はりんだと報告。
犯人を見つけた私はドヤ顔でみんな
に伝えた。
「りん...。キチンとトイレがあるん
だから違うところでしないでね」
と私が伝えるとりんはじーっと私を
見ている。
「そうか!そうか!わかったのだね。
偉い偉い」と頭を撫でて一件落着した。
はずが...次の日もウ○チがトイレ以外に
産み落とされていた。
次の被害者は次男。次男の部屋の
絨毯の上。
おりゃ〜!私はりんに駆け寄ると
ガシッと抱き上げて次男の部屋へ
直行した。
「りん...。ここはトイレじゃないよ。
トイレはここじゃー!」とウ○チと
りんを本物のトイレに連れていき
教えた。
こことももはじーっとその光景を
見ている。
私はその後もトイレを忘れかけて
いるりんに辛抱強くトイレの場所を
教え続けた。
するとある日りんがトイレに向かって
カクカク歩いていく。
私が忍び足でついて行くとりんは
私がいることを確認するかのように
トイレに入ると私の目の前でウ○チ
をしてみせた。
私は「おー!りん偉いね。出来たね~」
と涙が出るほど嬉しかった。
よしよし!これにて一件落着だと思い
その日は寝たが次の日またトイレ以外に
ウ○チが産み落とされていた。
次の犯行現場は人間のトイレの隅っこ。
おりゃ〜!私はりんに駆け寄ると
ガシッと抱き上げてトイレの端っこ
へ直行した。
「りん...。ここはトイレじゃないよ。
トイレはトイレでも人間のトイレだよ。」
ウ○チとりんを本物のトイレに連れて
いき教えた。
こことももは並んでじーっとその光景
を見ている。
そんなことが続いてほとほと疲れて
早々と寝た夜、子供たちが私を
起こしに来た。
時間を見ると夜中の2時過ぎだった。
眠い目をこすりながら「どうしたの?」
という私に 次男が
「犯人はりんじゃない!」
と言い出した。
私は一瞬にしてバッチリ目覚めた。
「え?なんで?だれ?ウ○チの犯人だれ?」
と聞くと次男が
「俺はさっきトイレに行ってすぐに戻ってきた...。その時からりんは俺の横でずっと寝てたんだ...。でももう1回トイレに行きたくなって行ったらウ○チがあったんだよ。...ということはウ○チをしたのはりんじゃないってことでしょ?だから本当の犯人はももだ!」
次男は探偵並みの推理を繰り広げた。
それは同時に私の決めつけが暴かれた
瞬間だった。
その会話をしている所へここともも
が来た。
私は会話出来るはずもないここに
向かって必死に質問した。
「ここ本当に?りんじゃないの?
ももなの?」
必死だった。真実を知りたい!
ここならわかっているはずと
心の底から思っていた。
するとここは 声にならない声を
絞り出すかのようにパク パク パク
と口を大きく3回開け閉めした。
そのすぐ後にここは横にいたもも
の頭を猫パンチした。
ここは真実を必死に伝えるために
やったことも無い荒業に挑戦した
のだと思った。
私には聞こえた。
「そうだよ!ももだよ!りんじゃない!」
というここの声。
動物は話せないだけで人間と同じ
感覚や感情を持っている。
分かっていたけど更にその真実を
知ることになった事件だった。
私はりんの前に膝まづき深々と
頭を下げて何度も何度も謝った。
証拠もないのに決めつける我が心の
恐ろしさ。
その後トイレでウ○チをしないもも
との戦いは2ヶ月程続いたが今では
観念したようでめんどくさそうに
猫のトイレでウ○チを産み落としている。
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