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第3章② 陽イオン交換容量(CEC)、リン酸吸収係数、腐植

このnoteでは、土壌医検定の問いのテーマから内容整理や関連する内容をアウトプットしていきますのでご参考にしていただければと思います。

<注意点>
問題の選択肢や解答は掲載しません。
また、内容につきましても個人的なまとめのため、保証はできかねますので、ご了承ください。

今回の対象
第3章 作物生育と化学性診断

化学性診断の続きです。
第3章②以降は、土壌診断項目の見方と作物育成についてまとめます。
主な土壌診断項目は以下です。

  • 土壌の特性把握

    • 陽イオン交換量(CEC)・・・保肥力

    • リン酸吸収係数    ・・・リン酸が土壌で固定される割合

    • 腐植         ・・・土壌中の有機物の蓄積を表す

  • 土壌の酸性・アルカリ性

    • pH ・・・7.0が中性、7.0未満は賛成、7.0を超える場合はアルカリ性

  • 土壌の塩類濃度

    • EC(電気伝導度) ・・・塩類濃度、根の濃度障害の目安となる指標

  • 土壌養分の過不足

    • 窒素、有効リン酸、硫黄、塩基類、微量要素

  • 塩基飽和度と塩基バランス

    • 延期飽和度、石灰飽和度、苦土飽和度、加里飽和度

    • 苦土/加里比、石灰/苦土比


さて、今回は土壌の特性把握陽イオン交換容量(CEC)、リン酸吸収係数、腐植に関してです。

問5
作物のリン酸吸収に関する記述の中で、正しいものはどれか。次の中から一つ選びなさい。
問6
陽イオン交換容量(CEC)が一般に大きい土壌はどれか。次の中から一つ選びなさい。
問7
腐植に関する記述の中で、正しいものはどれか。次の中から一つ選びなさい。

新版 土壌医検定試験既出問題集より

問いの選択肢は記載していませんが、以下を理解すれば問題は解けます。


(1)陽イオン交換量(CEC)

土壌では粘土鉱物と腐植(有機物の分解産物)が結合して土壌コロイド(粘土腐植複合体)が形成されている。
この土壌コロイドは表面にマイナスの電荷をもっており、プラスの電荷をもつ陽イオンを吸着保持する。
土壌が陽イオンを保持できる最大量を陽イオン交換容量(CEC)という。

CECは土壌の種類、土性や腐植含有量によって異なり、これの大きい土壌は塩基類を保持する力が大きい。

CECの大きな土壌:黒ボク土
CECの小さな土壌:黄色土

CECの大きな土性:埴土、埴壌土
CECの小さな土壌:砂土

土壌・土性は第2章で出てきましたね。

CECの小さな土壌では、土壌養液中の塩基濃度が急激に変化するため、根傷みを起こしやすいです。
CECが大きいほど土壌に塩基類を吸着するため、土壌の緩衝能により急激な塩基濃度の変化を抑止されます。
この緩衝能は科学的緩衝能でした。
土壌緩衝能については、第1章、第2章①に出てきましたね。

だんだんつながってきました!

(2)リン酸吸収係数

追肥したリン酸の大部分は土壌中でアルミニウム、鉄、カルシウムなどのイオンと結びつく。(リン酸の固定)
⇒固定されたリン酸は難溶性リン酸と呼ばれ、多くの作物では吸収されない。コマツナ、茶などの特定の作物では吸収される。

リン酸イオンはマイナスなので土壌コロイド(マイナス)には吸着せず、陽イオン(アルミニウム、鉄、カルシウムなど)と結合してしまうということでしょうか。

土壌の種類によってリン酸の固定割合が大きく異なるようですが、黒ボク土は特にリン酸固定の割合が大きい。
黒ボク土と他の土壌を区別する指標としてリン酸吸収係数は重要な指標であり、1500以上の土壌を黒ボク土としている。

リン酸吸収係数・・・土壌100gが吸収固定するリン酸量をmgであらわしたもので数値が大きいほどリン酸固定力が高い

(3)腐植

腐植は、まだ明確な形が残る新鮮な動植物遺体(粗大有機物)を除いた無定形の褐色、黒色の有機物をいう。
土壌中の有機物の蓄積量で腐植含有量「%」で表す。無機態窒素(自力窒素)の量を推定する目安にもなる。

腐植の役割は以下
①土壌用の陽イオン交換容量(CEC)の拡大による保肥力の増大
②作物に供給する養分の貯蔵庫
③土壌団粒の形成

まとめ

問5
作物のリン酸吸収に関する記述の中で、正しいものはどれか。次の中から一つ選びなさい。

以下を抑えれば回答できそうです。
→どのような土壌がリン酸が固定が多いか?
→どのような元素とリン酸は結びつくのか?
→どのような状態のリン酸が作物にとって吸収しやすいのか?


問6
陽イオン交換容量(CEC)が一般に大きい土壌はどれか。次の中から一つ選びなさい。

以下を抑えれば回答できそうです。
→CECの大きな土壌は?

ついでにCECが大きな土性も覚えておけば良いですね。

問7
腐植に関する記述の中で、正しいものはどれか。次の中から一つ選びなさい。

以下を抑えれば回答できそうです。
→腐植の定義
→腐植の役割
→腐植の保肥力は粘土鉱物より大きいのか小さいのか


最後までお読みいただきありがとうございました。
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