新譜「Lost + Found」のタイトルに込めた意味
2023年10月29日、1年ぶりの新譜をリリースします。タイトルは「Lost + Found」。「ロスト・アンド・ファウンド」と読みます。直訳すると「失くしたものと見つかったもの」。他に「遺失物保管所」という意味もあるみたいです。
曲名やアルバム・タイトルは作品の顔なので、わりと熟考することが多い一方で、直感ですぐに決まることもあります。今回は直感で決めました。こういう感覚的な部分は創作において結構大事だと思ってます。今回、note初投稿の記事として、このタイトルに込めた意味について少し書いてみようと思います。
僕が曲作りを始めたのは学生時代です。友人とバンドを始めたのをきっかけに、ギターと作曲と宅録を同時に始めました。それまでは純粋にリスナーとして音楽を楽しむだけだった自分が、初めて演奏する側、作る側になったのです。
楽器の演奏や曲作りに関しては全くの初心者でしたが、今思い返せば音楽をやるのに特別な才能は全く必要ないんじゃないかと思います。これから作曲やボカロP活動始めようかなと思ってる皆さん、これは絶対です。ただひとつ言えるのは、ヘビーな音楽リスナーであること、これは間違いなく有利なので、結局沢山音楽を聴くのがいいと思います。僕はそうでした。
バンド時代はメロディック・パンクやエモのようなサウンドの音楽をやっていました。ものすごくわかりやすく例えると、ハイスタやエルレみたいなサウンドです(実際にはもっと多様な音楽から影響を受けたサウンドでしたが)。
数年間活動した後、バンドを辞めてからは、今やっているような個人でのDTM活動にシフトしましたが、このとき音楽制作のスタイルに少し変化が起きます。バンドではシンプルにギター、ベース、ドラムのスリーピース編成だったのが、DTMだとなんでもありのノーリミットになったのです。
そうなるともう一気に色んなことを試したくなるわけです。今まで作ったこともないし、作ろうとすらしたことない音楽が、自分にも作れるんじゃないか。もしかすると可能性や音楽性はいくらでも広がるんじゃないか。そんなふうにワクワクしながら、あえてそれまでやってきたものとは違う方向性のアレンジを試していきました。また同時にネットで自作曲を投稿する活動も始めて、ここでもやっぱりあれこれ試しながら曲作りを続けてきました。
そうやって今に至るまで音楽活動を続けてきたのですが、最近思うようになりました。自分が作りたい音楽って何だっけ?なんかDTM始めて可能性が広がったのはいいけど、「色々試しては自分に何ができるのかを確認する」という作業を繰り返していないかと。繰り返しているうちに、いつのまにか可能性を探ること自体が目的になってしまって、結局自分が音楽で何を表現したいか、という一番大事なものを忘れかけてないかと。
これが僕が失ったもの。
ただ、こういう模索や試行錯誤は決して無駄ではなくて、音楽的な表現の幅を広げたり、技術や手法を得るという部分ではとても意味があることだったと思います。この工程にずいぶん時間をかけてしまった気もするけど、これらは確実に今後目指す音楽制作に役立つものだし、もちろんこの過程で自分なりに手応えを感じる曲も作ることができました。間違いなく。
これが僕が見つけたもの。
こうして、「失ったもの」と「見つけたもの」を繋ぎ合わせて完成させたのが今回の新譜です。そういった意味を「Lost + Found」というタイトルに込めました。単なる原点回帰ではなく、進化した形を届けられたらと思うので、ぜひこれまでの作品と比べて楽しんでもらえると嬉しいです。
そんなわけで、これからの活動は、改めて自分の表現したい音楽を追求し、これまで最も影響を受けたであろうエモ、パンク、インディー・ロック、ポスト・ロックの色が強めのサウンドになっていくかもしれません。あるいは、最終的にアウトプットされる音は、意外とこれまでとそんなに変わらないかもしれません。ただ内面的な心境に変化があったことは確かなので、それが今後どう表現されるか楽しみにしていて下さい。自分でもどうなるのか楽しんで創作を続けていきたいと思います。
最後に「Lost + Found」の特設サイトやティザー動画のリンクなどを貼っておきます。もしまだの方はぜひチェックしてもらえると嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございます。