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詩人には旅が足りない 0.89
ボク達は地下に住んでいます。ここは、一昔前には色んな舞台になったエコダという街の地下にある、〝ダンジョン〟です。
僕達人間は、人間相手の武装にかまけて、より強い相手への備えがなかった。
ある日その強い相手がやって来て、世界中の主だった都市は全滅した。
連合国クラブがスイスだかから、リアルタイム配信で「この未知の敵をドラゴンと命名する、尚、話し合いの可能性‥ザザザー」‥沈黙。
あっという間に、人間同士の奪い合いが始まった。
シャベル、傘、何もかもが人殺しの武器になっ
るひまもなく、他称ドラゴンが空から撒き散らす毒の炎に削られていく。地下に皆逃げる。あっという間に満員。空気も水も何もかも足りない。こんな狭い場所で、土地の取合い、殺し合いが始まる。
助け合おうと呼び掛ける人から餌食になっていく。
まだ子供の僕は祖父と祖母にきいた。父母がもう居なかったから。
「信用すると、取られる」
「腕力ではなく暴力や権力を持っていろ。使う時には恨まれる」
「皆んなが走って行くのと逆に行きな」
「早くしないと、何もかも無くしてしまうよ」