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創業者インタビュー:ナナメウエ社 石濱嵩博

200回以上のアプリ開発から生まれた500万ユーザーのヒット

2013年に設立されたナナメウエは、500万人以上のユーザーを抱える日本最大の匿名SNSアプリ「Yay!」を運営しています。2021年に、Headline Asia、Infinity Ventures Crypto(IVC)、アカツキ、FFG、DG Daiwa、その他著名ベンチャーキャピタルから16億円の資金調達を実行しました。 最近の躍進と成功とは裏腹に、ナナメウエの創業者である石濱さんは、長い道のりを歩んできました。学生時代からの歩みと、今後のビジョンに迫ります。

学生時代に熱中したことは何ですか?

ずばり、英語の勉強です。
実は点数が足りず、第一希望の大学に入れませんでした。数学やその他科目はそれなりに得意でしたが、英語の点数が足りなかったんです。それがすごく悔しくて、英語の勉強に過度に執着するようになりました。
ESS(English Speaking Society)という、大学対抗の英語ディベート大会に出場することを目的とした英語ディベートサークルに入り、多くの時間を費やしました。その大会では、全国のファイナリストに残るほどの好成績を収めました。
その後、さらなる英語力の向上を目指して、2012年から1年間、交換留学生としてサンフランシスコに渡りました。シリコンバレーやスタートアップについて何も知らないまま、サンフランシスコに行ってみたら、「スタートアップはかっこいい」という文化や価値観に触れ、AirbnbやDropbox、Githubが飛躍的に成長している様子を肌で感じることができました。

情熱を英語学習からスタートアップに傾けるようになってから、どういうことをしましたか?

ナナメウエを設立し、200以上のアプリを開発しました。
順を追ってお話します。まだアメリカにいた頃、Concept Art Houseで、日本のゲーム会社のゲームキャラクターをアメリカンスタイルのものにリデザインする仕事をし、そこでスタートアップっぽい経験を積みました。その後、友人に教えてもらったり、独学などでプログラミングを学んだりして、遊び感覚でいくつかのモバイルアプリを開発しました。
大学4年生のときにナナメウエを立ち上げ、請負でクライアントのモバイルアプリを開発しつつ、自社ブランドのアプリも開発するようになりました。カジュアルゲームなど、あらゆるアプリを開発するのがとても楽しかったです。毎日午前3時まで夜更かしして、200本以上のモバイルアプリをローンチしました。 ある時からソーシャルメディアアプリの開発だけに集中することにしました。ソーシャルメディアのアプリは、結局機能面では、全部同じような機能を持っていると思います。うまくいくかどうかは、単純に、ターゲットしているコミュニティに刺さるかどうかだけです。そのような考えのもと、ゲーマー、ママ友、若いギャルなど、さまざまなバーティカルコミュニティに特化したアプリを作りました。

Yayも、当時開発した200個のアプリのうちの一つですか?Yay以外のアプリはどうなりましたか?

Yayの前身である「ひま部」はその200のアプリのうちの一つでした。
ひま部が狙ったバーティカルは「学生」でした。いいところを突いていたのが、リリースしてすぐわかりました。他のアプリでは1,000ユーザーに到達するのに6ヶ月かかったのですが、ひま部はマーケティングもメディアによる紹介も一切ない中で、リリースから数日で1,000ユーザーを達成しました。あっという間に日本中の高校生がこのアプリを知るようになり、一時は800万人のユーザーを獲得しました。
一方で、何度も失敗もしましたし、多くのことを学びました。例えば、当時のVine(今でいうTikTok)と似たようなアプリをローンチしていて、とても自信があったのですが、結果的には大きくこけました。ただ、そこそこうまくいっているものもあり、そういったアプリのユーザーを徐々にメインアプリであるYayに誘導しています。
このような経験から2つのことを学びました。まず、App StoreとASO(アプリのSEO)の仕組みを理解し始めたことです。次に、最も難しいのは最初のユーザーを獲得することではなく、最初のユーザーが集まってきてから、健全なコミュニティを維持することだと知りました。そのためには、ソーシャルメディア上のコンテンツをリアルタイムでモデレーションする必要があります。

ひま部をYayにリブランディングした理由はなぜですか??

Facebookが元々大学生だけを対象にしていて、その後一般の方にも開放したように、私たちも学生以外の一般の人たちに、このコミュニティに参加できるようにしました。ただ「ひま部」という名前は、部活や学生を連想させますし、以前からマーケティングで「学生限定」というコンセプトを強調しすぎていたこともあり、リブランディングに踏み切ったのです。

ネット上では間違った情報や噂があるようですが、それはリブランディングした時にしっかりとプレスリリースや外部とのコミュニケーションをうまくできていなかった、私たちの責任です。

Yayは素晴らしいサービスで、素晴らしいチームによって運営されていると思います。チームメンバーの大半が外国人だと思いますが、何か特別な理由はありますか?

元々のきっかけは、他の選択肢がなかったから。でも今は、私たちのビジョンに合っているからです。
設立当初は、エンジニアを募集していましたが、ほとんど応募がありませんでした。そこで、海外の求人サイトに求人を掲載するようになりました。すると、本当は日本で働きたいけれども、移住の手続きなどができるかどうか心配というエンジニアがたくさんいることがわかりました。そこで、ビザの申請から住居の確保、携帯電話の手配など、あらゆる面でサポートしました。多分当時日本のベンチャーでこれをやっていたのは、ナナメウエだけでした。このような経緯があって、今日本にいる社員のうち、7割が外国人の方です。
また、前述の通り、コンテンツをモニタリングすることはソーシャルメディアにとって非常に重要だと気づきましたが、そのための人手が足りませんでした。そこでアウトソーシングを検討し、日本最大手の投稿監視会社に見積もりを依頼してみたら、1ヶ月に請求される料金は、当時私たちの銀行口座にある全財産に匹敵する金額でした。他の選択肢がなかったため、 タイにオフィスを借りて拠点を作り、投稿監視をスタートさせました。その後トラフィックの増加とともに人員の増加、オフィスの拡大移転、AI化等を進めました。現在、タイのオフィスには約70人の社員がいます。
当初のきっかけはそうでしたが、これだけ国際的なチームができたことを誇りに思います。次のビジョンとして、グローバル展開やWeb3.0への移行を掲げていますが、多様なバックグラウンドを持つメンバーからは、日本人のみのチームでは得られないようなさまざまな情報やアイデアを得ることができています。

すごくユニークで興味深いストーリーでした。今後の展開について教えてください。

Web3.0に移行することです。
新しいことをやっているように聞こえますが、昔からの使命と信念は変わっていません。私たちは、インターネットの民主化を目指してきました。これまでYayが実現してきたのは、ソーシャルメディアに投稿するという行動の民主化です。FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアは、ユーザーが「いいね!」を競う傾向にあるため、実質的には人気者やインフルエンサーにしかソーシャルメディア上で投稿を行い、エンゲージメントを得ることができません。Yayは、誰でも自分の思いや出来事を共有できる安全なデジタル空間となっています。Yayこそ、メタバースの本命だと思います。
これからWeb3.0では、ソーシャルメディアはさらに民主化されると思います。以前は、ソーシャルメディア・プラットフォームが広告収入などの利益を得ていました。そのような利益に貢献したのは、プラットフォーム上でンテンツを生成したユーザーであったにもかかわらず、です。Yayは、ソーシャルコミュニティの構築に貢献したユーザーに報酬を与える、次世代のソーシャルメディアになりうると信じています。



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