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小考察:呪殺者について

今回は、しろがね村にいるNPCであるアルバス老の発言の中に登場した「呪殺者ども」について考察する。

【呪殺者たちの目的】

まず、呪殺者について述べているアルバス老の台詞を引用する。

儂はアルバス。見ての通り、しろがね人じゃ
…だが儂らは、この村は、もう終わりじゃ
忌まわしい呪殺者どもが、すべて壊してしまった。もう、まともな者など、誰もおらん
…あんた、お願いだ。この割符を持っていってくれんか
呪殺者どもに、奪われるわけにはいかんのじゃ

「台詞:アルバス老」より

上述した台詞から、呪殺者たちが割符を欲していることが分かる。
そして、この割符はミケラの聖樹の地へ至るために使用される物である。

聖樹の描かれた割符のメダル
その右側の半分

2つの割符を合わせ、掲げることで
ロルドの大昇降機を起動し
隠された秘路へと至ることができる

すなわち、これは秘割符であり
ミケラの聖樹の地への導きである

「聖樹の秘割符(右)」より

また、呪殺者たちにしろがね村を襲撃するよう指示していたのはギデオン=オーフニールである。
それは、しろがね村におけるイベント後、彼の義娘であるネフェリから聞くことが出来る台詞から明らかである。

…そして私はもう、義父を信じきれずにいるのだ…
あの者たちが、義父の命であの惨劇を起こしたのなら
彼の正義はどこにある?
義父は言っていた。彼がエルデの王になれば
もう二度と、弱き者が奪われぬ治世を敷くと
あの言葉は偽りだったのか?

「戦士、ネフェリ・ルー」より

そして、ギデオンはミケラに対して大きな関心を持っており、その居場所や正確な情報を突き止めようと躍起になっていた。
そのことは、彼自身の台詞からも分かる。

…ほう、2つの秘割符、どちらも手に入れたか
助言した甲斐があったというものだが…、やはり君は優秀だ
エンシャなどよりも、余程にな…
ともあれ、ようやく秘割符が揃ったのだ
君も識りたいのだろう?その示す先に、何があるのか
ああ、私もそうだ。楽しみしているよ

…おお、そうか!やはりミケラは、血の君主の元にいたか!
君、それは素晴らしい情報だ
円卓が、いや私が識るべきすべての、最後のひとつ
その手掛かりが、ようやく明らかになったのだからな
…約束通り、君に提供しよう
私だけが識る、秘術。その最たるものをな

「百智卿、ギデオン=オーフニール」より

したがって、ギデオンはミケラの正確な居場所・情報を知ろうとしたが、そのためにはどうしてもミケラの聖樹に至るための秘割符が必要であることが分かり、それを奪うために呪殺者たちを派遣したのだと考えられる。


【呪殺者たちの素性】

しろがね村に出現するエネミーは、元々の住人であったと思われるしろがね人を除けば、堕落調香師忌み潰し(そして忌み潰しの周辺にいる犬)しか存在しない。
従って、堕落調香師と忌み潰しの両名が呪殺者であると考えられる。

この推測を補強する証拠として、忌み潰しの起源は調香師に由来していることが挙げられる。

霊魂の宿った遺灰
忌み潰しのロロの霊体を召喚する

忌み潰しの祖として知られる、ロロの霊体
かつて、高名な調香師であったロロは
忌み潰しの、悪夢のような任に尽くすため
香薬を飲み、自らの心を壊したという

「忌み潰しのロロ」より

そして、当然のことながら堕落調香師も(忌み潰しと同様に)調香師に関係した人々である。

堕落した調香師たちの帽子

香粉を自ら飲み、身体と神経に作用させる
調香師における堕落とは、そうした異端の一派であり
ゆっくりと、自らを壊す者たちの呼び名である

「堕落調香師の帽子」より

忌み潰しと堕落調香師が同じく調香師に起源を持つ存在であることから、両者が同じ場所に配置されていることがただの偶然とは考え難い。

また、私が上述したテキストの中で着目したのは、忌み潰しが「香薬を飲み、自らの心を壊した」一方で、堕落調香師が「香粉を自ら飲み、身体と神経に作用させる」ことで「ゆっくりと、自らを壊す者たち」であるという点だ。

同じく調香師に由来し、同じく調香によって生み出した薬品を服用し、そして同じく自らを破壊している……これはあくまでも私見だが、両者の行為は同一の物であるように思える。

堕落調香師たちが、自ら調香した香粉によって自らの身体と神経をゆっくりと壊していき……
そして致命的に心が壊れたその時、忌み笑いの面を被る……

この推測が正しいとすれば、忌み潰しが堕落調香師と行動を一緒にしていたのは、詰まるところ彼らが堕落調香師の成れの果てだったからなのではないだろうか。


……最も、堕落調香師であるカルマーンのテキストによれば「堕落調香師は自らのためだけに力を振るう」らしいので、忌み潰しの祖であるロロのように「悪夢のような任に尽くすため」「自らの心を壊した」りする在り方はそぐわないようにも思える。

そのため、忌み潰しと堕落調香師の間に何らかの関係があるのは(出現場所が重なっている点や、その共通した起源から)間違いないと思われるが、それを加味しても「忌み潰し=堕落調香師の末路」というのは未確定な考察であることを留意して頂きたい。


【忌み潰しが派遣された理由について】

「忌み潰しの大鉈」のテキストから、忌み潰しは虐殺者だとされている。
では、彼らは具体的には誰を殺しているのだろうか。

忌み子から斬り落とした曲り角
その刃にびっしりと並べた、異形の大鉈
忌み潰したちが振るう虐殺の得物

醜い角には、出血の効果があり
阿鼻叫喚を彩るだろう

「忌み潰しの大鉈」より

呪われて生まれた赤子の像

FPを消費して、追いすがる呪霊を放つ

忌み赤子は、その醜い角をすべて切られ
大抵はそのまま死んでしまう
これは、その供養の像である

どうか、私を恨み、呪わないでください

「忌み水子」より

忌み赤子は角を切られると大抵の場合死に至るらしく、したがって忌み子の角が欠けたり折れたりすることは、その忌み子に少なからぬダメージが与えられることを意味している。

翻って「忌み潰しの大鉈」のテキストを見るに、忌み潰したちの得物には忌み子から切り落とした角が大量に使用されている

これらの情報と、彼らの名称である「忌み潰し」を併せて考えると、忌み潰したちの虐殺は忌み子を主な対象として行われている可能性が非常に高い。

ただし、その場合は疑問が生まれる。
何故、ギデオンは忌み子の虐殺者をしろがね村に送ったのだろうか?

この疑問に対する回答は、以下のテキストから導き出される。

霊魂の宿った遺灰
調香師、トリシャの霊体を召喚する

トリシャは、かつて癒し手と呼ばれ
混種や忌み子、あらゆる穢れの治療を志した
そして、それが破れた後、彼らの死の付き添いとなった
その最期が、せめて苦痛なき安楽であるように

それは、死衾のはじまりにも似ている

「調香師、トリシャ」より

どろりと固まった、しろがね人たちの血液
アイテム製作に用いる素材のひとつ

しろがね人とは、人に創造された生命である
それ故に、彼らは黄金樹に祝福されぬ
穢れた命であると考える人々がいる

「しろがねの凝血」より

まず「調香師、トリシャ」のテキストからは、混種と忌み子が「穢れ」という概念に包摂されていることが分かる。

このテキストで語られる「穢れ」に対するトリシャの認識が、狭間の地における調香師一般の認識と同じだとすれば、堕落調香師や忌み潰しも忌み子を「穢れ」として捉えていることが推察できる。

そして「しろがねの凝血」のテキストからは、しろがね人を穢れた命だと考えている人々が存在することが語られている。

以上のような推測とテキスト的事実から察するに、忌み子としろがね人という、同じく「穢れ」に類する存在に対するエキスパートだと見込まれたことが、忌み潰したちがしろがね村に派遣された理由なのではないだろうか。


【補記:呪殺者の由来について】

記事冒頭に記したように、アルバス老は忌み潰しや堕落調香師たちを「呪殺者ども」と形容している。
しかし、この単語はどういう意味なのだろうか。

…王の座を、呪いで穢すなど…
…耐えがたい恥よ…
…許さんぞ、お前だけは…

「忌み王、モーゴット」より

異様に変色した歪み刃の剣
忌み王、モーゴットの得物

その刃は、彼が忌避し封じ込めた
呪われた血の変容した様である

専用戦技「呪血の斬撃」
構えから一気に踏み込み、斬り下ろす戦技
その血の剣閃は、一瞬遅れて炎の爆発を伴う
また、追加入力で追撃に繋げられる

「モーゴットの呪剣」より

血の君主モーグの、聖なる祈祷

姿なき母の身体に腕を差し込み
その血炎を前方に撒き、炎上させる
足を止めずに使用できる

地の底で、傷を望む真実の母に見えた時
モーグの呪われた血は、炎となった
そして彼は、生まれついた穢れを愛したのだ

「血授」より

先ほど述べたように、忌み潰しの虐殺は忌み子を対象として行われている可能性が極めて高い。

そして、上述したテキスト群を見ればわかる通り、忌み子に流れる血はしばしば「呪い」と形容されている。

したがって、「われた血」を持つ忌み子を「」であるから、忌み潰したちは「呪殺者」という別名を得たのではないかと考えられる。

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