小考察:呪殺者について
今回は、しろがね村にいるNPCであるアルバス老の発言の中に登場した「呪殺者ども」について考察する。
【呪殺者たちの目的】
まず、呪殺者について述べているアルバス老の台詞を引用する。
上述した台詞から、呪殺者たちが割符を欲していることが分かる。
そして、この割符はミケラの聖樹の地へ至るために使用される物である。
また、呪殺者たちにしろがね村を襲撃するよう指示していたのはギデオン=オーフニールである。
それは、しろがね村におけるイベント後、彼の義娘であるネフェリから聞くことが出来る台詞から明らかである。
そして、ギデオンはミケラに対して大きな関心を持っており、その居場所や正確な情報を突き止めようと躍起になっていた。
そのことは、彼自身の台詞からも分かる。
したがって、ギデオンはミケラの正確な居場所・情報を知ろうとしたが、そのためにはどうしてもミケラの聖樹に至るための秘割符が必要であることが分かり、それを奪うために呪殺者たちを派遣したのだと考えられる。
【呪殺者たちの素性】
しろがね村に出現するエネミーは、元々の住人であったと思われるしろがね人を除けば、堕落調香師と忌み潰し(そして忌み潰しの周辺にいる犬)しか存在しない。
従って、堕落調香師と忌み潰しの両名が呪殺者であると考えられる。
この推測を補強する証拠として、忌み潰しの起源は調香師に由来していることが挙げられる。
そして、当然のことながら堕落調香師も(忌み潰しと同様に)調香師に関係した人々である。
忌み潰しと堕落調香師が同じく調香師に起源を持つ存在であることから、両者が同じ場所に配置されていることがただの偶然とは考え難い。
また、私が上述したテキストの中で着目したのは、忌み潰しが「香薬を飲み、自らの心を壊した」一方で、堕落調香師が「香粉を自ら飲み、身体と神経に作用させる」ことで「ゆっくりと、自らを壊す者たち」であるという点だ。
同じく調香師に由来し、同じく調香によって生み出した薬品を服用し、そして同じく自らを破壊している……これはあくまでも私見だが、両者の行為は同一の物であるように思える。
堕落調香師たちが、自ら調香した香粉によって自らの身体と神経をゆっくりと壊していき……
そして致命的に心が壊れたその時、忌み笑いの面を被る……
この推測が正しいとすれば、忌み潰しが堕落調香師と行動を一緒にしていたのは、詰まるところ彼らが堕落調香師の成れの果てだったからなのではないだろうか。
……最も、堕落調香師であるカルマーンのテキストによれば「堕落調香師は自らのためだけに力を振るう」らしいので、忌み潰しの祖であるロロのように「悪夢のような任に尽くすため」「自らの心を壊した」りする在り方はそぐわないようにも思える。
そのため、忌み潰しと堕落調香師の間に何らかの関係があるのは(出現場所が重なっている点や、その共通した起源から)間違いないと思われるが、それを加味しても「忌み潰し=堕落調香師の末路」というのは未確定な考察であることを留意して頂きたい。
【忌み潰しが派遣された理由について】
「忌み潰しの大鉈」のテキストから、忌み潰しは虐殺者だとされている。
では、彼らは具体的には誰を殺しているのだろうか。
忌み赤子は角を切られると大抵の場合死に至るらしく、したがって忌み子の角が欠けたり折れたりすることは、その忌み子に少なからぬダメージが与えられることを意味している。
翻って「忌み潰しの大鉈」のテキストを見るに、忌み潰したちの得物には忌み子から切り落とした角が大量に使用されている。
これらの情報と、彼らの名称である「忌み潰し」を併せて考えると、忌み潰したちの虐殺は忌み子を主な対象として行われている可能性が非常に高い。
ただし、その場合は疑問が生まれる。
何故、ギデオンは忌み子の虐殺者をしろがね村に送ったのだろうか?
この疑問に対する回答は、以下のテキストから導き出される。
まず「調香師、トリシャ」のテキストからは、混種と忌み子が「穢れ」という概念に包摂されていることが分かる。
このテキストで語られる「穢れ」に対するトリシャの認識が、狭間の地における調香師一般の認識と同じだとすれば、堕落調香師や忌み潰しも忌み子を「穢れ」として捉えていることが推察できる。
そして「しろがねの凝血」のテキストからは、しろがね人を穢れた命だと考えている人々が存在することが語られている。
以上のような推測とテキスト的事実から察するに、忌み子としろがね人という、同じく「穢れ」に類する存在に対するエキスパートだと見込まれたことが、忌み潰したちがしろがね村に派遣された理由なのではないだろうか。
【補記:呪殺者の由来について】
記事冒頭に記したように、アルバス老は忌み潰しや堕落調香師たちを「呪殺者ども」と形容している。
しかし、この単語はどういう意味なのだろうか。
先ほど述べたように、忌み潰しの虐殺は忌み子を対象として行われている可能性が極めて高い。
そして、上述したテキスト群を見ればわかる通り、忌み子に流れる血はしばしば「呪い」と形容されている。
したがって、「呪われた血」を持つ忌み子を「殺す者」であるから、忌み潰したちは「呪殺者」という別名を得たのではないかと考えられる。
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